生理前の不安やイライラを引き起こすPMS(月経前症候群)/PMDD(月経前不快気分障害)などの症状や違い、治るかどうかなどの基礎知識をご紹介します。
生理前は女性ホルモンの分泌量が乱れやすいため、様々な不調を感じることがあるかも知れません。ここでは、生理前にはどのような不調が見られるのか、治療方法などをご紹介します。
生理前になると、心や体に何らかの変調を感じる人は多いでしょう。生理前は女性ホルモンの分泌が急激に変化し、自律神経バランスが乱れやすくなります。このため、変調を感じるのはよくあることです。
症状が軽ければ心配はいりません。しかし、中には心身のバランスが大きく崩れ、日常生活に支障が出るほどの強い症状が現れることもあります。
このような状態をPMS((Premenstrual Syndrome)月経前症候群)と呼びます。PMSによる様々な症状は、生理が開始すると治まるのが特徴です。
PMS(月経前症候群)は、生理のある女性であれば、誰にでも起こりえる病気です。PMSは生理の1~2週間前に以下のような症状が見られます。
生理が開始する頃にこれらの症状が治まった場合、PMSによるものである可能性が高いです。
PMSの中でも、特に心の不調が著しく、日常生活や社会生活に支障を来たしているような状態をPMDD(月経前不快気分障害)と呼びます。
PMDDでは生理1~2週間前から以下のような症状が見られます。
生理前に現れる症状や重症度などには個人差がありますが、生理のある女性の75%は生理前に何らかの不快症状を自覚するとされています。そして、20~50%の女性にPMSがあり、そのうち3~5%はPMDDであることがわかっています。(『DSM-IV-TR』(APA,2000)参照)
生理前の様々な不調は、生理のある女性であれば誰にでも起こりえるものです。このため、多くの女性は特別な病気とは思わず、辛い症状に耐えながら生理前の期間をやりすごしています。しかし、PMSやPMDDに進行すると心身の変調だけでなく、周囲の人との人間関係や社会生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。
PMSやPMDDは多くの問題を生じるため、適切な治療が推奨されている一方で、婦人科や心療内科などの病院を受診する人は少ないのが現状です。特にPMSは発症頻度が高いですから、気になる症状があるときは悩まずに医師に相談するようにしましょう。
PMSは月経周期の中でも、プロゲステロンの分泌が盛んになる黄体期に見られ、プロゲステロンの分泌量が低下する月経期になると改善します。PMSやPMDDの発症にプロゲステロンの関与が示唆されますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。
しかしながら、PMSは月経周期が乱れがちな人に生じやすいとされています。月経周期の乱れは卵巣や脳の病気によって生じることもありますが、ストレスや疲れ、睡眠不足なども大きな原因となります。このため、PMSの不快な症状がストレスとなって月経周期が乱れ、それがさらにPMSの症状悪化につながっていることがあるのです。
PMSは放置するとPMDDに進行するなど、女性の体調や日常生活に大きな影響を与えることがあります。不快な症状に悩んでいる人は、無理をせず医師に相談するようにしましょう。
受診に適した診療科は、婦人科や心療内科です。身体的な症状が強い場合は、婦人科。精神的な症状が主な場合は心療内科を受診するとよいでしょう。
PMSでは、月経周期を整えて不快な症状を改善するためにピルや漢方薬が処方されます。また、PMDDに進行しているようなケースでは抗うつ剤が使用されることも少なくありません。
PMSやPMDDは個々の症状や重症度によって治療方法が異なります。症状が改善するまでには時間がかかることも多々ありますが、自分に合った治療方法を見出し、生理前の憂鬱な時間を少しでも解消するようにしましょう。
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