記事公開:2025.2.21
ネコちゃんの体に白い粉のようなものが付着していたら、それはフケかもしれません。フケは生理現象のひとつなので、少量かつ、かゆみや皮膚の赤みなどほかの症状がない場合は問題ないといえるでしょう。ですが、病気や皮膚の乾燥、適切ではないお手入れなどによってフケが増えるケースもあります。
ここでは、ネコちゃんのフケが増えた場合に考えられる原因のほか、自宅でできる予防や対策などについてご紹介します。
フケとは、古い皮膚が新しい皮膚へと入れ替わる「ターンオーバー」の際に、表面の古い角質細胞がはがれ落ちたものです。フケが出ること自体は生理現象のひとつなので、少量でそのほかの症状がなければ心配する必要はありません。
健康なネコちゃんであれば、約3週間サイクルで古い角質がはがれ落ちるといわれています。ただし、ネコちゃんはこまめに全身をグルーミング(毛づくろい)し、フケもなめ取って自分で処理しているため、極端にフケが目立つことは少ないようです。
愛猫のフケに気づいたときは、フケの量や状態の変化も合わせてチェックすることが大切です。床に落ちるほどフケが多く目立っていたり、フケがカサブタ状になっていたり、ベタベタしたりしている場合は、何らかの病気のサインである可能性があります。
また、ネコちゃんの体調や仕草にも注意を払いしましょう。例えば、頻繁に体をかくなど、かゆみを感じているように見える場合も、皮膚にトラブルを起こしている可能性があります。ネコちゃんがかゆみを感じている場合に見られる仕草や変化は以下のとおりです。普段と違う様子があれば、動物病院を受診することをおすすめします。
<ネコちゃんがかゆみを感じている際に見られる行動>
・頻繁に首を振る
・同じ場所を繰り返しなめる
・皮膚を噛むような仕草をする
・顔や背中を何かに擦り付ける
・後ろ足で特定の部位を引っかく
・気にしている部位をかいたり噛んだりして傷がつく
ここでは、ネコちゃんのフケが増えたり、フケの状態が普段と違ったりする場合、原因として考えられる病気について解説します。どの場合も、できるだけ早く動物病院を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
ノミ、マダニ、シラミなどが皮膚に寄生すると、ネコちゃんがかゆみを感じて頻繁に体をかくようになり、フケの増加につながることがあります。
特に、疥癬(かいせん)と呼ばれる皮膚炎は、ネコショウセンコウヒゼンダニの寄生によって起こり、強いかゆみや発疹、カサブタ状のフケといった症状が特徴です。
真菌(カビ)による皮膚炎は、ネコちゃんに比較的多く見られる病気のひとつです。フケの増加に加え、顔や手足など、部分的に脱毛が生じる場合もあります。
免疫力の低い子猫やシニアのネコちゃんは特にかかりやすく、同居しているほかの動物や人間に感染することもあるため注意が必要です。
アレルギーによる皮膚炎も、ネコちゃんのフケが増える原因のひとつです。食物やノミ、ダニ、ハウスダスト、花粉などがアレルゲンとなり、皮膚が炎症を起こすことでフケや湿疹、かゆみなどの症状が現れます。
かゆみが強い場合、ネコちゃんが体をなめたりかき壊したりして、さらにフケが増えるという悪循環が生じることもあります。そのため、炎症が悪化しないよう、かゆみを軽減してあげることが大切です。食物アレルギーが疑われる場合は、フードの見直しや食事療法によって改善していくケースもあります。
腎臓や肝臓などの内臓疾患や、栄養の偏った食事などが原因で皮膚の代謝サイクルが乱れ、ネコちゃんのフケが増えたり毛並みが悪くなったりすることがあります。さらに、食欲不振や元気がないなどの症状が見られる場合は、皮膚以外の病気の可能性もあるため、動物病院で診察を受けることが必要です。
栄養不良が疑われる場合は、現在のフードがネコちゃんの体質に合っていない可能性も考えられるでしょう。獣医師に相談し、愛猫の体質に適したフードを選ぶことが大切です。
ネコちゃんのフケが増える原因は、皮膚炎などの病気だけではありません。病気以外で考えられる主なフケの原因としては、下記の5つが挙げられます。
人間と同様、ネコちゃんも皮膚が乾燥して脂分が不足すると、角質がはがれ落ちやすくなります。そのため、冬場の空気の乾燥や、室内でのエアコンの使用によって、フケが増えてしまうことがあります。
頻繁にエアコンを使用する場合は加湿器を併用するなど、室内の湿度管理が大切です。
体調に変化がないにもかかわらずフケが目立ってきた場合は、ネコちゃんのグルーミング(毛づくろい)の時間や頻度が不足しているのかもしれません。
グルーミング不足につながる主な原因としては、加齢や関節の痛み、肥満などが挙げられます。グルーミングが行き届かなくなると、フケが増えたり、毛並みが脂っぽくなったりすることがあります。
オーナーさんによるブラッシングなどのお手入れが不足していると、ネコちゃんに抜け毛や毛玉が生じて、フケが出やすくなることもあります。
反対に、頻繁にシャンプーをしたり、力強くブラッシングしたりするなど、過度なケアも皮膚に刺激を与えてフケが増える原因になります。ネコちゃんの定期的なケアは必要ですが、適切に行うことが大切です。
