記事公開:2024.12.20
尿モレは、多くの人が経験する悩みです。一般社団法人日本泌尿器科学会によると、40代以上の女性の40%以上が「尿モレを経験したことがある」といいます。
尿モレは男性にも起こりますが、女性と男性ではその症状や原因、有効な対処法などが違うこともあります。
今回は、女性の尿モレについて、尿モレが起こる原因から症状の種類、尿モレを悪化させる行動、対策まで解説します。
尿モレとは、自分の意思とは関係なく尿が出てしまう症状のことです。咳やくしゃみなどでおなかに力が入ったときに尿がモレる、急に強い尿意が起こり我慢できずにモレるなど、尿モレにはいくつかのタイプがあります。
男女ともに尿モレは起こります。しかし、女性の尿道は男性よりも短くまっすぐなため、特に女性はおなかに力が入ったときに尿モレを起こしやすく、尿モレの症状がある人は珍しくはありません。尿モレは年齢を重ねると共に起こるものだと思われる方もいると思いますが、若い女性でも尿モレを発症する可能性はあります。
尿モレは、膀胱の蓄尿機能の障害や、尿道のコックの役目をする尿道括約筋・骨盤底筋の障害、排尿を司る神経の障害が原因で引き起こされます。
腎臓で生成された尿は膀胱に蓄えられ、ある一定量まで溜まると脳に刺激が伝わって尿意を感じ、自分の意思で排尿します。普段、膀胱に尿が溜まっても尿モレせずにいられるのは、膀胱がやわらかく広がり、尿道のまわりにある尿道括約筋や骨盤底筋という筋肉が、尿道をぎゅっと締めているからです。
しかし、女性は特に妊娠や出産、加齢などが原因で尿道括約筋や骨盤底筋がゆるんでくると、尿道を締める力も弱まってきます。その結果、尿モレが起こりやすくなってしまうのです。
女性の尿モレの主な原因である骨盤底筋のゆるみは、妊娠や出産、閉経前後のホルモンバランスの変化が影響して起こることが多いとされています。
妊娠中は、産道を確保するために、関節や靭帯をゆるめる効果のある「リラキシン」というホルモンが多く分泌されます。この作用で骨盤底筋がゆるむのに加え、大きくなった子宮に骨盤底筋や膀胱が圧迫される状態が続くので、尿モレを起こしやすくなるのです。
また、出産時に骨盤底筋が傷ついてしまう場合があり、そういった理由も尿モレの原因のひとつとなっています。傷ついた骨盤底筋は自然修復されますが、完全には元に戻らないケースもあります。
さらに、閉経前後の約10年間は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少する時期(更年期)です。エストロゲンの減少に伴い、筋肉量が減少してしまうことで、骨盤底筋がゆるみやすくなります。
女性の尿モレは、大きく4つのタイプに分けられます。それぞれの症状の特徴とどのような場合に起こるのか、主な原因は何なのかについて見ていきましょう。
腹圧性尿失禁は、おなかに力を入れたときに尿モレが起こるタイプの尿失禁です。重い物を持ち上げる、くしゃみや咳をする、笑うなど、おなかに力が入ったタイミングで少量の尿モレが起こります。主な原因は、妊娠・出産、加齢などによる靭帯・骨盤底筋のゆるみや損傷、肥満、便秘などで、女性の尿モレの中では最も多く見られる症状です。
治療には薬や手術などの方法がありますが、軽い症状であれば、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。また、骨盤底筋トレーニングを行うとさらに効果的です。
切迫性尿失禁は、突然強い尿意を感じ、トイレまで我慢できずに尿モレするタイプの尿失禁です。尿意は前ぶれなくやって来るので、外出中や乗り物での移動中に感じることもあります。
尿意は本来、脳からの指令でコントロールされるものですが、病気やストレスなどによりコントロールがうまくいかず、膀胱が過度に収縮するのが切迫性尿失禁を引き起こす原因と考えられています。また、膀胱や子宮を支えている靱帯や筋肉がゆるむことで膀胱や子宮が下がり、腟から脱出してしまう骨盤臓器脱という病気が切迫性尿失禁につながることも。
治療法としては、膀胱の過度な活動を抑える薬が処方されるほか、膀胱訓練などの行動療法が有効な場合もあります。
