記事公開:2024.10.25
在宅介護で大変なことは?と聞かれて、まずイメージするのは排泄介助ではないでしょうか。特に高齢の方は、就寝中でもトイレのために起きてしまうことが多く、夜中でもトイレ介助やおむつ交換が必要となることがあります。
介護をする方の睡眠不足も深刻で、「何とかしたい」と思っている方は多いはず。そして、これから介護が始まる方にとっては、具体的にどのようなことが大変なのか、そして少しでも負担を軽減できるコツを知りたいところですよね。
そこで今回、在宅介護の経験がある方々にアンケートを実施。介護の中でも、特に排泄介助の実情をお聞きしました。また、高齢者になると夜中のトイレの回数が増える原因や、その対策方法についても併せて解説します。
※コメントは一部抜粋しています。
【調査概要】
調査対象:在宅介護の経験があるクラブエリエール会員の20~80代男女
調査期間:2024年7月24日~7月30日
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:575件
在宅介護の経験がある方に「在宅介護で予想以上につらかった介助はありますか?(複数回答)」と聞いたところ、「排泄介助」の選択肢が1位に挙がりました。
設問の選択肢には、そのほかの各種介助や「介護を受ける方とのコミュニケーション」「仕事や家事育児との両立」といった10項目を設けていましたが、排泄介助の項目で「予想以上につらかった」と答えた方が57.6%で1位という結果になっています。
「排泄介助が予想以上につらかった」と答えた方(331人)にその理由をお聞きしたところ、さまざまな回答が寄せられました。ここでは、その一部をご紹介します。
・夜間の対応
「夜中、トイレについていかないといけない」
「夜中に起きるのがつらい。二度寝が困難で、いつも睡眠不足」
「夜間の排泄介助の回数が思っていたよりも多かった」
「睡眠がゆっくり取れないので体が休まらない」
・トイレやおむつ交換の回数が多い
「1日に何度も、それも不規則に介助しなければならない」
「1回の尿量が少ないのに、トイレに行く回数が多い」
「昼夜問わず回数が多い」
「回数が多く睡眠の妨げになる」
「夜中に頻回は特に大変」
・排泄の時間が読めない
「トイレに着く前に漏らしてしまう」
「排便の時間が一定ではない」
「時刻に関係なく介助していたので疲れた」
「時や場所を選ばず待ったなし」
「トイレと言われて連れて行っても出ないなど、体力だけが消耗したことがあった」
・ニオイや衛生面のつらさ
「ニオイがこもり、後処理が大変」
「どこまで除菌できたかわからないし、ニオイの問題がつらい」
「消臭スプレーを使うと、介助されている本人が気にしてしまうので、使うタイミングにも気を使った」
「トイレを汚すようになり、1日に何度もトイレを掃除するのが苦痛」
・介助に体力が必要
「子どもと違って体が大きい分、大変さが増す」
「思った以上に力がいるので、1人での介助は大変」
「2人掛かりで体を持ち上げて支えた」
「介助することによって、自分の腰が痛くなる」
・配慮が必要
「介護を受けている本人が恥ずかしがる」
「本人の羞恥心もあり、家族としてやりづらい」
「家族に迷惑をかけたくないと、排泄しても黙っている」
「プライドを傷つけないために、どうしたらいいかわからなかった」
・紙おむつが合わない、紙おむつからモレる
「肌が弱かったりおむつに抵抗があったりと、合うものを探すのが大変」
「動けなくなると筋肉が落ちてしまい、おむつに隙間ができる」
「横になって寝ると背中からモレる」
「予想より尿の量・回数が多くモレてしまった」
在宅介護の経験がある方に「夜間の排泄介助で寝不足になった経験はありますか?」とお聞きしたところ、「はい」と答えた方は49.4%でした。日中の介護に加え、睡眠も満足に取れないのでは、疲労が溜まっていく一方です。夜間の排泄介助は、介護をする方にとって負担が大きいことがうかがえます。
介護を受けているかどうかにかかわらず、夜中にトイレに行くことは、高齢者の方に多く見られる行動です。高齢者が夜間に何度もトイレに行く理由には、下記の3つが考えられます。
高齢者が夜中にトイレに行く原因としてまず考えられるのが、加齢や疾患による「夜間頻尿」です。夜間頻尿とは、就寝中、排尿のために起きる回数が1回以上あることを指し、年齢とともに夜間にトイレに行く回数は増える傾向があります。60歳以上で夜間頻尿がある人の割合は、女性で7割以上、男性では8割以上です。
夜間頻尿の原因としては、「尿量の増加」「膀胱容量の減少」「睡眠障害」などが挙げられます。
・尿量の増加
高齢者の場合、夜間のみ尿量が増える夜間多尿であることが多く、加齢に伴うホルモンバランスの乱れのほか、高血圧や心不全、腎機能障害、糖尿病といった病気が影響しています。
