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ホーム アテント お役立ち情報 認知症の方の排泄ケアとトイレのトラブル対策のポイント|アテント オレンジ・プロジェクト
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認知症の方の排泄ケアとトイレのトラブル対策のポイント|アテント オレンジ・プロジェクト

記事公開:2024.11.27

認知症の方の介護での排泄ケアのポイントや「トイレの仕方がわからない」「紙パンツやパットを嫌がり、トイレに流してしまう」というトラブル対策も解説します。

認知症の方の排泄ケアのポイント

【記事執筆】玉井 顯(たまい あきら)先生

医療法人敦賀温泉病院 理事長・院長
がんばらない介護生活を考える会 賛同人

高齢になると、認知症の有無に関わらず、足腰が弱り、動作が緩慢(かんまん)になることなどから尿失禁が起きる割合が高くなっていきます。さらに、認知症が進むと、「トイレの場所や使い方がわからない」「服の着脱が難しくなる」に始まって、「尿意や便意を感じなくなる」など、排泄行為自体を理解できない場合もあり、排泄のトラブルがますます増えてしまいます。
排泄に関してよくあるトラブルについて、ご本人のプライドを守りながら、介護の負担を軽くする対応策をご紹介します。

トイレに間に合わない

考えられる原因

・尿意や便意を感じるのが遅くなっている
・日常の生活動作に時間がかかる
・服の着脱が難しくなる

対 策

・トイレへの通り道を片付けて障害物をなくし、通路に手すりをつける
・そわそわする、うろうろし始めるなど、トイレに行きたいサインを見つけたら、トイレに誘導する
・数日間、排泄日記をつけ、1日の排泄パターンをつかみ、余裕をもってトイレに誘導する
・トイレでさっと下ろせるように、ウエストがゴム状で上げ下げしやすい下着や服を着てもらう
・日中は、ふだんの下着に尿取りパッドをつける、または下着感覚で脱ぎ着できる紙パンツを使用する
・夜間は吸水量の多い紙パンツや紙おむつを使用する

トイレではない場所で用を足す

考えられる原因

・トイレの場所がわからない
・玄関や浴室などをトイレと間違える
・排便はトイレで行うものだということがわからない
・便器であることがわからない
・幻視(トイレの前に人が並んでいるなど)

対 策

・リビングや寝室、廊下などに「トイレはこちら→」と誘導する貼り紙をし、トイレのドアにも大きく「トイレ」と書いた紙を貼る。(「トイレ」という言葉を使わない方には「お手洗い」「便所」などご本人が使っていた言葉で表示する)
・夜中もトイレへの通路は電気をつけて明るくしておく
・トイレのドアを少し開けて便器が見えるようにする
・朝食後など、時間を見計らってトイレに誘導する

汚れた下着や衣類をしまいこむ

考えられる原因

・失敗したことを知られたくない

対 策

・隠しやすい場所をあらかじめ用意しておく
・叱ったりせずに、そっと持ち出して洗濯する

尿取りパッドをいやがる

考えられる原因

・自分でうまくつけられない
・違和感があり不快
・何のためにつけるのかわからない

対 策

・薄手で尿とりパッド以上に吸収力のある紙パンツを使用する
・「オムツ」と言わず、「紙パンツ」「使い捨てできる下着」として薦める

オムツをはずしてしまう、つけることをいやがる

考えられる原因

・恥ずかしい、情けないなど、オムツを使うことに抵抗がある。
・むれやかぶれが不快
・濡れると気持ちが悪い

対 策

・数日間排泄記録をつけてみて、1日の排泄パターンをつかみ、濡れたらできるだけ早く取り替えるようにする
・下着感覚で脱ぎ着できる薄型の紙パンツと尿取りパッドを併用し、パッドをこまめに取り替える
・パッドを嫌がる場合は、薄手で尿とりパッド以上に吸収力のある紙パンツを使用する
・「オムツ」と言わず、「紙パンツ」「使い捨てできる下着」として薦める

パッドやオムツを便器に流してしまう

考えられる原因

・濡れたパッドやオムツに不快さを感じている
・トイレに流すと詰まるということが理解できない

対 策

・トイレにかごやバケツを用意し、そこに捨ててもらうように貼り紙をして、トイレに誘導するたびに何度も説明し、声かけをする
・日中家族がいない場合は、トイレのタンクの水量を少量に調節して流れないようにする
・パッドやオムツではなく、下着感覚で脱ぎ着できる薄型の紙パンツを使用し、下着として認識してもらう

認知症の方の排泄ケアはとても大切

認知症が進んでも、羞恥心とプライドは失われることがありません。どんな場合も叱ったり、自分で片付けさせたりなどはせず、ご本人ができることを大事にしていくことが大切です。
また、介護をしている方も、がんばり過ぎないことが大切です。
認知症の方の排泄のケアはとても大変ですが、適切なケアを行なうことによって、快適な生活を送ることにつながるでしょう。

【玉井 顯(たまい あきら)先生プロフィール】
医療法人敦賀温泉病院理事長・院長、がんばらない介護生活を考える会賛同人。
金沢医科大学病院神経科精神科講師を経て、福井県敦賀市で、敦賀温泉病院を開設、2009年に認知症疾患医療センターの指定を受ける。
日本老年精神医学会専門医・指導医認定、日本認知症学会専門医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医認定。

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