混合性尿失禁は、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状が見られるタイプの尿失禁です。日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会による「女性下部尿路症状診療ガイドライン[第2版]」では、女性の尿モレの約5割が腹圧性、約2割が切迫性で、残りの約3割は混合性だとしています。
また、年齢が上がるほど、混合性尿失禁の人の割合は増える傾向にあるとされています。
機能性尿失禁とは、排尿機能には問題ないものの、身体機能の低下や認知症などが原因で起こる尿失禁を指します。例えば、歩行障害でトイレに行くのが間に合わない、認知症が悪化して尿意を認識できずモレてしまうケースです。
機能性尿失禁の場合は、介護・介助の方法や生活習慣自体の見直し、おむつの着用、尿道カテーテルの挿入などで対処することになります。
排尿時の行動の中には、尿モレを意識しすぎるあまり、かえって尿モレを悪化させる行動をとっているおそれがあります。
尿モレを心配して排尿時に尿を出し切ろうと、おなかに強い力を入れ、絞り出すように排尿することがあるかもしれません。しかし、このような行為は膀胱の収縮力を弱めたり、骨盤底筋に負荷がかかったりして、尿モレを悪化させる原因になります。排尿時は骨盤底筋の力を抜き、リラックスして尿を出すことが大切です。
また、尿意を感じないのに度々トイレに行ったり、排尿が終わってもさらにいきんで尿が残っていないか確認したりするのも、尿モレの悪化につながります。便秘などで、頻繁にいきむのも避けましょう。
女性の尿モレ対策には、「予防・改善」「現在の症状への対処」「原因究明と治療」の3つが大切です。具体的には、骨盤底筋を鍛える、吸水ケア用品を使用する、病院を受診するといった行動が、それぞれあてはまります。
尿モレの多くは、骨盤底筋を鍛えることで予防・改善できます。尿モレのタイプや原因にもよりますが、2~3ヵ月正しいトレーニングを続けると、7割ぐらいの人には効果が出るとされています。
骨盤底筋のトレーニングには特別な道具は必要ないので、自宅やオフィスで気軽に取り組むことが可能です。
<骨盤底筋の鍛え方(椅子に座った姿勢で行う場合)>
1. 背筋を伸ばして椅子に浅く腰かけます。
2. 足の裏を床につけて、両足は肩幅程度に開き、肩の力を抜きます。
3. 肛門、尿道、腟を締め、全体を引き上げるイメージで力を入れます。
4. 5~10秒キープした後、力を抜いてリラックスします。
5. 「3」~「4」を1セットとして、5セット以上行います。
そのほかの姿勢でトレーニングを行う場合のやり方については、下記のページをご覧ください。
骨盤底筋トレーニングで不意の尿モレ対策!毎日続けて不安を解消
軽い尿モレへの対処には、吸水パッドやうす型の紙パンツを使うのがおすすめです。こうしたアイテムを取り入れることで、下着がぬれる心配やニオイの悩みを軽減でき、毎日を快適に過ごすことができます。
尿モレの量が多い場合や、長時間のおでかけで不安な場合は、大人用紙パンツも検討してみましょう。
尿モレは、さまざまな原因が重なって起こるもので、症状によって効果的な対策も変わります。そのため、尿モレが気になる場合は、医療機関で診察を受けて医師に相談してみるのがおすすめです。
診察を受けるときは、泌尿器科、または婦人科を受診するといいでしょう。
監修者のご紹介
井上 雅先生
日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医、日本女性骨盤底医学会専門医、漢方専門医、日本性機能学会専門医。高知医科大学医学部医学科卒業、岡山大学大学院医歯学総合研究科卒業。岡山大学附属病院泌尿器科や岡山中央病院泌尿器科、岡山労災病院婦人科勤務を経て、2013年にみやびウロギネクリニックを開院。泌尿器科と婦人科の両面からの診療を行っている。
みやびウロギネクリニック
尿モレの症状があると、不安から外出を避けてしまったり、スポーツや旅行などの行動を控えてしまったりする人もいるでしょう。そんな尿モレの不安の解消には、「アテント」「ナチュラ」シリーズの吸水ケア用品が役立ちます。デザインやカラーにもこだわった設計で使いやすく、気軽に日常に取り入れられます。
