記事公開:2025.4.25
ワンちゃんと暮らす楽しみのひとつが、毎日のお散歩です。特に、かわいい子犬を迎えたばかりのオーナーさんは、いっしょにお散歩に行ける日が待ち遠しくてワクワクしてしまいますよね。ただし、子犬をお迎えしてすぐのお散歩には、配慮が必要です。
この記事では、子犬のお散歩デビューの時期の目安、お散歩の練習や慣れさせ方、お散歩に必要な持ち物やお散歩後に行いたいケアについて解説します。
子犬のお散歩デビューの時期の目安について解説します。お迎えしたタイミングや、ワンちゃんの月齢、体調によっても異なるので、かかりつけの獣医師に相談して判断することがおすすめです。お散歩デビューの時期の目安は下記のとおりです。
子犬が深刻な感染症にかかることを予防して健康を守るために、誕生から2〜3回、所定回数の混合ワクチンを接種する必要があります。すべてのワクチンプログラムを終え、最後の混合ワクチンを接種してから2週間以降であれば、十分な免疫がつき、お散歩デビューしても安心だと考えられます。
子犬の月齢も、お散歩デビュー時期を判断できる目安のひとつです。お迎えが生後3~4ヵ月頃であれば、ほぼ混合ワクチンのプログラムを完了している時期のため、すぐにお散歩ができるケースが多いでしょう。ワンちゃんをお迎えする際には、「混合ワクチンの接種が何回完了しているか」を必ず確認してください。
子犬は生後3週〜3ヵ月頃までが「社会化期」とされ、家族以外の人やほかのワンちゃんとの触れ合いを通じて、外の世界に順応する力をつけていきます。その時期を逃すと、恐怖心や警戒心が徐々に強くなり、外界に慣れにくくなるといわれています。子犬を迎えた際は、できるだけ早い時期からさまざまな体験をさせ、刺激を与えることが大切だといわれています。
なお、ワンちゃんのサイズや年齢にもよりますが、ワンちゃんがご自宅に来てから1週間程度は、環境の変化から下痢や食欲不振などを起こしやすいため、自宅でゆっくりと過ごすことをおすすめします。
前述のお散歩デビューの目安前に子犬を迎えた場合は、次のような方法で社会性を育んでいくと良いでしょう。
子犬を直接地面に触れさせないよう、オーナーさんがスリングなどを使って抱っこしたり、カートに乗せたりして、ゆっくりと近所をお散歩してみましょう。家の中とはまた違うニオイや音、動く乗り物、風の感触などが、ワンちゃんの社会性を育む良い刺激になるでしょう。
子犬のお披露目も兼ねて家族以外の人に家に来てもらい、子犬と遊んでもらう機会を作りましょう。子供や大人、女性や男性などいろいろな人と触れ合うことで、誰とでも落ち着いて接する練習になります。
子犬とオーナーさんがいっしょにしつけの基本などを学べる「パピークラス」に参加するのも、ひとつの方法です。パピークラスとは、ワンちゃんの幼稚園のような役割を果たす、子犬向けの社会化プログラムを指します。
ほかのワンちゃんと遊んだり触れ合ったりして子犬の社会化を促し、将来的な問題行動の抑制につなげます。ただし、混合ワクチンのプログラムがすべて終わっていないと参加できないケースもあるため、事前に主催者に確認しましょう。
子犬といっしょに安心してお散歩デビューするには、準備が必要です。あらかじめ準備しておきたいことを紹介します。
まずお家の中で、子犬に首輪をつけることに少しずつ慣れてもらいましょう。
子犬の首輪は、身体に負担をかけたり、お散歩中に抜けてしまったりすることのないよう、ワンちゃんの体格に合った適切な太さとサイズのものを選んでください。最初は首輪をつけると嫌がることもあるので、上手につけられたときにほめたり、おやつをあげたり、おもちゃで遊んであげたりして、良いイメージを持ってもらうようにしましょう。
なお、迷子札や鑑札は、最初の段階から首輪につけておき、慣れさせると安心です。
子犬が首輪に慣れてきたら、リードにも少しずつ慣れてもらいましょう。安全な家の中で、首輪とリードをつけて、オーナーさんといっしょに歩く練習をしてみてください。家の中でのリードの練習は、オーナーさんがリードの扱いに慣れることにもつながります。
最初のうちは、足元やリードにじゃれついてしまって、上手に歩けないかもしれません。焦らずに、根気よくアイコンタクトをとったり、歩き出しの練習をしたりして、オーナーさんと子犬との信頼関係を意識して練習することをおすすめします。最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばしていきます。
