記事公開:2024.10.30
「在宅介護は家族の負担が大きい」と耳にすることが多くあります。でも、具体的にどんなことが大変なのかは、介護の経験がある方でないとわからないものです。
そこで今回、在宅介護の経験があるクラブエリエール会員の方々に、アンケート調査を実施。家族の負担が大きい介護について、経験者の声をお聞きしました。また、介護の負担を軽減する方法についても、併せて解説します。
※コメントは一部抜粋しています。
【調査概要】
調査対象:在宅介護の経験があるクラブエリエール会員の20~80代男女
調査期間:2024年7月24日~7月30日
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:575件
在宅介護の経験がある方に「在宅介護で予想以上につらかった介助はありますか?(複数回答)」と聞いたところ、最も多かった答えは「排泄介助(57.6%)」となりました。以下、「移動介助(48.3%)」「入浴介助(40.0%)」と続いています。
アンケートの結果と寄せられたコメントをもとに、それぞれの介護の内容と負担が大きい理由について解説しましょう。
排泄介助とは、介護を受ける方の排便・排尿をサポートする介助です。介護を受ける方がトイレまで移動できる場合は、歩行や便器への移乗を助けたり、衣服の着脱を手伝ったり、排泄の後始末をしたりします。寝て過ごすことが多い方の場合は、しびんなどの尿器を使った排尿やおむつ交換などのケアも行います。
排泄介助の負担が大きい理由として、アンケートでは「おむつ交換が大変」「回数が多い」「夜中に起きなければならない」「ニオイ・汚れ・モレ」「羞恥心に配慮しなければならない」などの意見がありました。「現実を直視したとき、思っていた以上にショックを受けた」という声もあり、理解はしていても、実際に目の当たりにすると想像以上につらいと感じる方が多いようです。
移動介助は、介護を受ける方の移動をサポートする介助です。移動中は転倒や転落の危険があるため、事故を防ぐための配慮が求められます。
移動介助のひとつ「歩行介助」は、介護を受ける方を「寄り添い歩行」や「手引き歩行」などで介助するというもの。歩くだけに見えても、介護を受ける方の体を安定させて全身で支えるには、相当な体力が必要です。
また、移動介助には、ベッドや車椅子への移乗をサポートする「移乗介助」もあります。寝たり座ったりしている状態の方を引き上げる必要があり、こちらも重労働です。
アンケートでは、「ベッドからポータブルトイレまでの移動だけでも大変」「荷物を持ちながら体を支えるのがつらい」「転びやすく、いつも心配している」などの意見がありました。
入浴介助とは、介護を受ける方の入浴をサポートする介助です。肩まで浴槽に浸かる一般浴、シャワーのみを行うシャワー浴、ストレッチャーやリフトなどがついた専用の浴槽を使う機械浴などがあります。
入浴介助は、介護を受ける方が転倒しないように体を支えながら、体が冷えないよう気を配り、一人では洗いにくい部分の洗浄を手伝うなど、一度にいくつものタスクをこなしながら行う必要があり、こちらもつらいと感じる方が多いようです。
アンケートでは、「大人を抱えるのは重労働」といった意見や、「入浴を嫌がるので、毎回説得するのが大変」といった声もありました。
家の中で過ごすことが多くなった高齢者の方にとって、ご家族との会話は数少ないコミュニケーションの機会です。介護においては、適切な声掛けによって日常生活をスムーズに過ごすこともできるでしょう。
しかし、介護をする側・介護を受ける側となったとき、その関係性は以前までと少なからず変わってしまう場合があります。また、介護を受ける方が認知症をわずらっている場合には、急に怒りっぽくなったり、意思の疎通が難しくなったりして、とまどうケースが多いようです。
アンケートでは、「24時間いっしょなので、精神的につらい」「介護サービスの提案を受け入れてくれない」「認知症との向き合い方が難しい」といった意見がありました。
介護には、思いのほか多くの手続きが必要です。介護保険の給付を受けるための申請や介護サービスの申込み、施設の予約、スケジュール管理など、事務手続きだけでも多岐にわたります。
また、介護サービスの利用費、紙おむつや福祉用具の購入費など、介護が必要になってから新たに発生する費用も多いため、金銭の管理も必要となります。
アンケートでは、「役所の手続きをすべて一人で行い大変だった」「介護のために遠方から通う必要があり、交通費がかさむ」という声もありました。
衣類を着替えさせるだけなら簡単なように思いがちですが、排泄の失敗などで1日に何度も着替えさせる必要があったり、介護を受ける方が着替えを拒否したりすると、その手間は何倍にもなります。 また、寝て過ごすことが多い方の場合は、全身を抱える必要があり、重い体を支えることにつらさを感じる方も多いようです。
アンケートでは、「体温調節が難しい」といった声もありました。
介護、仕事、家事、育児は、それぞれを単体で行うだけでも並々ならぬ労力が必要です。自分の時間を削って介護にあてている方が多く、身体的な負担も大きいことがうかがえます。また、両立の難しさから、やむなく介護離職を選ぶケースもあるようです。