「アテント ふだんの下着に使えるパッド」は、通常の下着※1に装着できる尿とりパッドです。<5点ズレ止めテープ>でしっかり固定できる45cmのロングサイズで、安心感は抜群。約2回分※2の尿を吸収でき、<全面通気性シート><消臭機能付き>で気持ち良く使用できます。
※1 体に密着する下着(パンツ)との使用がおすすめ。
※2 1回の吸収量150mlとして。数値は大王製紙測定法によるもの。
「アテント ふだんの下着に使えるパッド」については、下記のページをご覧ください。
アテント ふだんの下着に使えるパッド
「アテント 超うすパンツ 下着爽快 エレガントピンクベージュ」は、こだわりの<めだたずフィット設計>で、快適に過ごせることを追求した紙パンツです。約2回分※の尿を吸水するので、軽い運動や長時間の移動などにぴったり。<ウエストすっきりカット>で洋服の上からもはみ出しにくいのが特長です。エレガントピンクベージュはワコールと共同開発した新しいカラーで、「見えないところもおしゃれに明るく」にこだわっています。
※ 1回の吸収量150mlとして。数値は大王製紙測定法によるもの。
「アテント 超うすパンツ 下着爽快 エレガントピンクベージュ」については、下記のページをご覧ください。
アテント 超うすパンツ 下着爽快 エレガントピンクベージュM
アテント 超うすパンツ 下着爽快 エレガントピンクベージュ L
「ナチュラ さら肌さらり おまもり吸水ライナー」は、腹圧性尿失禁にお悩みの方にぴったりの吸水パッド。厚さ2mmと生理用ナプキンより薄くて軽く※、さらっとした肌ざわりのパッドが、ふとした瞬間のモレをしっかり吸収してくれるので安心です。3cc、5cc、10cc、15ccと、4つの吸収量からお選びいただけます。
※ エリエール昼用ナプキンとの比較。
「ナチュラ さら肌さらり おまもり吸水ライナー」については、下記のページをご覧ください。
ナチュラ さら肌さらり おまもり吸水ライナー
「ナチュラ さら肌さらり ちょこっと吸水ナプキン」は、突然起こる切迫性尿失禁にも備えられる頼もしい吸水パッド。<ズレ防止テープ>でしっかり下着に固定できるので、横モレの心配もありません。吸収量は30cc、50cc、65ccの3種類あり、安心感をプラスできるロングタイプもラインナップ。
「ナチュラ さら肌さらり ちょこっと吸水ナプキン」については、下記のページをご覧ください。
ナチュラ さら肌さらり ちょこっと吸水ナプキン
女性は、妊娠や出産、加齢による女性ホルモンの減少などがきっかけで、尿モレに悩まされることが少なくありません。対策としては、予防・改善のための骨盤底筋トレーニングを行い、吸水ケア用品を使って対処しつつ、医療機関で診てもらうのがおすすめです。
「アテント」シリーズや「ナチュラ」シリーズの吸水ケア用品は、普通の下着に装着して気軽に使えるのが特徴。ラインナップが豊富なので、尿モレの症状や量に合わせて適切なアイテムをお選びください。
女性は、男性に比べて尿道が短くまっすぐなため、男性よりおなかに力が入ったときに尿モレが起こりやすい傾向があります。加えて、妊娠や出産で尿道を締める働きをする尿道括約筋・骨盤底筋がゆるんだり、傷ついたりすること、閉経前後のホルモン分泌量の変化で筋力が落ち、骨盤底筋がゆるみやすくなることなども、女性に尿モレが多い原因です。
尿モレは、大きく分けて4種類あります。くしゃみをする、笑うなど、おなかに力が入ったときに尿モレが起こる「腹圧性尿失禁」、突然強い尿意に襲われる「切迫性尿失禁」、腹圧性と切迫性の両方の症状が見られる「混合性尿失禁」、排尿機能には問題ないものの、身体機能の低下や認知症などが原因で起こる「機能性尿失禁」の4つです。
尿モレを防ぐには、骨盤底筋を鍛えるトレーニングが効果的です。正しいトレーニングを2~3ヵ月続けると、すでに尿モレの症状がある女性のうち約7割は、尿モレの改善効果が実感できるといわれています。
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