・膀胱容量の減少
加齢による膀胱の筋力・機能低下や、男性の前立腺肥大症などにより膀胱の容量が減少すると、尿を溜められる量が減り、何度もトイレに行かなくてはなりません。
・睡眠障害
眠りが浅くなる睡眠障害の場合、目が覚めるたびにトイレに行くことがあります。
認知症による見当識障害や記憶障害が原因で、夜中に何度もトイレへ行くケースもあります。見当識障害とは、日付や時間、場所などがよくわからなくなっている状態のことです。昼夜の区別がつかず、記憶障害によってトイレにいつ行ったかわからない不安も重なって、尿意がなくてもトイレに行こうとすることがあります。
また、認知症の方は昼夜の生活が逆転していることも多く、日中に寝すぎてしまい、夜に眠れなくなっているケースも少なくありません。
介護を受ける方は、何かしらの病気の治療薬を服用していることも多く、薬の副作用で頻尿症状が表れることがあります。
例えば、過活動膀胱治療薬、胃腸薬、下痢止め薬、抗精神病薬・抗うつ薬、抗不整脈薬といった薬には、尿が出づらくなる排尿困難などの副作用があります。尿が出づらくなると、膀胱内に残る尿(残尿)が多くなりすぐに膀胱がいっぱいになるため、何度もトイレに行くことになるのです。また、認知症を患っている場合は、認知症の治療薬の副作用として頻尿症状が表れることがあります。
介護を受ける方がこうした薬を服用していて、夜間の頻尿症状が顕著なようであれば主治医に伝えて、処方薬の変更も含めて相談するのがいいでしょう。
介護をする方が、排泄ケアのために睡眠不足になってしまう問題を解決するには、介護を受ける方が夜中にトイレに行く原因に沿った対策が必要です。
ここでは、夜中のトイレ介助やおむつ交換の負担を減らすための、具体的な方法をご紹介します。
介護を受ける方が夜間頻尿になっている場合、高血圧や心不全、腎臓機能障害、過活動膀胱、前立腺肥大症などの病気が引き金となっていることが少なくありません。その場合は、原因疾患を突き止めて治療を行えば、改善することがあります。まずは、かかりつけ医に夜間頻尿の症状について相談してみましょう。
治療薬を服用しているような疾患が特になく、頻尿以外に症状が見られない場合は、泌尿器科を受診してみるのがおすすめです。
認知症のためにトイレに行く回数が増えている場合は、排尿日誌をつけるのも対策のひとつです。認知症を患っていると、不安や焦りからトイレに行く回数が増えることがあり、回数を減らすように声掛けをするだけでは効果がありません。排尿日誌をつけておけば、本人も客観的な目線でいつトイレに行ったのかを確認できるので、トイレに行く回数が多いことを自覚できます。
排尿日誌には、排尿時刻に加え、尿の量、飲水量、水分をとった時間、尿モレの有無なども記載しておきましょう。データが3日分程集まれば、摂取する水分の量やタイミングのコントロールにも役立ちます。
夜中のトイレ介助の負担を減らすには、ポータブルトイレを利用するのも一案です。ポータブルトイレはベッドの横などに設置できる簡易トイレで、便座の下にバケツを入れて使用します。排泄後の処理の手間はありますが、トイレまで歩行介助を行う必要がなくなるため、移動に伴う負担を軽減できます。
また、介護を受ける方にとっては、歩行による転倒などのリスクを防ぐこともできるでしょう。
夜中のトイレ介助の負担を減らし、おむつ交換の手間を少なくするには、夜用の大人用紙おむつを利用するのもおすすめです。大人用紙おむつには、吸収量の多いタイプや、睡眠時に最も多い脚まわりのモレをしっかり防ぐタイプなど、たくさんの種類があるので、介護を受ける方の排尿状況に合った紙おむつを選びましょう。排尿日誌をつけて夜間の尿量や排尿回数がわかれば、紙おむつ選びの目安にもなります。
介護を受ける方によっては、「夜用紙おむつだとゴワゴワして眠れない」など、はき心地や肌ざわりを気にすることもあります。夜中のおむつ交換を減らすためにも、いろいろな紙おむつを試してみて、介護を受ける方が朝まで快適に眠れるものを探してみてください。
監修者のご紹介
井上 雅先生
日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医、日本女性骨盤底医学会専門医、漢方専門医、日本性機能学会専門医。高知医科大学医学部医学科卒業、岡山大学大学院医歯学総合研究科卒業。岡山大学附属病院泌尿器科や岡山中央病院泌尿器科、岡山労災病院婦人科勤務を経て、2013年にみやびウロギネクリニックを開院。泌尿器科と婦人科の両面からの診療を行っている。
みやびウロギネクリニック
睡眠中につける紙おむつは、介護を受ける方の睡眠を朝まで邪魔しないよう、はき心地や肌ざわりにもこだわりたいもの。そんなときは、心地よい睡眠をサポートする大人用紙おむつ「アテント」の「夜1枚安心」シリーズがおすすめです。モレの不安が軽減され、朝までぐっすり眠れることで、介護をする方の睡眠不足解消にも役立ちます。
