記事公開:2024.12.24
自宅でネコちゃんにシャンプーしたことがないというオーナーさんは、少なくないかもしれません。ネコちゃんにシャンプーが必要なのか疑問に思う方や、自宅でシャンプーする場合にはどのようにしたらいいかわからないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ネコちゃんのシャンプーの必要性や頻度の目安のほか、自宅でシャンプーをする手順やネコちゃんが嫌がる場合の対処法について解説します。
そもそも、ネコちゃんにシャンプーは必要なのか、疑問に思うオーナーさんもいることでしょう。まずは、ネコちゃんのシャンプーの必要性についてご紹介します。
ネコちゃんにシャンプーをすることは、必須ではありません。なぜなら、ネコちゃんは自分でグルーミングを行い、体を清潔に保つ能力を持っているからです。
特に、室内で暮らしており、外に出ないネコちゃんの場合は、ブラッシングをしてあげるだけで十分な場合が多いでしょう。日頃からブラッシングをすることで、被毛の汚れや抜け毛を取り除き、毛玉ができるのも防ぐことができます。
基本的にはブラッシングのケアだけで十分なネコちゃんですが、定期的なシャンプーが必要になるケースもあります。例えば、長毛種のネコちゃんの場合、被毛が長いためブラッシングだけでは十分に汚れを落としきれないことがあります。そのため、定期的にシャンプーをするのがおすすめです。換毛期に毛玉を頻繁に吐くことがある子の場合も、シャンプーで抜け毛を取り除くことで吐く頻度を軽減することが期待できます。
また、被毛がないスフィンクスのように脂漏症になりやすい子や、皮膚トラブルを抱えているネコちゃんも、シャンプーで清潔に保つことが推奨されます。そのほか、ネコちゃんが外に出る機会が多い場合や、汚れやニオイが気になる場合も、シャンプーを活用するのがいいでしょう。
ネコちゃんにシャンプーをすることは、人間の猫アレルギーを予防する上でも効果的です。
猫アレルギーの原因となるアレルゲンは、ネコちゃんの被毛や排泄物ではなく、唾液であることが多いとされています。
ネコちゃんがグルーミングをする際、被毛についた唾液が乾燥して空気中に舞い上がることで、人の体に影響を与えるのです。そのため、シャンプーをして被毛についた唾液を洗い流すことで、アレルゲンの拡散を防ぎ、猫アレルギー予防につながります。また、猫アレルギーを持っている人でも、ネコちゃんを定期的にシャンプーすることで、症状を比較的抑えて生活できるとされています。
ネコちゃんにシャンプーをする頻度の目安は、毛の長さや年齢などによって異なります。ただし、いずれの場合も、事前にネコちゃんの状態をよく観察し、普段と異なる様子が見られる場合は、シャンプーを避けてください。状態が悪化する可能性もあるため、気になる症状があるときは、動物病院で獣医師に相談しましょう。
室内で暮らし、外に出ない短毛種のネコちゃんの場合、特に汚れが気になるときや皮膚トラブルが発生した場合にのみ、シャンプーをするといいでしょう。ただし、人間の猫アレルギーの予防や対策を目的とする場合は、定期的にシャンプーをすることが推奨されます。
長毛種のネコちゃんは、毛が絡まりやすく汚れがつきやすいため、1~2ヵ月に1回程度を目安にシャンプーすることをおすすめします。ただし、ネコちゃんの性格やオーナーさんのライフスタイルによって、定期的なケアが難しい場合は、全身の毛をカットするという方法も選択肢のひとつになります。
子猫の場合は成猫と比べて免疫力が低いため、生後3ヵ月以上でワクチン接種が完了してから、シャンプーを始めるのがよいという考え方が一般的です。いつ頃から子猫にシャンプーをしてもいいか、獣医師に相談することをおすすめします。
ただし、子猫の時期はおしっこやうんちで汚れやすい時期でもあるため、汚れている部分はキレイに洗ってあげることも大切です。その際には、子猫の負担とならないよう、なるべく早く終わらせるようにしてください。
