記事公開:2025.3.24
ネコちゃんを観察していると、毎日熱心に毛づくろいをする様子が見られます。毛づくろいは「グルーミング」とも呼ばれ、ネコちゃんにとって重要な行為です。毛づくろいには、体を清潔に保つ以外にもさまざまな役割があり、ときにはストレスや体調変化のバロメーターにもなります。
この記事では、ネコちゃんが毛づくろいをする理由やタイミング、毛づくろいの仕方や頻度の変化からわかる異変のサインなどについてご紹介します。
一説によると、ネコちゃんは目覚めている間の4分の1以上の時間を、毛づくろいに費やしているといわれています。ネコちゃんは、なぜそれほどまで時間をかけて丹念に毛づくろいをするのでしょうか。まずはその理由をご紹介しましょう。
ネコちゃんはとてもキレイ好きな生き物として知られています。全身をこまめに毛づくろいすることで、体についたホコリや汚れを取り除き、毛並みを整えて清潔を保つだけでなく、皮膚病やノミなどから身を守っているのです。また、毛づくろいによって自分のニオイを消し、外敵や獲物に感づかれないよう身を隠す目的があるとも考えられています。
ネコちゃんは人間のようには汗をかかないため体温調整が苦手ですが、その代わりに、毛づくろいによって体温を調節しています。体をなめながら自分の唾液で被毛や皮膚をぬらし、水分が蒸発するときの気化熱を利用して体温を下げているのです。
ネコちゃんは、身体についた自分のニオイで落ち着く習性を持っています。そのため、緊張をほぐしてリラックスするために毛づくろいをし、毛並みを整えることがあります。
複数のネコちゃんと暮らしているご家庭では、ネコちゃん同士が互いに毛づくろいをしている姿を見ることがあるでしょう。毛づくろいは、ネコちゃんにとって仲間とのコミュニケーション方法のひとつ。ネコちゃんにとって大切な行為である毛づくろいを相手にしてあげることで、仲間との信頼関係を確かめ合っているのです。ネコちゃんによっては、仲間に毛づくろいするようにオーナーさんをなめて、愛情表現をする子もいるようです。
前述の通り、ネコちゃんの毛づくろいには、さまざまな目的や理由があります。では、具体的にどのようなタイミングで毛づくろいをするのかを見ていきましょう。
ネコちゃんが毛づくろいをするタイミングのひとつは、ご飯を食べた後です。食後に口のまわりや前足を念入りになめてキレイにするのは、元々ネコちゃんが持つ習性によるものだと考えられます。
ネコちゃんは本来、狩りをする捕食動物であるため、食事中についた汚れやニオイが残っていると、獲物に自分の存在を感づかれてしまいます。そのため、食事の際に汚れやすい口まわりや前足を中心に毛づくろいをしてキレイにすることで、外敵や獲物から自分の存在を隠そうとするのです。
ネコちゃんはストレスや不安を感じた際、自分自身をリラックさせる目的で毛づくろいをします。例えば、オーナーさんから叱られたときや、大きな音がして不安を感じたときなどに、ストレスや不安を解消しようとして毛づくろいをすることがあります。また、どこかへ飛び上がろうとして失敗したときなど、うまくいかなかったことへの欲求不満を発散するため、しきりに毛づくろいをする場合もあるようです。
ただ、同じ箇所を熱心になめていたり、過度に毛づくろいをしていたりする場合は、異変のサインと考えられます。被毛が薄くなったり、皮膚が炎症を起こしたりすることもあるため、早めに動物病院を受診しましょう。
前項とは反対に、ネコちゃんは落ち着いてリラックスしているときにも、毛づくろいをすることがあります。
頭、背中、おなか、後ろ足、おしりという順番で入念に毛づくろいしているときは、自分のニオイをつけたり毛並みを整えたりすることで、より安心感を得ていると考えられるでしょう。
毛づくろいはネコちゃんにとって自然な行為ですが、毛づくろいのやり方や頻度、毛づくろいにかける時間などがいつもと異なる場合は注意が必要です。ネコちゃんの様子を観察し、以下のような変化が見られる場合には、動物病院で相談しましょう。
ネコちゃんは体をなめて毛並みを整えますが、毛が絡まっているときは細かく噛むような仕草を見せることもあります。ただし、同じ箇所をいつまでも噛み続けている場合、そこにひどい汚れがついていたり、かゆみや痛みを感じていたりする可能性もあります。まずはその部分の毛や皮膚の状態を確認しましょう。噛む行為が続く場合は、虫刺されなどが原因の場合もあるので、動物病院で相談することをおすすめします。
ネコちゃんが毛づくろいのときに普段よりも明らかに激しくなめている場合は、ノミがいたり、皮膚のトラブルが起きていたり、なめている部分に痛みを感じていたりする可能性があります。なめすぎて重症化させてしまう前に、皮膚や体に異変が起きていないかを動物病院で診てもらいましょう。
ネコちゃんの毛づくろいの時間が普段よりも極端に長い場合は、皮膚にトラブルを起こしていたり、不安や怒りなど強いストレスを抱えていたりする可能性があります。同じ箇所を執拗になめてしまうとその部分の皮膚が炎症を起こし、場合によっては脱毛してしまうこともあるので、毛づくろいの時間がいつもより長くなったと感じたら、まずは動物病院で相談をしましょう。
