記事公開:2024.11.27
介護における入浴介助の重要性とその方法について、浴室の安全確保や適切な入浴時間などの留意点、具体的な介助入浴の手順を詳しく解説します。
ある介護にたずさわっていらっしゃる方のお話しでは、そのお宅のおじいちゃんが、いちばんうれしそうな顔になるのが「お風呂」の時だそうです。精神的にもメリハリができるなど、効用もいろいろ。さあ、はりきって、キレイにしてあげましょう。入浴だけでなく、体を清潔に保つことは大切です。その方にあった方法で清潔にしてあげましょう。
この記事のポイント
浴室の出入り口は広く、そして引き戸にしましょう。また、できれば緊急ブザーを付けると良いでしょう。
こわいのは、何と言っても転倒によるケガです。使いやすい位置に手すりを付け、腰掛け板(バスボード)、シャワー用いす、すべり止めマット等をそろえると良いでしょう。
入浴時間は、5〜15分。
週2回、お湯につかるのは5分くらい、あがるまで15分程度が疲れない入浴時間です。
お湯の温度は、摂氏40度くらい。
お年寄りの皮膚は、若い人に比べて温度を感じにくくなっています。特に熱すぎるお風呂は危険です。お湯の温度には充分注意しましょう。
浴室や脱衣場は暖かく。
特に寒い季節は、部屋の中と温度差がないように気を配りましょう。
入浴は、皮膚を清潔にするだけでなく、ストレスも解消し、体の緊張を解きほぐす効果もあります。長期にわたる関節痛なども、温めれば和らぎます。
顔色・気分のよしあし、目まいはないか、に注意しましょう。
平熱より高ければ、やめておいたほうがよいでしょう。
血圧・脈拍の基準値を、医師に聞いて把握しておきましょう。
食前・食後の1時間は避け、排泄もすませておきましょう。
お湯の温度、石けん・タオル・シャワー用いすなど事前に準備をすませておきましょう。
浴槽の出入りの仕方
台やバスボードを使って
マヒのある場合は、台や板に腰掛けたかたちからマヒのない側の足を先に浴槽へ。介護をする人は背中を支えながら、もう一方の手でマヒ側の足を持ち上げましょう。
手すりにつかまりながら出入りできればより安全です。湯の浮力でかえってバランスを失うことがあるので、ご注意を。
(1)足、全身の順でお湯をかける
(2)頭を洗う
(3)顔から首、腕や手、胸(女性は乳房の下も丁寧に)、おなか(「の」の字を描くように)、足(指のあいだも忘れずに)、背中、陰部(自分で洗えるならまかせる)、の順に洗っていきましょう。なお、石けんを残さないよう、十分に洗い流すようにしましょう。
脱衣場に椅子を用意しておき、座らせて手早く拭きます。脇の下・陰部・股間は湿り気が残りやすいので、特に念入りに拭き取りましょう。ただし、強くこすりすぎないように。
特に汚れやすい部分なので、1日1回はきちんと洗いたいものです。温かいお湯の中で動かすことは、リハビリにもつながります。
1.洗面器のお湯に手をつけ、タオルやガーゼを使って石けんでよく洗います。マヒがある場合は手を充分温めてから、指の間も入念に洗いましょう。
2.お湯を変えてよくすすぎ、乾いたタオルで拭き取ります。
手順は手浴と同じです。ぬるめのお湯を使い、冷めたらさし湯でおぎなうのがよいでしょう。足元から膝に向かって洗うのが基本です。
髪の汚れやにおい、頭のかゆみは、大変不快で気になるものです。少なくとも週1回は、髪を洗ってあげましょう。入浴時に洗髪するのが一番ですが、入浴できない時には、手浴や足浴と同じ感覚で手早く洗髪してあげれば、気分もスッキリします。
1.頭が低く(お湯が流れやすく)なるように座ぶとん等で傾斜をつけ、ケリーパッドを頭の下にあてて、洗う準備を整えます。
2.最初に髪をよくブラッシングしてから、やかんを使って、お湯で髪を濡らします。
3.シャンプーをつけ、指の腹で地肌をよくマッサージしながら洗います。衿足や首の後ろはていねいに、後頭部は頭を静かに持ち上げて洗います。
4.洗った後、タオルで泡をふきとってからお湯で数回すすぎ、リンスをつけて、最後に軽くすすぎます。目や耳にお湯が入らないよう気をつけましょう。
5.髪を絞るようにして水分を取り、乾いたタオルで水気を取ります。耳に入った水分は、綿棒で取りましょう。
6.ドライヤーは少し離し、顔に熱風がかからないように手で覆いながら乾かします。
洗面台、台所の流し台、浴室などで行えば、楽にできます。洗面台や流し台では、前かがみで洗います。回りに水が飛び散るので、ビニールシートを敷いておきましょう。
ドライシャンプーを使ったり、頭皮を充分にマッサージし、その後蒸しタオルで拭くだけでもさっぱりします。
1.タオルを適当な大きさに巻きます。
2.ストッキングの中に入れ、両端を輪ゴムで止めます。
3.大きなビニール袋の中に入れ、口元を小さくたたみ、ガムテープでしっかり押さえます