記事公開:2024.11.27
「要介護度」とは、自立度をAからDまでの4つの段階に分け、それぞれに適切な介護方法について解説した指標です。介護と上手に向き合うための参考にしてください。
思うように体を動かせなくなった、会話が噛み合わなくなってきたなどの症状から、「親族に介護が必要かも?」と思ったら、まずは地域包括支援センターに相談してみましょう。介護サービスを受けるには、対象者の要介護度を認定してもらう必要があります。
この記事では、要介護度の認定区分や認定を受ける手順、区分ごとに受けられる介護サービスの種類などについてご紹介します。
要介護度(要介護状態等区分)とは、介護保険制度で受けられる介護サービスの必要度を判断する認定区分のことです。介護の必要性などを「要介護認定」「要支援認定」で判定し、このいずれにも該当しない場合は「非該当(自立)」となります。
要介護度の認定区分は、要支援が1~2、要介護が1~5の合計7区分です。要支援1から要介護5に向かって、介護の必要性が高まるという判定になります。
介護保険を使って受けられる介護サービスやその回数は、要介護度に応じて異なります。なお、要介護度が「非該当(自立)」と判定された方は、介護保険を利用して介護サービスを受けることはできません。ただし、自費で同質のサービスや施設を利用することはできます。
要介護度の認定区分と、基準となる状態の目安は下記のとおりです。「要介護認定等基準時間」は介護の手間を表すものさしとしての時間を表していて、実際のケア時間を示すものではありません。
■要介護度の認定区分と状態の目安
介護の必要性を感じたら、まずは要介護認定の申請を行いましょう。要介護認定により介護サービスを受けられるのは、65歳以上の第1号被保険者、または16種類の特定疾病と診断された40~64歳の第2号被保険者の方となります。要介護認定を受ける流れは、下記のとおりです。
お住まいの市区町村役場の介護保険を担当する窓口で、要介護認定の申請手続きを行います。申請は介護サービスを利用する本人の名前で行い、本人またはその家族が申請できます。家族に頼ることが困難な場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者、介護保険施設などに代行してもらうことも可能です。
申請する際には、記入済みの申請書、介護保険の被保険者証(40~64歳の第2号被保険者は医療保険の被保険者証)、マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード、本人確認書類(運転免許証、パスポート、住基カード、身体障害者手帳など)を用意します。なお、お住まいの地域によっては、マイナポータル(ぴったりサービス)を通じたオンラインでの申請も可能です。
市区町村の職員と電話などで日程調整をしたのち、認定調査員が申請者の自宅(調査対象者が入院中の場合は病院)を訪問します。
調査員は、日常生活の状況、身体機能、認知機能など、74項目の基本項目と特記事項からなる調査を行います。介護を受ける方の日頃の様子をよく知るご家族が同席することが望ましく、所要時間は1時間程度です。
要介護度の判定には、申請者の主治医による意見書が必要です。要介護認定の申請を受けた市区町村からの依頼を受け、主治医が意見書を作成します。
意見書に記載されるのは、申請者の疾病や負傷の状況などについての医学的な意見です。主治医がいない申請者は、市区町村の指定医の診察を受けることになります。
市区町村は、訪問調査の結果と主治医の意見書をもとに、コンピューターによる一次判定を行います。一次判定では、過去に介護を受けた方のデータベースから近い状態の方の介護記録を探し出して、要介護認定等基準時間を推計します。
市区町村に設置された介護認定審査会の委員によって、二次判定が行われます。二次判定は、一次判定の結果と訪問調査員の特記事項、主治医の意見書などをもとに行われる総合的な審査です。そのため、必ずしも一次判定と同じ結果になるとは限りません。
介護認定審査会の委員は、各市区町村長が任命した保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成されています。
二次判定の審査結果にもとづき、要介護度が認定され、申請者に郵送で通知されます。通常、要介護認定の申請から30日程度で通知が届きますが、市区町村や申請の混雑具合によっては1~2ヵ月かかることもあります。
要介護度には、要支援1~2、要介護1~5の合計7段階がありますが、「要支援」と「要介護」では、受けられる介護サービスと申込み先が異なります。
■要支援と要介護の介護サービスの申込み先
介護サービスを利用する際は、介護サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要です。ケアプランでは、どのような介護サービスをいつ、どれだけ利用するかの計画を立てます。
要支援の場合、ケアプランを作成するのは地域包括支援センターの職員、もしくは指定を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーです。
要介護の場合、在宅介護を行うのか、施設に入所するのかでケアプランの作成者が異なります。在宅介護を行う場合は、居宅介護支援事業者(介護サービス事業者との連絡・調整を行う事業者)のケアマネジャーがケアプランを作成します。施設に入所する場合、ケアプランを作成するのは施設のケアマネジャーです。
要介護度が要支援だった場合は、介護保険を利用して介護予防のためのサービス(予防給付)を受けられます。介護予防サービスには、全国一律のサービスと、市町村が指定・監督する地域密着型介護予防サービスがあります。介護予防サービスを利用した場合の自己負担額は、かかる費用の1割です。ただし、所得に応じて2~3割の支払いが必要な場合があります。
