記事公開:2024.6.25
介護に必要な大人用紙おむつには、介護を必要とする方の状態に合わせて、さまざまな種類があります。介護にあたって大人用紙おむつを選ぶときは、介護する方・介護を受ける方のどちらもが快適に使えるものを選ぶことが大切です。
ここでは、介護に必要な大人用紙おむつの種類とそれぞれの特徴、選び方のポイント、着用方法について解説します。
介護に必要な大人用紙おむつの種類は大きく2つあり、「外側にはくおむつ」と「内側にあてるパッド」に分けられます。さらに、外側にはくおむつには「パンツタイプ」と「テープ止めタイプ」の2種類、内側にあてるパッドには「紙パンツ用パッド」と「テープ用パッド」の2種類があり、合計4種類あります。
それでは、外側のおむつと内側にあてるパッドの選び方を見ていきましょう。
■介護に必要な大人用紙おむつの種類
外側にはくおむつは、単独でも使用できます。介助があれば立てる・座れる場合は「パンツタイプ」、寝て過ごすことが多い場合や主におむつ内で排泄する方には、「テープ止めタイプ」が向いています。
■外側にはくおむつのタイプと体の状態
パンツタイプは、一般の下着と同じようにはくタイプのおむつです。形が下着に近く、下着の代わりとして使用できるのが特徴。尿モレがある方や、一人で歩けるけれどトイレに間に合わないことがあるという方、介助があれば立てる・座れるという方に適しています。吸収量の違いによって、「超うす」や「うす型」「長時間用」「夜用」などのバリエーションがあります。また、軽い尿モレが気になる方向けの商品もあります。
テープ止めタイプは、ウエスト部分をテープで止めるタイプのおむつです。介護を受ける方が横になった状態のままで、おむつを交換することができます。
体にフィットしやすく、横モレや背モレをしにくいのが特徴。介助があれば座れる方や、寝て過ごすことが多い方に適しています。
内側にあてるパッドは、外側にはくおむつの内側にあてて使用する吸水パッドです。パンツタイプのおむつにぴったり収まる「紙パンツ用パッド」と、テープ止めタイプのおむつに適した「テープ用パッド」があります。
外側にはくおむつと組み合わせて併用することで、数回分のおむつ交換をパッドだけの交換で済ませることが可能。パッドは外側にはくおむつより価格が安いので、経済的な負担を減らすことができます。また、おむつではなく、普通の布下着に貼って使う軽失禁用パッドもあります。
紙パンツ用パッドは、パンツタイプのおむつ専用の吸水パッドです。パンツタイプのおむつに幅がぴったり収まる設計になっています。ズレ止めテープがついており、動いてもズレにくいのが特徴です。
テープ用パッドは、テープ止めタイプのおむつ専用の吸水パッドです。寝て過ごすことが多い方に向けて作られており、尿量や交換頻度に応じてさまざまな種類があります。吸収回数や大きさの違いのほか、軟便モレを防ぐための軟便用パッドなどもあります。
パンツタイプのおむつには、厚みや吸収量、サイズなどの違いで、さまざまなバリエーションがあります。ここでは、パンツタイプのおむつを選ぶときの、5つのポイントについてご紹介します。
パンツタイプのおむつは、必要な吸収回数に応じて選ぶのが基本です。介護を受ける方の体の状態や排泄回数、排泄量などには個人差があります。適切な吸収回数の商品を選択することで、介護を受ける方の負担を減らすことができるでしょう。
自力でトイレに行ける方の場合は、1~2回分の尿を吸収できる「超うす」や「うす型」が候補になります。介助があれば立てる・座れるという方でも、おむつ内で排泄することが多い場合は、吸収回数の多いパッドを併用したり、5~8回分程度を吸収できる長時間用や夜用を選んだりするのがおすすめです。
パンツタイプのおむつのサイズは、ウエストサイズを目安として選びます。サイズが合わないおむつはモレの原因になるので、まずはウエストサイズを参考にしましょう。
「アテント」のパンツタイプのおむつのサイズと、対応するウエストサイズは下記のとおりです。
■「アテント」パンツタイプのウエストサイズ(ご使用の目安)
※「アテント 夜1枚安心パンツ」はMサイズがM~Lサイズ、LサイズがL~LLサイズと表記されています。
パンツタイプのおむつの選び方として、脚まわりにすきまがないかを確認することが重要です。おなかが出ていて足がやせている体型などの場合、ウエストサイズだけで選ぶと脚まわりにすきまができてしまうことがあります。
体とおむつのすきまはモレに直結するので、おなかが苦しくなければ、脚まわりに合わせてサイズダウンするのがおすすめです。
パンツタイプのおむつを経済的に使いたい、交換の負担を軽減したいという方は、「紙パンツ用パッド」を組み合わせて使用します。紙パンツ用パッドにも、2回、4回、6回といった吸収回数の目安が書かれているので、参考にしましょう。