ネコちゃんも人間と同様、加齢に伴って皮脂の分泌や皮膚の水分量が減少しやすくなります。そのため、特にシニアのネコちゃんは皮膚が乾燥し、フケが出やすくなります。
引越しや部屋の模様替え、近隣の騒音などによってネコちゃんが強いストレスを感じると、体の免疫力が低下して、一時的にフケが多くなることもあります。
また、ネコちゃんのグルーミングには気持ちを落ちつかせる意味もあるため、ストレスを軽減しようとして過剰にグルーミングをしてしまうことも。その結果、皮膚炎を引き起こし、フケが増えるケースも見られます。
ここからは、日頃から自宅で行える、ネコちゃんのフケの予防と対策をご紹介します。
なお、ネコちゃんのフケの量や状態が普段と異なっていたら、病気の可能性もあります。その場合は、早めに動物病院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
ネコちゃん用のブラシを使い、定期的にブラッシングをして、抜け毛や毛玉を取り除きましょう。ブラッシングはネコちゃんのグルーミングをサポートできるほか、血行促進や皮膚の健康促進も期待できます。
ただし、あまり力強くブラッシングしてしまうと、皮膚に強い刺激を与えてフケを増やす原因になるため、適度な力でやさしく行うことがポイントです。
ネコちゃんはグルーミングで自分の体をキレイに保ちますが、グルーミングが不足している子やフケが目立つ場合には、定期的にシャンプーをしてもいいでしょう。
シャンプーはフケ予防や対策に効果的で、動物病院では治療の一環として薬用シャンプーが処方されることもあります。特に、長毛種の子の場合は、ブラッシングだけでフケや抜け毛を十分に落としきれないことがあるため、1~2ヵ月に1回程度、シャンプーをするのがおすすめです。
ネコちゃんにシャンプーをする頻度や手順などについては、下記のページをご覧ください。
猫にシャンプーは必要?頻度や手順、嫌がるときの対応を解説
ストレスはネコちゃんの免疫力を弱め、皮膚トラブルの原因にもなります。落ち着いて過ごせる静かな寝床や、自由に上がれる高い場所、清潔なトイレなど、ネコちゃんが快適に過ごせる生活環境が整っているかを見直しましょう。室内の温度や湿度の適切な管理も大切です。
また、生活環境の改善とともに、一緒に遊ぶ時間を増やしたり、スキンシップをとったりして、愛猫の気持ちに寄り添い、欲求を満たしてあげるようにしましょう。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
こまめなグルーミングで体を清潔に保つ、キレイ好きなネコちゃんのためには、快適な生活環境を整えてあげることが大切です。
より良い環境づくりにおすすめなのが、「キミおもい」のネコちゃんシリーズ。猫砂やトイレまわりのおそうじシートなど多彩な商品ラインナップで、ネコちゃんやオーナーさんの好みに合わせて環境を整えることができます。
「キミおもい」のネコちゃんシリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Cat - ネコちゃん -
ネコちゃんのフケは生理現象のひとつです。そのため、フケが少量でそのほかの症状がなければ問題ありません。ただし、フケが普段よりも増えていたり、ベタベタした状態になっていたりする場合は、病気のサインである可能性もあります。異変に気づいたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。
日頃からネコちゃんのフケや皮膚の状態をチェックし、適切なケアを行うことで、ネコちゃんの健康を維持していきましょう。
ネコちゃんの体に時々、白い粉のようなものがついていたら、それはフケかもしれません。フケは、古い皮膚が新しい皮膚へと入れ替わるときに、古い角質細胞がはがれ落ちたものです。
フケが出ることは生理現象のひとつであり、健康なネコちゃんにも見られます。そのため、フケが少量で、皮膚の赤みやかゆみなどほかの症状がない場合は問題ないでしょう。
ネコちゃんのフケが急に増えたり、カサブタ状になったり、ベタついたりするなどの異常がある場合、皮膚にトラブルが起きている可能性が考えられます。皮膚炎の原因としては、寄生虫や真菌(カビ)、アレルギーなどです。また、内臓疾患などによる栄養不良が皮膚の代謝サイクルに影響して、フケが増える場合もあります。
また、病気以外の原因としては、ネコちゃんの皮膚の乾燥やグルーミング不足、オーナーさんによる不適切なケア、ネコちゃんの加齢による皮脂の減少、ストレスなどが考えられます。
ネコちゃん用のブラシでやさしくブラッシングをして、こまめに抜け毛や毛玉を取り除いてあげましょう。ブラックシングはフケ予防や対策になるだけでなく、血流を良くすることで、皮膚の健康促進も期待できます。
また、長毛種の子や自分であまりグルーミングをしない子の場合は、定期的にシャンプーをするのも効果的。加えて、ネコちゃんがストレスなく快適に暮らせるよう、トイレなどの生活環境を整えてあげることも大切です。
画像提供/PIXTA