ネコちゃんが急に毛づくろいをしなくなった場合も、注意が必要です。加齢や肥満が原因となり体が動かしにくくなったために毛づくろいの頻度が減ることもありますが、健康上の問題があるケースも考えられます。
あまりに毛づくろいの頻度が減ってしまうと、被毛が絡まって毛玉ができたり、皮膚のトラブルにつながったりすることもあるので、動物病院で相談することをおすすめします。
健康なネコちゃんでも、加齢や肥満などによって毛づくろいの頻度が減ることもあります。そのようなときは、毛づくろいを補うために、オーナーさんがブラッシングをしてあげましょう。
定期的なブラッシングによってネコちゃんの毛の絡まりをほどいて整え、軽い汚れやホコリを落とすことができます。換毛期に毛玉を頻繁に吐く子の場合は、ブラッシングによって毛を飲み込む量を減らすことも期待できます。さらに、ネコちゃんの皮膚や体の異変に気づきやすいなど、ブラッシングは健康チェックにも有効です。
なお、愛猫がブラッシングされることに慣れていない場合は無理に行わず、下記の手順を参考に徐々に慣らしてあげてください。
<ネコちゃんがブラッシングに慣れてもらう手順>
1. ブラシを使わず、手でやさしくなでる
2. ブラシでやさしくなでる
3. ブラシで背中や首元など、体の一部をブラッシングする
4. ブラシで全身をブラッシングする
また、ネコちゃんの汚れやニオイが気になるときには、ブラッシング後にシャンプーをするのもおすすめです。ネコちゃんのシャンプーの頻度や手順などについては、下記のページをご覧ください。
猫にシャンプーは必要?頻度や手順、嫌がるときの対応を解説
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ネコちゃんは、不安やストレスを感じて過度な毛づくろいをすることがあります。そのため、毎日リラックスして過ごせるように、ネコちゃんの気持ちを理解してあげることが大切です。
「キミおもい」は、「キミにやさしい、一緒にうれしい」というブランドの想いから「傾聴飼育」を推奨しています。傾聴飼育とは、ネコちゃんの習性を学び、発するサインを観察し、その意味を理解しながら共生していくことです。「ネコちゃんの幸せを想うからこそ、気持ちを理解してあげたい」というオーナーさんは多いことでしょう。「キミおもい」は、そんなオーナーさんの「おもい」とネコちゃんの「おもい」が通じ合えるよう、お手伝いをしています。
「傾聴飼育」の詳しい内容については、下記のページをご覧ください。
キミともっと幸せに 傾聴飼育で、「おもい」が通じ合う暮らしへ
キレイ好きなネコちゃんが毎日快適に暮らすためには、トイレ環境などを整えてあげることが大切です。
そこでおすすめなのが「キミおもい」のネコちゃんシリーズ。猫砂やおそうじシートなどの多彩な商品ラインナップで、ネコちゃんやオーナーさんの好みに合わせて、トイレを心地よく清潔に整えることができます。
「キミおもい」のネコちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Cat – ネコちゃん-
ネコちゃんが毛づくろいをする理由はさまざまですが、その様子をチェックすることは、愛猫のメンタルや健康状態を知ることにも役立ちます。もし毛づくろいの様子や時間が変化したり、過剰に行うようになったりしたら、早めに動物病院を受診しましょう。また、ネコちゃんの加齢や肥満によって毛づくろいの頻度が減った場合には、ネコちゃんの健康を保つためにも、定期的にブラッシングをしてあげるのがおすすめです。
ネコちゃんが毛づくろいをする理由のひとつは、体を清潔に保つためです。毛づくろいをして体についたホコリや汚れを取り除き、毛並みを整えています。さらに毛づくろいによって食事中などについたニオイを消すことで、外敵や獲物から身を隠す目的があるとも考えられています。そのほか、体温調節や緊張の緩和、仲間とのコミュニケーションを目的として毛づくろいをすることもあるようです。
ネコちゃんが頻繁に毛づくろいをするタイミングとしてまず挙げられるのは、ご飯を食べた後です。特に汚れやすい口まわりや前足を中心に、汚れ・ニオイをしっかりとなめ取ることで、外敵や獲物から自分の存在を隠そうとする習性があると考えられています。また、ストレスや不安を感じたとき、あるいはリラックスしているときにも、全身を念入りに毛づくろいすることがあります。
ネコちゃんの毛づくろいに変化が見られた場合は、注意が必要です。例えば、体を細かく噛んだり、激しくなめたり、毛づくろいの時間が極端に長くなったりした場合は、強いストレスを抱えていたり、皮膚や体にトラブルが起きたりしているかもしれません。過度な毛づくろいは症状を悪化させることもあるため、早めに動物病院で相談しましょう。
一方で、ネコちゃんの加齢や肥満が原因で毛づくろいの頻度が減ることもあります。定期的なブラッシングで毛づくろいを補い、ネコちゃんの健康を保ってあげることをおすすめします。
画像提供/PIXTA