アンケートでは、「フルタイムで働き、家事と育児に加えての介護なので、自分の休みは皆無」「週末だけ帰省しているが、移動だけで疲れる」という方や、「自分のキャリアをあきらめた」という方もいました。
高齢になると噛む力や飲み込む力が低下するため、誤嚥を防ぐためにも食事の見守りは欠かせません。また、食べやすくするために食材を刻んだり、とろみをつけたりといった手間が必要なことを負担に感じる方も多いようです。
アンケートでは、「食事の下準備が多い」「食事を喜んで食べてもらえない」という意見もありました。
介護を受ける方は、さまざまな疾患を抱えていることが少なくありません。薬の種類が多くなると、服薬回数や服薬時間が異なることもあるため、飲み忘れや飲み間違いが起こらないよう管理が複雑になります。また、在宅介護にはホームヘルパーや訪問看護師など複数の人が関わるため、情報共有にも苦労する方が多いようです。
厚生労働省は在宅医療を推進しており、在宅介護で通院が難しい場合でも、医師の往診や訪問診療が受けられます。その分、介護をする方に、日常的な介助に加えて医療的なケアが求められるケースもあるのです。
アンケートでは、「呼吸器の疾患のために酸素ボンベが手放せない」「排泄介助ごとにストーマ装具を処理するのがつらい」「尿カテーテルが外れる」といった声もありました。
在宅介護で、介助以外の「予想していたよりもつらいこと」を聞いたところ、「家族の役割・連携」「負担の公平感」「同居外の家族とのコミュニケーション」などの家族間での人間関係や、「自分の時間がない」「ストレス発散の仕方がわからない」といった精神面での負担を挙げる意見がありました。
また、「自分も病気なのに通院もままならない」「元々腰に持病があったが、悪化した」など、介護をする方の健康面の負担もあるようです。さらに、「親が申し訳なさそうにしていることがつらい」「介護には正解がないこと」という回答もありました。
在宅介護の負担は、精神的負担・身体的負担・経済的負担の3つに分類できるとされています。厚生労働省の「市町村・地域包括支援センターによる家族介護者支援マニュアル」によると、3つの負担のうち、「(負担を)とても感じている・まあ感じている」と答えた人の割合が最も大きかったのは精神的負担で、回答者の割合は6割以上となっています。
また、身体的負担・経済的負担についても、それぞれ5割弱の人が「(負担を)とても感じている・まあ感じている」と回答しています。
出典:厚生労働省「市町村・地域包括支援センターによる家族介護者支援マニュアル」
在宅介護の精神的・身体的・経済的負担は、同時にかかってくることがほとんどです。この状態が続くと、介護をする方の健康や生活が損なわれるおそれがあります。
気分転換やストレス解消の時間が取れない、いっしょに取り組んでくれる人・相談できる相手がいないといった環境で追い詰められ、介護をする方がうつ病や介護放棄に陥ることは、珍しいことではありません。気丈に介護に取り組んでいる方でも、移動や排泄、入浴などの介助を行う身体的負担は大きく、疲労は溜まっていくものです。
また、介護離職や介護関連の支出が増えたことによる経済状態の悪化は、生活へも影響を及ぼします。こうした状況にならないためにも、在宅介護の負担を減らし、問題を一人で抱え込まないことが大切です。
在宅介護の負担を減らし、ご自身や介護を行う家族の生活を守るためには、外部の力を借りることが欠かせません。ここでは、在宅介護を一人で抱え込まないための方法を4つご紹介します。
在宅介護の負担を軽減するためにまず行うべき方法が、地域包括支援センターへの相談です。地域包括支援センターは、高齢者のための総合窓口といえる施設で、各市区町村に設置されています。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門家が在籍していて、無料で相談することができます。
在宅介護の不安や悩みを専門家に話すことで、気持ちの整理ができたり、利用できる制度の情報が得られたりと、さまざまなメリットがあるはずです。
また、介護保険の申請窓口としても利用でき、ケアマネジャーとの連携も図ってもらえます。
すでに介護サービスを利用している場合は、ケアマネジャーに相談してケアプランを見直すことも、在宅介護の負担を軽減するひとつの方法です。ケアプランは必要に応じて見直すもので、家族の負担を減らしたいということも、見直しの十分な理由になります。
ケアマネジャーはケアプランを作成する専門家なので、困っていることやプロの力を借りたい介助について、どんどん伝えていきましょう。問題を解決する適切なケアプランを提案してくれるはずです。
在宅介護の負担を軽減する方法に、「レスパイトケア」があります。レスパイトケアは「息抜き」「小休止」という意味で、介護をする方の休息を目的とした介護サービスのことです。
介護を受ける方が日帰りで施設に通うデイサービスやデイケアといった通所サービス、数日~30日間の宿泊が可能なショートステイなどが利用できます。これらのサービスは、介護疲れといった介護をする方側の理由であっても利用できるようになっています。
介護で受けられる給付金や補助金を受け取ることは、在宅介護の経済的負担を軽減する方法のひとつです。例えば、介護休業を取得した場合、雇用保険から支給される介護休業給付の受け取りが可能です。