なお、介護予防サービスの「居宅サービス」を利用する場合は、支給限度額が要介護度別に定められています。要支援1と要支援2で受けられる1ヵ月あたりの支給限度額と自己負担額は、下記のとおりです。
■要支援で居宅サービスを受ける際の1ヵ月あたりの支給限度額
※実際の支給限度額は金額ではなく「単位」で決められています。サービスの種類によって1単位あたりの単価が異なり、上の表では目安として1単位あたり10円で計算しています。
限度額の範囲内でサービスを利用した場合は1~3割の自己負担ですが、限度額を超えた分は全額自己負担となります。それでは、受けられる介護予防サービスを詳しく見ていきましょう。
介護予防サービスは、生活機能の維持・向上や改善を目的とした介護サービスです。高齢者ができる限り要介護状態に陥らないことや、状態を悪化させないことを目指しています。介護予防サービスには、下記のようなものがあります。
・介護予防訪問入浴介護
看護職員と介護職員が浴槽を持参して利用者の自宅を訪問し、入浴の介護を行います。
・介護予防訪問看護
看護師などが利用者の自宅を訪問し、主治医の指示にもとづいて療養上のお世話や診療の補助を行います。
・介護予防訪問リハビリテーション
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが利用者の自宅を訪問し、リハビリテーションを行います。
・介護予防通所リハビリテーション
利用者が通所リハビリテーションの施設(老人保健施設、病院、診療所など)に通い、日帰りの介護予防を目的とした機能訓練を受けます。デイケアともいいます。
・介護予防福祉用具貸与
指定を受けた事業者が、利用者の状況に合わせた福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸し出します。
・介護予防短期入所生活介護
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などに短期入所し、生活援助や機能訓練、医療ケアなどを受けます。ショートステイともいいます。
介護予防サービスには、このほかに介護予防短期入所療養介護、介護予防居宅療養管理指導、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防住宅改修、特定介護予防福祉用具販売があり、サービスの種類は全部で11種類です。
地域密着型介護予防サービスは、できるだけ住み慣れた地域で生活を続けられるように、地域の特性に応じて柔軟に提供される介護サービスです。要支援で受けられる地域密着型介護予防サービスのひとつに、「介護予防認知症対応型共同生活介護」があります。グループホームに入所し、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練などを受けられる介護予防サービスです。ただし、要支援1の人は受けられません。
地域密着型介護予防サービスには、そのほかに介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型通所介護があります。なお、地域密着型介護予防サービスは、市区町村によって内容が異なるため、事前に確認しましょう。
要介護度が要介護1~5だった場合は、介護保険を利用して「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」が受けられます。要支援と同様に、介護サービスを利用した場合の自己負担額はかかる費用の1~3割です。また、居宅サービスを利用する際の1ヵ月あたりの支給限度額と利用回数の目安は下記のようになります。
■要介護で居宅サービスを受ける際の1ヵ月あたりの支給限度額
※実際の支給限度額は金額ではなく「単位」で決められています。サービスの種類によって1単位あたりの単価が異なり、上の表では目安として1単位あたり10円で計算しています。
それでは、要介護で受けられる介護サービスを詳しく見ていきましょう。
居宅サービスは、自宅で暮らしながら受けるサービスです。大きく「訪問系サービス」「通所系サービス」「宿泊系サービス」に分けられます。それぞれの主なサービス内容は下記のとおりです。
・訪問系サービス
訪問型サービスは、利用者の自宅を訪れる専門職の方からサービスを受けるものです。買い物・洗濯などの生活援助、入浴・排泄などの身体介護を行う訪問介護や、医師の指導のもと看護師などが健康状態を診る訪問看護のほか、訪問入浴介護、訪問リハビリテーションなどがあります。また、福祉用具の貸与や購入も可能です。
・通所系サービス
通所型サービスは、利用者が施設に通い、食事・入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練、リハビリなどを日帰りで受けるものです。デイサービス、デイケアといったサービス名で提供され、介護をする方の負担軽減なども目的としています。
・宿泊系サービス
短期滞在型サービスは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などに短期間宿泊するサービスです。日常生活の援助を受けられる「短期入所生活介護」と、医師や看護師によるケアや機能訓練などが受けられる「短期入所療養介護」があります。どちらもショートステイと呼ばれ、連続して30日まで利用することが可能です。
施設サービスは、介護保険施設に入所して受けるサービスです。身体介護、生活援助、栄養管理などの介護サービスが受けられます。介護保険施設には「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護医療院」の3種類があります。いずれも要支援の人は利用できません。
