記事公開:2024.12.20
介護をする方にとって、その負担は想像以上に大きいもの。介護をする方には働き盛りの世代も多く、介護を理由に勤め先を退職してしまう「介護離職」は社会問題にもなっています。そうした状況を改善するため、国はさまざまな介護支援制度を設けてきました。そのひとつが介護保険です。
この記事では、介護保険の仕組みや受けられるサービスのほか、申込み手順などについてわかりやすく解説します。
介護保険は、介護や支援の必要性の度合いによって認定される「要介護度」に応じて、介護サービスにかかる費用の給付が受けられる社会保険制度です。高齢化や核家族化が進む中で、公平かつ持続可能な方法で介護をサポートすることを目的としています。
介護保険を運営する主体者は全国の市区町村で、その財源は介護保険料と公費によってまかなわれています。介護保険の給付を受けるには、市区町村に申請し、要支援・要介護の認定が必要です。
介護保険は、健康保険のようにすべての国民が加入するものではありません。また、年金保険とは加入年齢が異なります。さらに、介護保険に加入していても、受給するにはいくつかの条件を満たす必要があります。ここでは、介護保険の仕組みについて、詳しく見ていきましょう。
介護保険の加入対象者は、40歳以上のすべての国民です。その中でも、65歳以上は第1号被保険者、40歳から64歳未満の医療保険加入者は第2号被保険者となります。介護保険料の支払義務は40歳になった月から亡くなるまで発生し、第1号被保険者は基本的に年金から、第2号被保険者は健康保険料から一括徴収される仕組みです。
なお、健康保険に加入していない40~64歳の生活保護受給者や、指定障害者支援施設、救護施設といった介護保険適用外の施設に入所している方は、介護保険の対象者となりません。
介護保険証は、65歳の誕生日の前に、お住まいの市区町村から郵送されます。現在は紙の保険証ですが、今後はマイナンバーカードと一体化させる議論が進められている状況です。
1ヵ月あたりに支払う介護保険料は、個々の所得に応じて計算されます。
第1号被保険者の保険料は、本人または世帯の所得と年金額によって変わり、市区町村が定めた保険料の基準額に、国が設けた所得別の係数を掛けて最終的な保険料を決定します。例えば、保険料の基準額が全国平均の6,225円だった場合、所得に応じた係数が1.0であれば、保険料はそのまま6,225円です。
第1号被保険者の保険料は3年に1度見直しが行われ、市区町村によって基準額が異なります。地域内に住んでいる介護が必要な方の人数や、介護サービスがどのくらい利用されているかといったことが基準額に反映されるのです。
第2号被保険者の場合、加入している医療保険により保険料が変わります。保険料率の平均は健康保険組合で1.78%(2024年度)、協会けんぽで1.60%(2024年度)で、会社と従業員で2分の1ずつ支払うのが一般的です。
国民健康保険の加入者は、所得に応じて市区町村が定めた介護保険料が、国民健康保険の保険料と一括で徴収されます。
介護保険の受給条件は、要介護・要支援の認定を受けた65歳以上の第1号被保険者であること、または特定疾病によって要介護の状態となった40~64歳の第2号被保険者であることです。
条件を満たせば、さまざまな介護サービスを1~3割の自己負担額で利用できます。
介護サービスを受けるには事前の要介護認定が必要で、要介護度に応じて受けられる介護サービスの種類や量(回数)が決まります。なお、第2号被保険者の受給条件となる特定疾病は、下記のとおりです。
介護サービスを利用する際には、所得に応じた自己負担が必要です。通常、サービス費用の1~3割が自己負担額となり、残りの金額は介護保険から支払われます。介護保険には要介護度の認定区分に応じた1ヵ月あたりの支給限度額があり、その範囲内であれば、所得に応じた1〜3割の自己負担で介護サービスが利用可能です。ただし、支給限度額を超えた場合、超過分は全額自己負担となります。
認定区分ごとの支給限度額は、下記のとおりです。
介護保険を利用して受けられるサービスには、要介護1~5と認定された方が利用できるサービス(介護給付)と、要支援1~2と認定された方が利用できるサービス(予防給付)があります。
要介護度に応じて受けられる介護サービスは異なりますが、大きく分けると下記のようなサービスがあります。
介護サービスでまず利用するのが、介護の相談をしたり、ケアプランを作成してもらったりする居宅介護支援です。介護を受ける方がなるべく自宅で生活できるよう、介護サービスを利用するためのケアプランをケアマネジャーに作成してもらいます。介護保険を利用してサービスを受けるには、ケアプランの作成が必須です。
ケアマネジャーは、介護サービスが適切に提供されるよう、事業者や関係機関との連絡・調整も行います。なお、ケアプランの作成にあたっては、費用の自己負担はありません。
