年齢を重ねるごとに、尿漏れなどさまざまな排尿トラブルに悩まされる人が増えていきます。男性は女性よりも尿道が長く、尿道を取り囲むようにして膀胱の直下に存在する前立腺の影響で排尿トラブルを引き起こしやすくなるのです。
そこで今回は、男性特有の排尿トラブルの一つ「追っかけ漏れ」について、その原因と対策をご紹介します。
「追っかけ漏れ」は正式には排尿後尿滴下といい、排尿後に自分の意思とは関係なく数滴の尿が垂れる症状のことです。しっかり尿を出し切った後に数滴の尿漏れがあるため、下着や衣類を汚してしまうこともあります。汚れが気になって外出先でトイレに行けない、外出できないなど、日常生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。
追っかけ漏れの正体は、排尿後に尿道に残っている尿と考えられています。では、そもそもなぜ排尿後にも関わらず尿道に尿が残るのでしょうか。
男性の場合、排尿時には尿道をぐるりと囲むように存在する前立腺直下の尿道括約筋がゆるみ、尿が膀胱内から尿道内に流出します。そして、排尿を終えると尿道括約筋が再び固く閉じられて膀胱から尿道への尿の流出を食い止めます。
男性の尿道は約15㎝の長さであり、曲がりくねっているため尿が溜まりやすい形状をしています。このため、排尿後に少量の尿が尿道に溜まり、それが漏れ出ることで追っかけ漏れが生じるのです。
このような追っかけ漏れは、年齢を重ねるごとに起こりやすくなりますが、その原因には以下のようなものが挙げられます。
加齢によって尿道括約筋の筋力、その働きを司る神経の働きが弱くなることで思うように排尿をストップできなくなることがあります。その結果、尿道内により多くの尿が溜まりやすくなり、追っかけ漏れが生じやすくなります。
中高年以降に多い内臓脂肪型の肥満では、膀胱に過度な圧迫がかかる状態であるため、尿道括約筋が尿道を収縮させる力を押しのけて膀胱から尿道へ尿を流出させてしまうことがあります。また、肥満によって下半身を中心とした血流が悪化することで、尿道括約筋やそれを司る神経にダメージが加わって働きが低下することがあります。
男性に特有の前立腺肥大症や、末梢神経にダメージを加える糖尿病、末梢神経と脳の連絡通路となる脊髄にダメージが加わる腰椎脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの病気によって排尿コントロールが上手くできなくなり、少量の尿漏れが生じることがあります。
多くの男性が悩まされる追っかけ漏れですが、排尿の仕方や日常生活を改善することである程度は症状を軽減できる場合があります。
排尿時には、洋式便座で座った状態で用を足し、しっかり出切るまで尿を切ることが大切です。立った状態で用を足すと、尿道内に尿が溜まりやすいため、座った状態で陰茎を下向きに伸ばして出し切るようにしましょう。また、座った状態の方が下着や衣類を汚しにくくなるでしょう。
そして、排尿後は陰嚢(睾丸が入った袋)の裏側の付け根部分を手で押して尿道に溜まった尿を押し出すのも有効です。解剖学的に、尿は陰嚢の裏付近の最も低い位置にある尿道内に溜まりやすくなりますので、手で押し出すことで溜まった尿の排出を促すことが可能なのです。
一方、日常生活上の注意点としては、肥満予防のために食生活や運動習慣などの生活習慣を改善すること、適度な運動によって骨盤底筋を鍛えて不意な尿漏れを防ぐことなどが挙げられます。
しかし、上記のような対策を確実に行っても、年齢を重ねれば追っかけ漏れを完全に防ぐことはできなくなってしまうケースもあります。
追っかけ漏れによってどうしても衣類の汚れが避けられなくなったら、尿漏れパッドやうす型の紙パンツなどを活用するのがおすすめです。
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このように、便利な商品を上手く取り入れることで、日常生活上の不便さを解消してみてはいかがでしょうか。
記事監修医: 伊藤メディカルクリニック院長 伊藤 幹彦 先生
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