また、自宅のバリアフリー工事を行った場合は、介護保険から居宅介護住宅改修費が給付されます。さらに、介護サービスを1年間利用しなかった場合には、地方自治体が実施する家族介護慰労金を受け取ることもできます。
監修者のご紹介
中谷ミホさん
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士。福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在は介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆。介護・福祉関連書籍の監修も手掛けている。
在宅介護の中でも、最も家族の負担が大きい排泄介助。また、アンケートの中でも特に声が多かったのが、夜間の排泄介助の大変さです。介護をする方・介護を受ける方の双方に寄りそう「アテント」シリーズでは、夜のおむつ交換の回数を減らし、トイレを気にせずぐっすり眠れるアイテムをラインナップしています。
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」は、就寝中も使えるパンツタイプの紙おむつです。おしっこ約8回分※をしっかり吸収し、パッドを使わず1枚でも安心の吸収量となっています。<背モレ防止ポケット>が、仰向け寝の状態でも背中からのモレを軽減。尿量の気になる方や、こまめに交換できない方にもおすすめです。
※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 M
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 L
「アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり」は、パンツタイプでうす型の夜用紙おむつです。脚を通しやすいすっきり形状で、片手での上げ下げも楽々。おしっこ約4回分※をしっかり吸収できることに加え、脚まわりの違和感が軽減された、下着のようなはき心地を実現しています。しっかりフィットする<Wギャザー構造>で、脚まわりからもモレにくく、朝まで安心して眠れます。
※ 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり 男女共用 M
アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり 男女共用 L
「アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈」は、うす型で丈が長い、パンツタイプの夜用紙おむつです。脚まわりが+8.5cmのロング丈※1になっているので、夜間のモレに強く、おしっこ約4回分※2を吸収。おしり全体をやさしく包むふんわりとしたフィット感で、一晩中ぐっすり眠れます。
※1 「アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり」との比較。
※2 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈 男女共用 M
アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈 男女共用 L
在宅介護は、介護をする方に精神的、身体的、経済的負担がかかるもの。介護をする方は、介護の負担を一人で抱え込まないことが大切です。地域包括支援センターに相談する、ケアマネジャーにケアプランを見直してもらう、レスパストケアを受ける、給付金を受け取るなど、支援の仕組みや制度を上手に活用しましょう。
また、在宅介護の中でも特に負担が大きい夜間の排泄ケアについては、「アテント」シリーズが役立ちます。朝まで安心して眠れる、アテントの「夜1枚安心」シリーズをぜひご活用ください。
在宅介護の経験がある方に「在宅介護で予想以上につらかった介助はありますか?(複数回答)」と聞いたところ、最も多かった答えは「排泄介助(57.6%)」でした。以下、「移動介助(48.3%)」「入浴介助(40.0%)」と続いています。
なお、厚生労働省の調査では、在宅介護でかかる負担を精神的、身体的、経済的の3つに分類した場合、6割以上の介護経験者が「介護で精神的負担を感じている」と回答しています。
在宅介護の負担を軽減し、ご自身や介護を行う家族の生活を守るためには、外部の力を借りることが欠かせません。まずは最寄りの地域包括支援センターに相談して、専門家の支援を受けましょう。
ケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、適切な介護サービスを受けることが、介護をする方の休息にもつながります。地域包括支援センターへの相談は無料で行えるので、介護の不安や悩みを一人で抱え込まず、気軽に相談してみることが大切です。
レスパイトケアは「息抜き」「小休止」といった意味で、介護をする方の休息を目的とした介護サービスです。介護を受ける方が日帰りで施設に通うデイサービスやデイケアといった通所サービス、数日~30日間の宿泊が可能なショートステイなどが利用できます。これらのサービスは、介護疲れといった私的な理由でも利用可能です。
画像提供/PIXTA