介護サービスの主なものに、自宅で受けられる訪問サービスがあります。訪問介護員(ホームヘルパー)が食事・排泄・入浴などの介助、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活支援を行う訪問介護や、看護師が疾患の手当てや診療の補助を行う訪問看護などが多く利用されています。
また、自宅で受けられる介護サービスにはほかに、日常生活や介護に役立つ福祉用具(車椅子、介護ベッドなど)のレンタルができる福祉用具貸与サービスもあります。
自宅から施設に通う通所サービスも、介護サービスのひとつです。利用者が日帰りで施設を訪れて、食事・入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練、リハビリなどを受けられます。デイケア、デイサービスといったサービス名で提供されるのが一般的です。
利用者は朝から夕方まで施設で過ごすので、介護をする方の負担を軽減することにもなります。
宿泊サービスは、施設に短期間だけ入所することができる介護サービスです。ショートステイというサービス名で提供され、日常生活の援助を受けられる「短期入所生活介護」と、医師や看護師による医療的ケアや機能訓練などが受けられる「短期入所療養介護」があります。
連続して30日間利用することができ、自宅にこもりがちな利用者の孤立感を解消したり、心身機能の維持回復を図ったりするほか、介護をする方の負担を軽減することを目的としています。
介護保険で利用できるサービスには、介護保険施設に入所してサービスを受ける施設サービスもあります。施設サービスで入所できる施設には、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設、介護医療院があります。これらの施設では、24時間体制での介護を提供することが可能です。ただし、認定区分が要支援の方は、対象とはなりません。
地域密着型サービスは、その地域にお住まいの方だけが受けられる介護サービスです。小規模多機能型居宅介護や夜間対応型訪問介護など、市区町村によってさまざまなサービスが提供されます。
できるだけ住み慣れた地域で生活を続けられるように、地域の特性に応じて柔軟に提供されるのが特徴です。
介護保険の給付による介護サービスを受ける場合は、お住まいの市区町村から要介護認定を受ける必要があります。要介護認定の申請から介護サービスを利用するまでの手順は、下記のとおりです。
<介護サービスを利用する手順>
1. 市区町村の窓口で要介護・要支援の認定申請をする。
2. 介護認定調査員による認定調査を受ける。
3. 認定結果の通知が届く。
4. 要介護度に応じて、地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所へケアプランの作成を依頼する。
5. ケアプランを作成する。
6. 介護サービス事業者と契約する。
7. 介護サービスを利用する。
※施設サービスを利用する場合は、希望する施設へ直接申し込みます。
なお、要介護度の認定区分によって、介護サービスの申込み先が異なります。それぞれの申込み先については下記をご確認ください。
介護保険制度は、2000年に創設されて以来、3~5年ごとに改正されており、今後も保険料やサービス内容が変わる可能性があります。介護を必要とする方が増えているのに伴って、過去にもさまざまな見直しが行われてきました。
例えば、過去の改正では、介護が必要な状態になることを防ぐための介護予防サービスの創設や、住み慣れた地域で生活が続けられることを目的とした地域密着型サービスの拡充が図られています。それでもなお、財源不足や介護職の人手不足は深刻な問題です。
最近では2024年に改正が行われ、介護保険料の引き上げや情報管理システムの整備、介護予防支援実施事業所の拡大などが盛り込まれました。その一方で、議論されていた自己負担額2割の対象者拡大は見送られています。
こうして見送りとなった内容は、今後も改正の対象となる可能性があるため、介護保険を利用する際には現行の介護保険制度の内容を確認することが大切です。
監修者のご紹介
中谷ミホさん
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士。福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在は介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆。介護・福祉関連書籍の監修も手掛けている。
介護保険の利用を検討している方の中には、毎日の排泄ケアに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、介護をする方・介護を受ける方、双方の負担を減らし、毎日を快適に過ごすための工夫を満載した、大人用紙おむつ「アテント」シリーズについてご紹介します。
「アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス 男女共用」は、おしっこ約5回分※の吸収量で長時間の装着時も安心なパンツタイプの紙おむつです。<背モレ防止ポケット>が、就寝時・仰向け寝でも背中からのモレを軽減します。リハビリやデイサービスでの利用にもおすすめです。片手で上げ下げできる<らくらくギャザー>なので、ご本人でも簡単にはくことができ、介助の場合でも手間取りません。
※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス」については、下記のページをご覧ください。
アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス Mサイズ 男女共用
アテント 昼1枚安心パンツ 長時間快適プラス Lサイズ 男女共用
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」は、就寝中も使えるパンツタイプの紙おむつです。おしっこ約8回分※をしっかり吸収し、パッドを使わず1枚でも安心の吸収量となっています。<背モレ防止ポケット>が、仰向け寝の状態でも背中からのモレを軽減します。尿量の気になる方、こまめに交換できない方におすすめです。
※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 M~L
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 L~LL
「アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ」は、男女共用のテープタイプの紙おむつです。<背モレ防止ポケット>が、寝ているときの背中からのモレをしっかり防ぎます。アンモニアなどのニオイを吸収する消臭機能を備え、洗い立ての肌着のような香り付きなのもポイント。おむつの中心と体の中心を簡単に合わせられるセンターライン(中心線)付きで、交換の手間を軽減できます。
「アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ」については、下記のページをご覧ください。
アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ S
アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ M
アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ L
アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ LL
介護保険は、介護をする方の負担を減らし、介護を受ける方が適切なサービスを受けられるよう工夫された、公的な社会保険制度です。介護をする方が1人、あるいは家族の中だけで負担を抱えるのではなく、地域や社会全体で介護を支えることを目的としています。
介護保険は、介護保険料をきちんと納めていれば、誰でも利用可能です。いざ、介護が始まるというときにしっかり活用できるよう、制度の概要や利用条件などを確認しておきましょう。
介護保険の加入対象者は、40歳以上のすべての国民です。その中でも、65歳以上は第1号被保険者、40歳から64歳までは第2号被保険者に分けられます。介護保険の支払義務は40歳になった月から亡くなるまで発生し、第1号被保険者は基本的に年金から、第2号被保険者は健康保険料から一括徴収される仕組みです。
なお、健康保険に加入していない40~64歳の生活保護受給者や、指定障害者支援施設、救護施設といった介護保険適用外の施設に入所している方は、介護保険の対象者となりません。
介護保険の給付による介護サービスを受ける場合は、お住まいの市区町村から要介護認定を受ける必要があります。要介護認定の申請から介護サービスを利用するまでの手順は、下記のとおりです。
<介護サービスを利用する手順>
1. 市区町村の窓口で要介護・要支援の認定申請をする。
2. 介護認定調査員による認定調査を受ける。
3. 認定結果の通知が届く。
4. 要介護度に応じて、地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所へケアプランの作成を依頼する。
5. ケアプランを作成する。
6. 介護サービス事業者と契約する。
7. 介護サービスを利用する。
※施設サービスを利用する場合は、希望する施設へ直接申し込みます。
介護サービスを利用する際には、所得に応じた自己負担が必要です。通常、サービス費用の1~3割が自己負担額となり、残りの金額は介護保険から支払われます。介護保険には要介護度の認定区分に応じた1ヵ月あたりの支給限度額があり、その範囲内であれば、所得に応じた1〜3割の自己負担で介護サービスが利用可能です。ただし、支給限度額を超えた場合、超過分は全額自己負担となります。
画像提供/PIXTA