首輪とリード以外にも、ワンちゃんとのお散歩の際に必要な持ち物がいくつかあります。お散歩デビューまでに、以下にご紹介するグッズを準備しておきましょう。
水を入れる容器はペットボトルを活用することもおすすめです。ペットボトルに給水皿がついた携帯容器なども市販されています。
ワンちゃんのうんちを家に持ち帰るための袋です。一般的なポリ袋でも問題はありませんが、中が見えないよう色つきのものを使ったり、ニオイを外に漏らしにくい専用のうんち袋を活用したりするのもおすすめです。
お散歩中のワンちゃんの汚れを拭いてあげるものがあると便利です。排泄物を処理したり、ワンちゃんの身体についた泥や植物の葉っぱ、種などを取り除いたりできるように、携帯しておけばさまざまな場面で活躍します。
子犬が上手に歩けたときのご褒美などのために、サッとあげられる小粒サイズのおやつを携帯すると良いでしょう。おやつは子犬の注意をひきたいときや、子犬が歩きたがらないときのほか、トレーニング時にも活用できます。
必要な持ち物をひとつにまとめられる、オーナーさんが持つお散歩用のバッグを準備しましょう。ウエストポーチや斜めがけバッグなど、グッズが出し入れしやすいものが使いやすいです。特にお散歩に慣れるまでは、排泄物を処理したり、とっさのときに子犬を抱き上げたりしやすいよう、両手がフリーになるタイプのバッグがおすすめです。
いよいよお散歩デビュー!子犬をお散歩好きな子にするためには、最初から無理をさせないことが肝心です。子犬に負担をかけずに、お散歩に慣れてもらうポイントをご紹介します。
成長途中の子犬の身体は未熟です。骨格が大きく成長している最中で、成犬と比べて体力も弱いため、長時間の運動は負担になります。また、外の世界は子犬にとって刺激の強い未知の世界であり、長時間のお散歩はストレスの原因にもなりかねません。
子犬のお散歩は、まずは5~10分ほどの短い時間から始めることをおすすめします。愛犬の様子を観察しながら、時間や距離を調整しましょう。
子犬のお散歩デビューは、できるだけ人通りや車の交通量が少ない、静かで安全なコースを選びます。お家の近所が賑やかだったり、交通量が多かったりする場合は、抱っこやキャリーバッグで広い公園などの安全な場所まで移動し、地面に下ろして歩く練習をするのがおすすめです。
刺激の多い場所は、子犬がお散歩に慣れてから徐々に連れて行くようにしましょう。
まだ体力のない子犬は、過ごしやすい時間帯やお天気の日を選んでお散歩をしましょう。特に夏場は、高音になったアスファルトやマンホールで、ワンちゃんが肉球をやけどしてしまう心配があります。夏は、お出かけ前にオーナーさんが地面をさわって温度を確認し、できるだけ早朝や夜間に散歩することをおすすめします。
冬場は、暖かな日差しのある時間帯に出掛けるようにします。また、雨風の強い日や酷暑の日などはお散歩を避け、お家の中でたくさん遊んであげてください。無理をして毎日お散歩をする必要はありません。
なお、初めてのお散歩のときや、まだお散歩に慣れていない時期は、ワンちゃんが途中で歩かなくなるケースもあります。ワンちゃんがお散歩で歩かないときの理由や対処法については、下記のページをご覧ください。
犬がお散歩で歩かないのはわがまま?原因や対処法を解説
子犬とお散歩をする際に注意したいことや、知っておきたいマナーについてご紹介しましょう。
お散歩コース上の道端や、ゴミ置き場、公園などには、人の食べ物や食べ物の容器、中毒性のある植物の実などが落ちていることがあり、ワンちゃんが拾い食いをしてしまう危険があります。拾い食いは非常に危険です。ワンちゃんが口にしてはいけないものがコースに落ちていないか、常に注意を払いながら歩くようにしてください。
もし子犬が何かを拾い食いしそうになったら、すばやく声をかけたり、おやつで気を引いたりして、食べさせないようにしましょう。
子犬の排泄物は、オーナーさんの責任で処理をするのがマナーです。お散歩中は他人の家の敷地や植え込みには入らないように注意し、もちろん排泄もさせないようにしてください。愛犬がおしっこをしたら水をかけて流し、うんちは拾って袋に入れ、自宅まで持ち帰ってから捨てるようにします。そのためにも、お散歩用のバッグを用意し、必要なものを携帯しておきましょう。