ネコちゃんのシャンプーを、どのように行えば良いかわからないというオーナーさんもいることでしょう。ここからは、自宅でネコちゃんにシャンプーをする手順を紹介します。
なお、ネコちゃんによってはシャンプーの際に嫌がって暴れてしまうことがあります。そのため、オーナーさんがケガをしないよう、シャンプー前にネコちゃんの爪を切っておくのがおすすめです。
ネコちゃんの爪切りの方法などについては、下記のページをご覧ください。
猫の爪切りの方法は?道具や手順、嫌がられないためのコツを解説
ネコちゃんにシャンプーする前に、必ずブラッシングを行いましょう。丁寧にブラッシングをしてホコリや抜け毛を取り除き、毛のもつれや毛玉をほどいておくことで、シャンプーの際に毛が絡みにくくなり、より効果的に汚れを落とすことができます。
次に、ぬるま湯でネコちゃんの全身をぬらします。シャンプーの温度は、35〜38℃が目安です。ネコちゃんにシャワーをかける前に、必ずオーナーさんが手でさわって温度を確かめましょう。
シャワーは、ネコちゃんのおしりや背中などからゆっくりとかけていきます。ネコちゃんは顔に水がかかるのを嫌がるケースが多いため、いきなり顔からかけるのは避けてください。シャワーをかける際は、皮膚までしっかりぬれるよう意識することが大切です。
ネコちゃんのシャンプーは、必ず専用のものを使いましょう。人間用のシャンプーは刺激が強く、ネコちゃんの皮膚にダメージを与える可能性があるからです。
洗う際には、ネコちゃん専用のシャンプーを手に取って泡立てます。特に長毛種のネコちゃんの場合、毛が絡まないよう、毛流れに沿って洗う方法がおすすめです。ネコちゃんのストレスを軽減するためにも、顔は最後にやさしく洗うようにしてください。
ネコちゃんの全身を洗い終えたら、シャンプーが皮膚に残らないよう、しっかりと流します。顔に泡がついた状態を嫌がるネコちゃんも多いので、洗うときとは反対に、顔から体の順に流すのがポイントです。
シャンプーが皮膚に残ってしまうと、皮膚トラブルの原因になることがあります。すすぎ残しのないよう、注意しましょう。
タオルでネコちゃんの体をやさしく押さえながら、水分を取ります。このとき、こすらないように注意し、やさしく行うことが重要です。
その後、ドライヤーの弱風を使い、ネコちゃんから少し距離を取って乾かします。毛をかき分けながら風をあてると、根元までしっかり乾かすことができるでしょう。特に長毛種のネコちゃんは、毛の根元まで風が届きにくいので、この方法がおすすめです。
ただし、ネコちゃんによってはドライヤーが苦手な子もいます。その場合はドライヤーの時間短縮のために、タオルで丁寧に水分をふき取るよう心がけてみてください。ドライヤーに静音モードがある場合は静音モードを活用し、顔まわりなどデリケートな部分には遠くから風を当てたり、手で隠したりしながら乾かす方法も有効です。また、タオルで水分を丁寧にふき取り、後は自然乾燥させるという方法もあります。
水にぬれるのを嫌がるネコちゃんは多く、シャンプーがストレスになることもあります。嫌がっているネコちゃんに対して無理にシャンプーをしようとすると、よりシャンプーが嫌いになってしまう可能性が高いでしょう。そのため、無理は禁物です。
下記のような方法で、ネコちゃん・オーナーさん双方にとって負担を抑えられるよう、練習してみてください。
ネコちゃんにシャンプーをする際は、いきなり全身を洗うのではなく、少しずつ慣れさせていくことが大切です。シャワーの音を聞かせて音に慣れさせたり、足やおしりなど部分洗いから始めたりといった方法で、ネコちゃんのペースに合わせて行いましょう。
シャンプーの合間にやさしく声掛けをすることで、ネコちゃんに安心感を与えやすくなります。シャンプーの合間にネコちゃんが好むおやつをあげ、ほめながら行うのもおすすめです。
