「生理周期と心身のリズム」では、1ヶ月に一度の生理に伴い、女性ホルモンの影響で心身に変化が現れるリズムについて、生理周期や生理の標準的な期間をもとに解説します。
生理は、妊娠に備えて成熟した子宮内膜が剥がれ落ちて体外に排出されるものです。
女性の生理には25~38日の周期があり、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌によって調節されています。
生理が終わると、子宮内膜はエストロゲンの作用によって厚くなり、排卵が起こると次はプロゲステロンの分泌が増加して子宮内膜を着床に適した状態に成熟させます。
そして、着床がない場合はエストロゲンとプロゲステロンの分泌が急激に低下して、不要になった子宮内膜が剥がれ落ちて生理が起こります。
正常な生理期間は4~7日です。2日以下の場合は「過短月経」、8日以上続く場合は「過長月経」と呼ばれ、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。
一般的に、経血の量は2日目が一番多く、3日目から徐々に減っていく人が多いです。
生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの間隔のことを生理周期と呼びます。生理周期は25~38日が正常です。生理周期が24日以下のものを「頻発月経」、39日以上のものを「稀発月経」と呼び、病的な原因がある場合もあります。
生理周期は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスによって調整されており、分泌バランスが乱れると生理周期も乱れやすくなります。
女性ホルモンの分泌バランスはストレスや疲れ、体調不良などによって乱れてしまいがちで、不規則な生理に悩んでいる女性は多いでしょう。
生理周期はエストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスによって調整されています。
生理が終わってから排卵までのエストロゲン分泌が多い期間を「卵胞期」、排卵後から次の生理が始まるまでのプロゲステロン分泌が多い期間を「黄体期」と呼びます。
卵巣の中の卵子のもととなる原始卵胞が成熟。成熟卵胞からは卵胞ホルモン(エストロゲン)がたくさん分泌され、その影響で子宮内膜が徐々に厚くなります。
エストロゲンの分泌が最も盛んで副交感神経の働きも活発になり気分は安定します。優しくなったり、外向的になったりとポジティブになれる時期です。
新陳代謝が活発になります。血行が良くなり肌は潤い髪はつやが出て、女性としての美しさが顕れる時期です。
脳から排卵を促すホルモンが放出され、成熟卵胞から卵子が排出されます。これを排卵といいます。排卵された卵子と精子が出会って受精すると妊娠する可能性があります。精子を迎える準備で子宮頸管粘液も変化するため、下り物が水っぽく糸を引くようになります。
排卵を促すため、脳から黄体形成ホルモンが一過性に分泌される(LHサージ)ことにより、わずかに子宮内膜が剥がれて膣から出血する場合がありますが、少量であれば問題ありません。
排卵時、卵巣被膜が破れて腹腔内や卵巣被膜内に出血を起こすことがあり、排卵を起こした側の下腹部に痛みを生じることがあります。出血量が多いと止血のために手術を行う場合もあるので、痛みが強い場合は婦人科を受診しましょう。基礎体温は、一度少し下がってから上昇し、高温期へ移行します。
ホルモンバランスが急激に変動することで、元気だったり落ち込んだりと気持ちの起伏が激しく出ることも。気分はだんだん不安定になっていきます。
エストロゲンの分泌が少なくなり肌の調子も不安定になってきます。肌表面の皮脂分泌が増えてきます。
排卵後の卵胞が黄体に変化します。この黄体からは黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌され、その作用で子宮内膜はより厚く、妊娠に適した状態になります。胸のはりや痛み、便秘や肩こりなど不調などの不調に悩まされます。眠気が増したり、逆に眠れないなどの症状が出ることもあります。
プロゲステロンの影響で、イライラや不安感がつのります。怒りっぽくなったり、逆にやる気が出なかったりなど不安定な心の状態になりやすい時期です。
黄体ホルモンの影響が強く現れ体温が上昇して体内に水分を溜め込むためむくみやニキビのほか、シミやソバカスができやすい時期でもあります。血行が悪くなりがちなので、くまやくすみが目立ちやすくなります。
着床しなかったときは、子宮内膜がはがれ落ち血液とともに体外に排出されます。プロゲステロンとエストロゲンの分泌が急激に低下し、身体に様々な変化が生じます。体温が下がることによって、体全体の血行が悪くなり冷えや頭痛、胃の痛み、生理痛を感じることがあります。また、生理の出血によって貧血気味になり身体のだるさをおぼえることもあります。
生理痛などもあって憂鬱になりやすい時期です。生理が終わりに近づくと卵胞ホルモンの分泌が始まり、落ち込んだ気分から脱出していきます。
血行不良でくすみやくまが出やすくなります。肌が敏感になりやすいためかぶれや湿疹、肌荒れが治りにくい人もいます。
※生理周期による体と心のリズムは個人差があります。
生理周期は女性ホルモンの分泌によって調節されており、個人差はありますがほぼ一定に保たれています。
生理周期や期間が短すぎたり長すぎたりする状態が続く場合は、子宮や卵巣、あるいはホルモン分泌の指令を出す脳に何らかの異常があることもあります。生理の乱れは貧血や不妊症につながることがありますので、一度婦人科で検査を受けてみましょう。
また、自分の生理周期や排卵の状況を把握するためにも、基礎体温を記録する習慣を身につけるとよいですね。