好奇心旺盛な子犬ほど、お散歩中に通りかかった人や、出会ったワンちゃんの近くに行きたがったり、遊びたがったりすることがあります。しかし中には犬が苦手な人や、ほかの犬を怖がって威嚇してしまうワンちゃんもいます。
お散歩中は周囲に気を配り、子犬を無闇に知らない人やワンちゃんに近づけないようにしましょう。もし愛犬が出会ったワンちゃんに興味を持ったときは、オーナーさん同士で声を掛け合い「近づいても大丈夫ですか」と確認してから対応することが大切です。
ワンちゃんは毎日のお散歩が欠かせません。それだけに、お散歩後にケアはとても重要です。慣れさせるためにも、子犬のうちからお散歩後のケアを習慣にしましょう。
お散歩から帰ったらワンちゃん用のウエットシートなどで足裏の汚れを落とし、肉球に傷がついてないか、小石などが挟まっていないかを確認します。その後にブラッシングをし、抜け毛や毛に絡みついた汚れ、ホコリなどを落としてあげてください。ブラッシングには皮膚の血行を促し、被毛を健康に保つ効果もあります。
その後はしっかりと水分補給をし、休憩させます。お散歩によって体調に異変がないかなど、子犬の様子をこまめにチェックすることも大切です。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
楽しいお散歩後のケアに役立つ、「エリエールPet キミおもい」シリーズのウエットシートをご紹介します。
「キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー」は、水分をたっぷり含んだ、ワンちゃんのお肌にやさしいシルキータッチシートのウエットティシュー。ワンちゃんの足裏や肉球に負担をかけずに、汚れをスッキリとふきとることができ、デリケートな顔まわりやおしりまわりのケアにも活躍します。
「キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー
「キミおもい 全身すっきりシート」は、全身のお手入れに便利な大判&厚手のシート。ワンちゃんについた汚れやニオイの元をしっかりとからめ取ることができます。被毛保護成分配合で、お肌や被毛にやさしく、毛並みもツヤツヤに仕上がります。
「キミおもい 全身すっきりシート」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 全身すっきりシート
子犬のお散歩デビューに大切なのは、免疫の状態や社会化期を考慮して、獣医師と相談しながらお散歩デビューの時期を選ぶことです。そして、子犬の身体や心に負担をかけないよう、お家の中での練習や抱っこでのお散歩を交えながら、愛犬のペースでゆっくりと外の世界に慣れさせてください。お散歩が大好きで、誰とでも仲良くできる子に育つよう、愛犬とのコミュニケーションを楽しみながら取り組みましょう。
お散歩を始める時期の目安のひとつは、初年度の混合ワクチンの接種をすべて終えてから2週間以降。この時期であれば十分な免疫がつき、お散歩デビューをしても安心だと考えられます。もうひとつの目安は生後3〜4ヵ月頃で、一般的に混合ワクチンのプログラムを完了しているといわれる時期です。ただし、ワンちゃんの成長には個体差があるため、かかりつけの獣医師に相談してから始めるようにしましょう。
オーナーさんが抱っこしたまま、ワンちゃんに地面に触れさせずにお散歩をすることは問題ありません。子犬は生後3ヵ月頃までが「社会化期」であり、社交性を育んで心の成長を促すには、できるだけ早い時期からさまざまな体験をさせることが大切です。ワクチンプログラムが終了するまでの間に、子犬の社会化を促進するなら、抱っこのお散歩が有効であるといえるでしょう。
ワンちゃんのお散歩には、首輪とリードの準備が必須です。その他のアイテムとしては、飲み水のほか、うんちを持ち帰るためのゴミ袋、身体の汚れを拭き取るときなどに使うティッシュペーパーやウエットティシュー、ご褒美の小さなおやつ、それらを携帯できるお散歩用のバッグを準備すると良いでしょう。
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