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」は、アテント紙パンツ史上最高※1の吸収量を誇るパンツタイプの紙おむつです。おしっこ約8回分※2をしっかり吸収し、パッドを使わなくても1枚で朝まで安心。仰向け寝の状態でも<背モレ防止ポケット>が背中からのモレを軽減します。夜間のおむつ交換回数が多い方にもおすすめです。
※1 国内大人用紙パンツとして。大王製紙調べ(2019年1月時点)。
※2 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適」については、下記のページをご覧ください。
アテント 夜1枚安心パンツ パッドなしでずっと快適 男女共用 M
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「アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり」は、パンツタイプでうす型の夜用紙おむつです。脚を通しやすいすっきり形状で、片手での上げ下げも楽々。おしっこ約4回分※をしっかり吸収するのに脚まわりの違和感が軽減された、下着のようなはき心地を実現しています。しっかりフィットする<Wギャザー構造>で脚まわりからもモレにくく、朝まで安心して眠れます。
※1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
「アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり」については、下記のページをご覧ください。
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アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり 男女共用 L
「アテント 夜1枚安心パンツ 脚まわりロング丈」は、うす型で丈が長い、パンツタイプの夜用紙おむつです。おしっこ約4回分※1を吸収し、脚まわりを包み込むプラス8.5cmのロング丈※2で、夜間のモレに強いのが特長。おしり全体をやさしく包むふんわりとしたフィット感で、一晩中ぐっすり眠れます。
※1 1回の排尿量150mlとして。大王製紙測定方法による。
※2 「アテント 夜1枚安心パンツ はき心地すっきり」との比較。
「アテント 夜1 枚安心パンツ 脚まわりロング丈」については、下記のページをご覧ください。
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夜間の排泄介助は、介護をする方、介護を受ける方、双方への負担が大きく、睡眠不足でお悩みの方は少なくありません。夜中のトイレ介助やおむつ交換の負担を軽減するためにも、夜間頻尿の原因となる病気を探ったり、排尿日誌をつけたりして、介護を受ける方の夜間の排尿状況をしっかり把握することが大切です。その上で、ポータブルトイレの設置や、大人用紙おむつの使用を検討してみましょう。
大人用紙おむつ「アテント」の「夜1枚安心」シリーズは、商品ごとに睡眠時のさまざまなニーズに合った機能を備え、おむつ交換の頻度を減らせるのが特長。介護をする方、介護を受ける方の双方が朝までぐっすり眠れる、アテントの「夜1枚安心」シリーズを、ぜひご活用ください。
高齢者が夜中に何度もトイレに行く理由としては、加齢や疾患による夜間頻尿、認知症による見当識障害や記憶障害、病気の治療薬の副作用が考えられます。60歳以上で夜間頻尿がある人の割合は、女性は7割以上、男性は8割以上に上り、年齢が上がるに従って、夜間にトイレで起きる回数も増える傾向があります。
夜間の排泄ケアの回数を減らすには、下記の方法があります。
・夜間頻尿の原因となっている病気の治療を行う
・排尿日誌をつける
・ポータブルトイレを利用する
・夜用の大人用紙おむつを利用する
夜中のおむつ交換を減らすには、夜用の大人用紙おむつを利用するのがおすすめです。大人用紙おむつには、吸収回数の多いタイプや、モレをしっかり防ぐタイプなどたくさんの種類があるので、介護を受ける方の排尿状況に合った紙おむつを選びましょう。排尿日誌をつけて夜間の尿量や排尿回数がわかれば、紙おむつ選びの目安にもなります。
介護を受ける方によっては、厚めの紙おむつだとゴワゴワして眠れないなど、はき心地や肌ざわりを気にすることもあります。いろいろな紙おむつを試してみて、介護を受ける方が朝まで快適に眠れるものを探してみてください。
画像提供/PIXTA