なお、長時間用や夜用の紙パンツは吸収回数が多いため吸収体が厚くなっています。紙パンツ用パッドを併用すると、もこもこ感が気になることもあるので、紙パンツ単体で使用することをおすすめします。
パンツタイプのおむつと、内側にあてるパッドを併用しない場合は、吸収回数が多いパンツタイプのおむつを選んでください。
認知症の方の場合、パッドが気になってご自身で外したり、トイレにパッドを流したりしてしまうおそれがあります。そのようなときは、紙パンツ単体で吸収量が多い長時間用や夜用を選ぶのがおすすめです。また、こまめにおむつ交換することが難しい場合にも、長時間用や夜用が向いています。
テープ止めタイプのおむつには、尿の吸収量や厚み、つけ心地の違いなどで、大きく「うす型」と「厚型」があります。また体型に合わせてサイズ展開も豊富です。ここでは、テープ止めタイプのおむつを選ぶときの、2つのポイントについてご紹介します。
テープ止めタイプのおむつを選ぶポイントは、ヒップサイズに合わせてサイズを選ぶことです。腰骨の位置またはおしりの最も高くなった位置の周囲を測り、パッケージに記載されたサイズと照らし合わせましょう。サイズが合わないと背モレ・横モレにつながるので、注意が必要です。
テープ止めタイプの「アテント 背モレ・横モレも防ぐ うす型スーパーフィットテープ式」、「アテント 消臭効果付きテープ式 背モレ・横モレも防ぐ」では、テープを止めた位置で最適なサイズを確認できます。テープを止めた位置に書かれた数字をチェックして、「2」なら現在のサイズがベスト、「1」より内側なら1つ下のサイズ、「3」より外側なら1つ上のサイズが適正サイズです。
■テープ止めタイプのサイズの選び方
テープ止めタイプでは、内側にあてる「テープ用パッド」を組み合わせて使用します。おむつ交換の際にはパッドだけの交換で済むので、負担を軽減できて経済的です。
テープ用パッドは「紙パンツ用パッド」より種類が豊富。吸収回数の違いや、「昼用」「夜用」など使う時間帯別のもの、「軟便用」などがありますので、用途に合わせて選びましょう。
介護に必要な大人用紙おむつは、体の状態やサイズに合ったものを選ぶことが基本ですが、モレを防ぐためには正しく着用することも大切です。ここでは、パンツタイプ、テープ止めタイプ、それぞれの正しい着用方法をご紹介します。
<パンツタイプの着用方法>
1. 介護を受ける方にトイレの便座などに腰掛けてもらい、古いおむつを外します。
2. 新しいおむつを広げ、中に手を入れて前後に2~3回伸ばし、ギャザーをしっかり立たせます。
3. はきやすいように横に広げた後、左右の足をそれぞれおむつに通し、ひざあたりまで上げます。
4. パッドを広げ、軽くひっぱってギャザーを立たせた後、おむつのギャザーの内側に重ねてセットします。
5. 新しいおむつがセットできたら、陰部とおしりを拭き取ります。足をのせる台を用意しておき、介護を受ける方が台に片足をのせると片方のお尻が浮くので、そのすきまから手を入れて清拭しましょう。
6. 介護を受ける方に、手すりなどにつかまって立ち上がってもらいます。
7. 介護を受ける方の後ろに立ち、おむつをウエストまで引き上げます(介護を受ける方の立位が不安定な場合は、介護する方のひざで体を支えながら行います)。
8. 内側にあてるパッドがズレていないか、ももまわりの皮膚がおむつに巻き込まれていないかをチェックします。
<テープ止めタイプの着用方法>
1. 新しいおむつを広げて伸ばし、吸水部分左右の横モレ防止ギャザーをしっかり立たせます。
2. パッドを広げて軽く引っ張り、ギャザーを立たせた後、おむつのギャザーの内側に重ねてセットします。
3. 介護を受ける方に横向きに寝返ってもらい、左右順番にズボンを下ろします。
4. 古いおむつを外し、陰部とおしりを拭きます。
5. 介護を受ける方の体を横向きにして、おむつの端を丸め、体の中心(背骨あたり)とおむつの中心が合うように置きます。
6. 体をゆっくりと仰向けにしておむつの上に来るようにし、丸めていたおむつを反対側から出します(おむつを引っ張ると皮膚を傷つけるおそれがあるので注意)。
7. 脚まわりにギャザーをフィットさせながら、すきまを作らないようにおむつを前側に引き上げます。
8. おむつが骨盤の形に合うよう、下側のテープを斜め上側に、上側のテープを斜め下側に向けて貼ります(おなかとおむつのあいだは指1~2本、脚まわりは指1本が自然に入るくらいの装着感が目安)。
おむつ交換の詳しい手順については、下記のページをご覧ください。
寝て過ごすことが多い方の介護 おむつ交換の事前準備と手順
介護に必要な大人用紙おむつにかかる費用は、条件を満たせば医療費控除の対象になり、経済的な負担を減らすことができます。介護に必要な大人用紙おむつが医療費控除の対象となる条件は、下記の2点です。