また、シャンプー終了後には、おやつをあげたりいっしょにあそんだりして、ネコちゃんがシャンプーにポジティブな印象を持ってもらえるようにするのもいいでしょう。
ネコちゃんがどうしてもシャンプーを嫌がったり、ケガをしていたりしてシャンプーが難しい場合、ネコちゃん用のボディシートやぬれタオルで体をふく方法もあります。また、水を使わずにネコちゃんを洗えるドライシャンプーもあるので、ネコちゃんの様子を見ながら試してみるのもおすすめです。これらの方法は、ネコちゃんにとって通常のシャンプーよりも負担を軽減できるのがメリットになります。
自宅でネコちゃんにシャンプーをすることが難しい場合は、トリミングサロンや動物病院に相談することをおすすめします。ネコちゃんの絡まった毛や毛玉を自宅でケアするのが難しい場合も、プロに任せれば安心です。
なお、ネコちゃんの性格や状況によっては、シャンプー時に軽い鎮静や全身麻酔が必要になることがあります。これは、バリカンの使用中にネコちゃんが暴れてしまうと、ケガのリスクが高まるためです。眠っているあいだにシャンプーや毛のカットを行うことで、ネコちゃんのストレス軽減にもつながります。ただし、鎮静が必要な場合は、必ず動物病院で適切な処置を受けましょう。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ネコちゃんは日々のグルーミングで体をキレイに保っていますが、目や口のまわり、おしりなど、汚れが溜まりやすい部分は、定期的なケアも重要になります。
「キミおもい 肌にやさしいウエットティシュー」は、ネコちゃんの敏感な肌にもやさしく、水で洗い流すように汚れを取り除けるウエットティシューです。手軽に使えるだけでなく、ネコちゃんの肌への負担が少なく、清潔を保つことができます。定期的なケアで健康を守り、ネコちゃんに清潔で快適な環境を整えてあげましょう。
「キミおもい 肌にやさしいウエットティシュー」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 肌にやさしいウエットティシュー
ネコちゃんはグルーミングすることで体をキレイにしていますが、場合によってはシャンプーが必要な子もいます。特に長毛種のネコちゃんや、皮膚トラブルがあったり、汚れが気になったりする場合には、定期的なシャンプーが有効です。
ただし、シャンプーはネコちゃんにとってストレスになることもあるため、無理をせず少しずつ慣れさせながら行うことが大切。シャンプー以外のケア方法も取り入れつつ、ネコちゃんの健康をサポートしましょう。
通常、ネコちゃんは自分で体をキレイにするグルーミングを行うため、頻繁にシャンプーをする必要はありません。しかし、長毛種のネコちゃんや皮膚トラブルがあるネコちゃんの場合、定期的なシャンプーが推奨されます。また、汚れやニオイが気になる場合にも、シャンプーで清潔を保つことが大切です。さらに、人間の猫アレルギー予防・対策の観点でも、シャンプーは効果的とされています。
自宅でネコちゃんにシャンプーをする際の手順は、次のとおりです。
1. 丁寧にブラッシングを行い、毛玉やホコリを取り除く
2. ぬるま湯で体→顔の順に全身をぬらす
3. ネコちゃん専用のシャンプーでやさしく洗う
4. しっかりとシャンプーをすすぐ
5. タオルとドライヤーで十分に乾かす
ネコちゃんは水にぬれることを嫌い、シャンプーを嫌がることがあります。この場合、シャワーの音を聞かせる、部分洗いから始めるなど、少しずつシャンプーに慣れさせるといいでしょう。
また、ネコちゃん用のボディシートを使ったり、トリミングサロンや動物病院などプロにお願いしたりする方法もあります。ネコちゃんのペースに合わせて、無理をさせないことが大切です。
画像提供/PIXTA
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