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排泄障害の種類
排泄とは
私たち人間は、口から水や食物を取り入れ、体内で消化吸収、代謝、呼吸、血液循環などを行って生命を維持しています。その結果、体で不要になった水分や老廃物を尿として出したり、あるいは食物のカスなどを大便として出しています。これを排泄と言います。
排泄障害とは、尿や便がうまく出せなかったり、あるいは漏れてしまうなどの状態を意味します。
問題なく「排泄」ができるとは?
排泄は、以下に示すような意識や動作の組み合わせによって行われます。この中の一つでもうまくできないと排泄に問題が生じるわけです。
- 尿意や便意を感じる。
- トイレまで行き、ドアを開閉する。
- トイレや便器が認識できる。
- 衣類(下着)をおろす。
- 便器を整え、上手に便器を使う。
- 排尿、排便をする。
- おしりを拭いたり、トイレの水を流すという後始末ができる。
- 衣服を着る。
- ベッドや部屋に戻る。
正常な排便とは
- 回数
- 1日1回が理想。1日2回も可。1日排便がなくても、最低でも3日に1度は必要。
- 量
- 大人であれば100g~150gくらい。
- 形
- 棒状で有形。水っぽいものは注意。
- 色
- 茶褐色や黄土色。白っぽい便、あるいは黒っぽい便が続くようであれば注意。
- 臭い
- 食べ物の影響もあるが、もし血液が腐ったような悪臭があれば注意。
- 出方
- 便意を感じてから多少のいきみでスムーズに出せる。
- その他
- 固い便であれば多少肛門周囲が一時的に痛むこともある。常時出血を伴うようだと注意。便意は、ある程度我慢することも大切だが、我慢し続けると感じなくなってしまう。便意を我慢することを続けていると、便意がはっきり認識できなくなるので、なるべく我慢せずに出すことが大切である。
排尿のしくみ(男性と女性)
尿は、腎臓で作られ、尿管を通り、膀胱に溜められて、尿道から体外に排出されます。普通われわれは、膀胱に約150~200mlの尿が溜まると尿意を感じます。ですが、それほど強い尿意ではなく、我慢できます。これが300~400mlも溜まると尿意が強くなり、我慢できなくなりトイレに行きたくなります。我慢している間、膀胱が伸びて、尿道はしまった状態です。排尿の準備が整ったところで、それまで我慢を命じていた大脳からの指示が排尿へと切り替わり、尿が出てくるわけです。この時には、膀胱が縮み、尿道は開いています。尿が出てしまい、膀胱が空になったところで、膀胱は縮むのをやめて、尿道は閉まり、再び尿を溜める状態に戻ります。
男性の尿道は長く、膀胱の出口に前立腺があります。高齢になって前立腺が肥大すると尿が出にくくなります。逆に、女性の尿道は短いので漏れやすい構造です。
排尿障害とは
排尿障害とは、尿を溜めたり、出すことに問題があることです。
排尿障害には、次のような症状があります。
- 尿失禁
- 尿が我慢できなかったり、知らないうちに出てしまうこと。
- 排尿困難
- 尿が出にくい状態です。1回の排尿に50秒以上かかる。途中で止まってしまう。力んで排尿する。まだ尿が残っている。これらの状態が排尿困難にあたります。
- 頻尿
- 一般的に「オシッコが近い」と呼ばれる状態です。排尿の回数が日中10回以上、夜間3回以上あれば、頻尿と言います。
排便障害とは
排便の障害とは、便秘、下痢、便が漏れてしまう便失禁などのことです。
- 下痢
- 下痢は便の水分が多くなり、便の形が有形でなくなり、水っぽい状態です。
- 便秘
- 便が固く、出すのに苦労したり、何日も出ないといった状態です。
たとえ毎日出ていても、うさぎの糞のように固く、水分の少ない便は便秘と言えます。逆に、数日間出なくても、出てきた便が有形で、柔らかくスムーズであれば便秘ではありません。 - 便失禁
- 便が我慢できずに漏れたり、あるいは知らないうちに出てしまうことです。原因によって便失禁の症状が異なります。
尿失禁の症状
「尿失禁」とは、自分の意志に反して、あるいは知らないうちに尿が漏れてしまうことです。
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腹圧性尿失禁
咳やくしゃみなどの際に、尿が漏れる状態です。咳やくしゃみで腹部に力がかかった時、尿の出口にある尿道をしめる筋肉が弱くなるために起こります。
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切迫性尿失禁
強い尿意を感じて我慢できずに漏れてしまう状態です。膀胱に少ししか尿がたまっていなくても、膀胱が勝手に縮んで漏れてしまいます。
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溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
尿が出にくいのに、漏れてしまう状態です。膀胱に残った尿(残尿)が少しつづ溢れて漏れてしまいます。
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機能性尿失禁
排泄に関係する判断や動作がうまくできない状態です。トイレがわからない、あるいは歩けないためにトイレで行けずに、漏らしてしまいます。
※(1)~(4)のタイプが重なっている場合もあります。
便失禁の症状
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腹圧性便失禁
腹部に腹圧がかかった時に便が出てしまう症状です。肛門をしめる筋肉が弱かったり、肛門をしめる神経が損傷されていたりするとおこります。
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切迫性便失禁
下痢など急激に便意を感じたとき、我慢できずに漏れてしまう症状です。腸が過敏になっている場合などにおこります。このように、便が我慢できずに出てしまったり、知らないうちに漏れてしまう状態を便失禁と言います。
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溢流性便失禁
便秘の症状があり、たくさんたまった状態の時に便が溢れ出てくる失禁です。
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機能性便失禁
トイレの場所がわからなかったり、トイレまで歩けないために漏れるなど、排便に関する判断や動作ができないために漏れる症状です。
※(1)~(4)のタイプが重なっている場合もあります。
コンチネンスジャパン株式会社 専務取締役
NPO法人日本コンチネンス協会 名誉会長
西村かおる先生監修