<介護に必要な大人用紙おむつが医療費控除の対象となる条件>
・おむつの使用者が傷病により6ヵ月以上寝たきり状態である
・医師から、治療のためにおむつが必要と認められている
医療費控除を受けるには、毎年2月16日~3月15日に確定申告を行う必要があります。医療費控除は、1年間に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合に、超過分の金額または総所得金額の5%のうち低いほうの金額を、所得税・住民税の対象となる所得から差し引くことができる制度です。医療費控除を受けることで、税金を払いすぎていた場合には還付金が受け取れます。
介護に必要な大人用紙おむつにかかった費用を医療費控除申請するときの流れは、下記のとおりです。
<介護に必要な大人用紙おむつを医療費控除申請するときの流れ>
1. 医師から「おむつ使用証明書」の発行を受ける
2. おむつを購入し始めた日から領収書を保存する
3. 医療費控除の明細書を作成して確定申告を行う
介護に必要な大人用紙おむつを医療費控除申請する場合は、おむつ使用証明書に記載されている日付にご注意ください。医療費控除の対象となるのは、おむつ使用証明書に記載された「開始日」からです。おむつ使用証明書の発行日ではないことに気をつけましょう。
また、領収書を税務署に提出する必要はありませんが、5年間は保管しておく必要があります。
介護に必要な大人用紙おむつ代の医療費控除申請については、下記のページをご覧ください。
おむつ代が医療費控除の対象に!?必要な書類や申請の流れを解説
監修者のご紹介
中谷ミホさん
介護福祉士、ケアマネジャー、社会福祉士、保育士。福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在は介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆。介護・福祉関連書籍の監修も手掛けている。
大人用紙おむつ「アテント」シリーズでは、介護する方・介護を受ける方、双方の負担を減らし、毎日を快適に過ごすための工夫を凝らしています。
幅広いラインナップを取りそろえていますので、ぜひぴったりの商品を探してみてください。
ぴったりのおむつを探したい方はこちら
おむつの選び方・使い方│ラクラク大人用おむつ選び
その他、商品を一覧から探したい方はこちら
アテント│介護用品・吸水ケア用品
介護に必要な大人用紙おむつは、介護する方・介護を受ける方が毎日利用するもの。だからこそ、少しでも心身の負担を減らせるものであることが大切です。
おむつを選ぶ際には、介護を受ける方の体の状態に合わせて、介護する方が装着しやすいタイプのおむつを選ぶのがポイント。サイズをしっかり確認することで、不快なモレを防ぐことができます。また、内側にあてるパッドを使えば、おむつ交換や経済的な負担を軽減することにもつながります。介護に必要な大人用紙おむつにはたくさんの種類がありますので、上手に組み合わせて活用してください。
介護おむつは、介護を必要とする方のための大人用紙おむつのことです。寝て過ごすことが多い方や、立ったり座ったりするのに介助が必要な方、トイレに間に合わないことが多い方などが使用します。介護おむつにはさまざまな種類があるため、介護を受ける方の体型や体の状態、排泄のパターンなどから、最適なおむつを選ぶことが大切です。
介護おむつは、大きく「外側にはくおむつ」と「内側にあてるパッド」に分けられます。介護用の外側にはくおむつには、1人で歩ける方や介助があればトイレに行ける方向けのパンツタイプと、寝て過ごすことが多い方向けのテープ止めタイプがあります。
介護で用いることの多い用の内側にあてるパッドは、外側にはくおむつと組み合わせて使う尿とりパッドです。外側にはくおむつに合わせた専用の作りになっており、紙パンツ用パッドとテープ用パッドがあります。
介護おむつのサイズの選び方は、「パンツタイプ」と「テープ止めタイプ」とで異なります。パンツタイプのおむつの場合は、ウエストサイズを基準にしてサイズを選びます。ただし、おなかに合わせて脚まわりにすきまができてしまう場合は、脚まわりに合わせてサイズダウンするのがおすすめです。すきまはモレに直結するため、おなかが苦しくなければ脚まわりのすきまを埋めることを優先します。
テープ止めタイプのおむつの場合は、ヒップサイズを基準にしてサイズを選びます。腰骨の位置またはおしりの最も高くなった位置の周囲を測り、おむつのパッケージに記載されたサイズと照らし合わせましょう。
画像提供/PIXTA
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