地域密着型サービスは、その地域にお住まいの方だけが受けられる介護サービスです。要支援の方よりも受けられるサービスの種類が多く、小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護など、さまざまな種類があります。なお、地域密着型サービスは、市区町村によって内容が異なるため、事前に確認しましょう。
監修者のご紹介
中谷ミホさん
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士。福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在は介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆。介護・福祉関連書籍の監修も手掛けている。
「アテント」シリーズは、介護する方・介護を受ける方、双方の負担を減らし、毎日を快適に過ごすための工夫を凝らした大人用紙おむつです。やさしいつけ心地とモレのない安心感、さらに装着のしやすさで、介護に適した「アテント」シリーズをご紹介します。
「アテント うす型さらさらパンツ通気性プラス」は、介助があれば歩ける方向けに作られたパンツタイプの紙おむつです。<全面通気性プラスシート>で通気性を約20%※アップ。紙パンツとパッドを併用してもムレにくくなっています。おなかまわりがやわらかく、快適なはき心地です。脚まわりのゴムは伸縮性が高く、片手でもするっとはけます。
※ 大王製紙従来品との比較。
「アテント うす型さらさらパンツ通気性プラス」については、下記のページをご覧ください。
アテント うす型さらさらパンツ通気性プラス M男女共用
アテント うす型さらさらパンツ通気性プラス L男女共用
「アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス」は、おしっこ約5回分※の吸収量で長時間でも安心なパンツタイプの紙おむつです。<背モレ防止ポケット>が、就寝時・仰向け寝でも背中からのモレを軽減します。リハビリやデイサービスでの利用にもおすすめです。おなかまわりの糸ゴムと脚まわりの糸ゴムがピンク色の素材になった、女性用もラインナップしています。
※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス」については、下記のページをご覧ください。
アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス Mサイズ 男女共用
アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス Lサイズ 男女共用
アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス Mサイズ 女性用
アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス Lサイズ 女性用
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」は、就寝中も使えるパンツタイプの紙おむつです。おしっこ約8回分※をしっかり吸収し、パッドを使わず1枚でも安心の吸収量となっています。<背モレ防止ポケット>が、仰向け寝の状態でも背中からのモレを軽減します。尿量の気になる方、こまめに交換できない方におすすめです。
※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 M
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 L
介護の必要性を感じたら、早めに行っておきたいのが要介護認定の申請です。介護保険サービスは要介護度の認定が下りないと利用できませんが、市区町村による要介護認定には調査や判定にある程度の時間がかかります。
さらに、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者への利用申込み、ケアプランの作成など、要介護認定を受けてから実際に介護サービスを受けるまでに、さまざまなプロセスがあります。介護を受ける方に合った介護サービスを適切なタイミングで受けるためにも、要介護認定の受け方やサービスを利用するまでの流れを押さえておきましょう。
要介護度(要介護状態等区分)とは、介護保険制度で受けられる介護サービスの必要度を判断する認定区分のことです。介護の必要性などを「要介護認定」「要支援認定」で判定します。
要介護度の認定区分は、要支援が1~2、要介護が1~5の合計7区分で、要支援1から要介護5に向かって介護の必要性が高まるという判定です。なお、いずれにも該当しない場合は、「非該当(自立)」となります。
要介護認定を受けると、介護保険制度で提供される介護サービスを受けられます。受けられる介護サービスやその回数は、要介護度に応じて異なります。
なお、要介護度が「非該当(自立)」と判定された方は、介護保険を利用して介護サービスを受けることはできません。ただし、自費で同質のサービスや施設を利用することはできます。
要介護認定を受けるには、お住まいの市区町村役場の介護保険制度を担当する窓口で、要介護認定の申請手続きが必要です。申請後、認定調査員が申請者の自宅(調査対象者が入院中の場合は病院)を訪問し、日常生活の状況、身体機能、認知機能など、74項目の基本項目と特記事項からなる調査を行います。認定調査員の調査、申請者の主治医による意見書、コンピューターによる一次判定をもとに、市区町村に設置された介護認定審査会によって審査が行われ、要介護度が認定されます。
画像提供/PIXTA