すぐに役立つ介護の情報介護と上手に付き合うために
食事のポイント
食事は、体力と生命維持のための栄養摂取であると同時に大きな楽しみの一つです。手間のかかる食事の準備や介助は介護をする人にとってたいへんですが、発想を転換し、いっしょに食事を楽しもうという心のゆとりを持てるようにしてみませんか。
食事の工夫
- 食事の時間を一定に
- 食事は、毎日の生活の中の大きな楽しみの一つです。食事のお世話をするうえで気をつけることは、生活のリズムを保つためにも、食事の時間を一定にすることです。お年寄りの生活のリズムや食事のとり方に合わせて介護を、時には二食でも、あるいは四食でもかまいません。
- 家族と一緒に食事を
- 食事の制限がなければ、家族と同じ献立を用意し、分量だけを少なめにしたり、食べやすくしたりしましょう。
また、車椅子を利用しても家族と一緒の食卓について食事をするようにしましょう。ベッドで食べる場合もできれば家族の食卓が見えて、話し声が聞こえるほうが望ましいです。 - 自分で食べられる工夫を
- 食事はできるだけ自分で食べてもらうようにしましょう。そのために工夫された食器やスプーン、はしなどの食事用品がたくさん市販されていますので、お年寄りの障害度に合った、使い勝手がよく、清潔に保て、壊れにくいものを選ぶとよいでしょう。
食事の時の姿勢
上体が起こせる場合
ギャッジベッドでないときは背中にクッションなどを置いて支えにする。
気道ができるだけとじるようにするため、頭と肩はやや前かがみにし、あごを下に引いて胸につけるようにします。
※できれば少し前かがみの姿勢で食べたほうが、むせず安全です。
食事前の準備
- 食事前の準備
- 食事に集中するためにも、事前に排泄をすませるようにしましょう。また、感染予防のためにも手洗いは大切です。食前の口腔ケアは、嚥下の準備になり、食事をおいしく食べるためにも、誤嚥を防ぐためにも大切です。
- 嚥下体操
- 嚥下障害がある方の場合、嚥下体操をすることで嚥下に関係する筋肉がリラックスし、また、「さあ、食べよう」という心の準備もできます。嚥下体操のほかアイスマッサージも、食事がスムーズに喉をとおるようになるため、行うとよいでしょう。
- 食事の姿勢
- 食事の時は、しっかりと安定した少し前かがみの姿勢をとりましょう。ベッドで食べる場合も、可能であればベッドに腰掛けて食べるようにしましょう。リクライニング車椅子は、半座位での食事の時にも車椅子のまま食事ができるので便利です。姿勢の条件が指示されている場合は、誰でも正確にできるように、30度、45度等のボール紙角度計をベッドサイドにおいたり、ベッドの支柱に印をつけるなどの工夫をしましょう。
食事
食事内容
- 低栄養に注意
- 高齢になると食が細くなるため、栄養に偏りがでたり、低栄養の状態になったりすることがあります。低栄養の状態になると、精神や体の機能が低下し、さらに栄養状態が悪化
- バランスのとれた食事を
- 健康のためには栄養のバランスのとれた食事をとることが望まれます。そのためには、いろいろな種類のものを過不足なくとるようにしましょう。
- たんぱく質
- 少なくとも一食に肉、卵、魚、豆類、チーズを。
- くだもの
- ビタミン・ミネラル類の供給源。
- 水分
- 水分不足でも気づきにくいので、積極的に水分をとるように。
- 塩分
- 塩分はとりすぎないよう、塩やしょうゆを控えめにして1日10g以下に。
- 食物繊維
- 不足すると便通が悪くなる。海そうや、にんじんなどの根菜類を意識してとるように。
- 野菜
- 不足しがちですが、毎食欠かさないように。
- 牛乳
- カルシウム補給のために、毎日コップ一杯の牛乳を。
献立・調理の工夫
- 一口で食べられる大きさ、手でつまんだり、はしやスプーンでとりやすくするなど、食べやすく工夫を。
- あまりパサパサしたものは、むせたりつかえたりしやすいので、汁気を含ませ食べやすく調理しましょう。
- 脂っこいもの、塩からい味つけはひかえめに。
- 家族と同じもので、味つけを工夫し、つくる人の負担も少なくしましょう。酢、ゆず、しそ、ごまなどを好みに応じて利用しましょう。
- 一口で食べられる大きさ、手でつまんだり、はしやスプーンでとりやすくするなど、食べやすく工夫を。
- あまりパサパサしたものは、むせたりつかえたりしやすいので、汁気を含ませ食べやすく調理しましょう。
- 脂っこいもの、塩からい味つけはひかえめに。
- 家族と同じもので、味つけを工夫し、つくる人の負担も少なくしましょう。酢、ゆず、しそ、ごまなどを好みに応じて利用しましょう。
水分補給
お年寄りは、脱水状態になりやすいため、水分を十分に取るようにしましょう。水分が不足すると、消化や排泄機能が妨げられたり、粘膜や皮膚の弾力性が失われるなどの障害が起こるだけでなく、血液が流れにくくなり、脳梗塞を起こしやすくなります。糖尿病の人の場合は特に流れにくくなりますので、気をつけましょう。
1日にコップ5杯くらい(約1000cc)の水分は、食事とは別にとるようにしましょう。
口腔ケア
嚥下障害があると口の中が汚れやすくなることが多く、歯周病だけでなく、口の中の汚れただ液が気管に入り、肺炎を起こす危険があるため、口腔ケアは、大切です。口腔ケアは、ブラッシングなどにより、舌、口びるの運動、口の中の過敏性や感覚低下にも良いため、嚥下訓練の一つと考えられます。
口腔ケアは、”ブラッシング“と”うがい“が基本ですが、誤って気管に入れないようにする工夫が必要です。
姿勢は、安定して座り、少し前かがみになります。半座りの場合は、枕を高くして首を横に傾けます。寝たままの場合は完全に横向きになり、顔を少し下に向けます。自分でうがいができない場合は、指で頬を下げて水が流れるように溝を作り、ぬるま湯を流して洗います。
歯ブラシは、ブラシの部分が小さく、柔らかいものが良いです。また、歯ブラシの柄を太くする、長くする、曲げるなどの工夫により、できるだけ自分でできるようにしてあげましょう。
入れ歯は、入れ歯用歯ブラシを使い流水で洗いましょう。また、入れ歯用洗浄液に浸し汚れを取ることも必要です。