生理と体温の関係
~基礎体温をつけてみよう~
女性はエストロゲン・プロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンの働きによって性周期が形成されます。性周期とは、生理が始まってから次の生理が始まるまでの期間のことを指し、この間に子宮内膜の増殖や排卵などが行われます。
また、女性ホルモンには体温を変動させる作用もあるため、正常な性周期のある女性は時期によって体温が変化します。
ここでは、性周期による体温の変化にはどのような意味があるのか、基礎体温を記録するべき理由などについて詳しく解説します。
基礎体温とは
「基礎体温」という言葉を聞いたことはありますか?「基礎体温」とは、一般的に朝目覚めた直後に布団やベッドの中に入ったまま、心身ともにリラックスした状態で測る体温のことです。
私たちの体温は、ちょっとした動作や食事、緊張やストレスなどの要因によって容易に変化します。このため、それらの要因を最小限に抑えた状態で測る基礎体温は、身体の状態をよく表す指標となるのです。
基礎体温をつける理由は?
基礎体温は正常な性周期が巡っているか否かを判断する重要な指標となります。つまり、基礎体温の変化を見ることで、正常な女性ホルモンの分泌が行われているか、排卵が生じているかを推測することができるのです。
生理予定日も推測することができるため、PMS(月経前症候群)への心づもりをしたり、生理用品をそろえたりといった、来るべき生理への備えに役立ちます。外出先などで急な生理に慌てることを避けるためにも基礎体温をつけることが大切なのです。
また、基礎体温を記録することで大まかな排卵日の予測もできるため、妊活に役立てることも可能でしょう。
基礎体温が以下の3つに当てはまる場合、正常な女性ホルモンの分泌が行われていると考えてよいでしょう。
- 低温期・高温期がはっきり区別できる
- 低温期・高温期の体温に0.3度以上の差がある
- 高温期が10日以上続く
低温期とは月経が始まってから次の排卵が起こるまでの期間のことで、高温期とは排卵後から次の生理までの期間を指します。
正常な女性ホルモンの分泌は、排卵を引き起こし、妊娠しやすい子宮内環境を整えることにつながります。一方、女性ホルモンの分泌に乱れが生じると、排卵が生じない、子宮内膜が育たずに着床できないなど、不妊症の原因となる可能性があります。
日頃から基礎体温をつけることで正常な性周期が巡っているかを知り、正常でない場合は早めに婦人科で相談することが大切です。
基礎体温がこんな状態だったら要注意
基礎体温は女性ホルモンの分泌に左右されるため、分泌が乱れると基礎体温の変動にも異常が生じます。
次のような基礎体温の異常が見られる場合は特に要注意です。
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①低温期・高温期がはっきりしていない
低温期と高温期の区別がはっきりしないのは、正常な排卵が生じていない証拠です。
排卵が生じるとプロゲステロンの分泌が促されるため、通常では高温期に移行します。しかし、排卵が生じない場合はプロゲステロンの分泌が高まらないため基礎体温は低温期とほぼ同じ状態となるのです。無排卵は、無理なダイエットやストレスなどの生活習慣が原因のものから、多嚢胞性卵巣症候群や甲状腺疾患などが原因のこともあります。いずれも生活の改善や治療が必要ですので、低温期・高温期の区別がはっきりしない時は早めに受診する必要があります。
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②高温期が短い(10日以内)・長い(17日以上)
低温期と高温期の区別がはっきりしているものの、高温期の途中で体温が下がってしまう場合には、プロゲステロンをつくる「黄体」が正常に作用していないことが考えられます。このような状態を「黄体機能不全」と呼びます。子宮内膜の成熟が正常に行われないため、受精したとしても着床できずに不妊症を引き起こすことがあります。
また、子宮内膜がすぐに剥がれてしまうようになるため、生理が早く巡るようになります。長期間にわたって性周期が短縮すると、頻回にやってくる生理のため慢性的な貧血を引き起こすことも少なくありません。
一方、高温期が長く続く(17日以上)場合は、妊娠の可能性が考えられます。
成熟した子宮内膜に着床が生じると、妊娠を維持するためにプロゲステロンの分泌はさらに高まって体温の上昇が見られるようになります。
ただし、子宮外妊娠の場合でも高温期は続きますので、妊娠検査薬を使用して妊娠していることがわかった場合は、早めに産科を受診して正常妊娠か検査するようにしましょう。
基礎体温の測り方
用意するもの
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婦人体温計
朝目覚めて体を動かす前に測るのが基礎体温です。基礎体温の変化は0.3~0.5度なので、一般的な体温計では小数点以下2桁までは計測できないため、婦人体温計を使います。
- 基礎体温表
測り方
- 寝る前に、枕元など手の届きやすいところ体温計をおいておきます。
- 朝目が覚めたら起き上がらずに、すぐに体温計を舌の裏に入れて体温を測定します。
- 測定したら基礎体温表に体温を記録してグラフにしていきます。
このとき、その日の体調や睡眠時間、食事の内容なども付けくわえて記録しておくと、体温の変化に気づきやすいでしょう。
毎日測るのが原則ですが、忘れてしまって空白があっても続けるのが大切。何ヶ月か続けていくうちに自分の基礎体温の変化がわかるようになります。