記事公開:2024.11.27
ワンちゃんにシャンプーを定期的に行うことは、健康管理のためにも欠かせないケアのひとつです。しかし、「自宅でなかなかシャンプーを上手にできない」「愛犬がシャンプーを嫌がってしまう」といった悩みを持つオーナーさんもいることでしょう。
この記事では、ワンちゃんにシャンプーをする頻度の目安やメリットのほか、シャンプーをしすぎることの影響や、シャンプーの手順と注意点について解説します。愛犬の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。
ワンちゃんにシャンプーをする頻度は、一般的に月1~2回が目安とされています。ですが、ワンちゃんの年齢や毛の長さ、生活環境によって適した回数は異なります。また、アレルギーや皮膚トラブルがある場合は獣医師に相談し、愛犬の状態に合わせてシャンプーの頻度を調整することが大切です。
ここでは、ワンちゃんの年齢や毛の長さなどによる、シャンプーの頻度の目安をご紹介します。
子犬やシニア犬は成犬と比べて体力が低いので、シャンプーが負担にならないようにすることが大切です。子犬とシニア犬にシャンプーをする際は、様子を見ながら行いましょう。
子犬の場合、成犬と比べて免疫力や体力が低いため、2回目または3回目のワクチン接種が完了するまでは、シャンプーを控えるのが一般的です。獣医師の指示に従うようにしましょう。また、トリミングサロンでは、ワクチン完了が受け入れの条件のひとつとなっているケースが多くあります。
ただし、子犬期はトイレトレーニングが完了するまで、うんちやおしっこなどで体が汚れやすい時期でもあります。そのため、汚れた部位はぬれタオルやワンちゃん用のウエットシートでふいたり、部分的にシャンプーをしたりしてキレイにしてあげることが大切です。また、成犬と比べて子犬は体温維持が苦手なため、シャンプーは短時間で済ませ、ドライヤーで乾かす際も体温が上がりすぎて熱中症にならないよう注意してください。
ワクチン接種が完了した後は、シャンプーに少しずつ慣れさせていくことが大切です。皮膚がデリケートな時期であるため月1回程度を目安とし、ワンちゃんにとって負担が大きくならないよう、短時間で終わらせることを心掛けてください。
ワンちゃんが高齢になると、体力が低下するため、シャンプーの頻度を2ヵ月に1回などに減らすのがおすすめ。定期的に行うというよりも、ワンちゃんの体調が良いときを選んで行うのがポイントです。
ただし、排泄物やよだれなどでワンちゃんの顔や体が汚れてしまうこともあるでしょう。その場合には、汚れた部位をぬれタオルやワンちゃん用のウエットシートでふいたり、シャンプーで部分洗いをしたりするなど、キレイにしてあげることが大切です。
長毛種のワンちゃんは毛に汚れが絡まりやすいため、月2回などシャンプーの頻度を高めにするのが良いとされています。
短毛種のワンちゃんは月1回程度のシャンプーで問題ありません。ただし、被毛が短いことから長毛種の子よりも皮膚トラブルが起きやすいといわれるため、皮膚への刺激が少ないシャンプーを選ぶことが大切です。
高温多湿になる夏場は、ワンちゃんの皮膚がベタつきやすくなるため、シャンプーの頻度を増やすのも良いでしょう。一方、冬場は皮膚が乾燥しやすいため、シャンプーの頻度を減らすほうが無難です。
ただし、夏場でも屋内で過ごす時間が多く、ワンちゃんの汚れやベタつきが気にならない場合は、頻度を増やさなくても問題ありません。
また、外で過ごす機会の多いワンちゃんは、どうしても体が汚れやすくなるもの。汚れやニオイが気になるときは、シャンプーの頻度を増やして清潔に保つ必要があります。
季節やワンちゃんの生活環境に合わせて、適切な頻度でシャンプーをすることが大切です。
続いては、ワンちゃんにシャンプーをすることのメリットについて、あらためて見ていきましょう。主なメリットとしては、下記の2点が挙げられます。
シャンプーを使って体の汚れを落とすことで、ワンちゃんの体を清潔に保つことができます。こまめなブラッシングでも軽い汚れやホコリは落とせますが、落としきれない部分もあるものです。シャンプーをすることで、外出時についた泥やホコリ、ニオイなどを取り除くことができ、ワンちゃんの健康維持にも役立ちます。
シャンプーは、ワンちゃんの皮膚病の予防や治療にも有効です。ワンちゃん用のシャンプーには、抗菌薬や保湿成分を含んでいるものもあり、これらは皮膚トラブルの防止に役立ちます。また、すでに皮膚トラブルが起きているときは、獣医師指導のもと、治療の一環として薬用シャンプーを使用することもあります。
ワンちゃんにシャンプーをすることは、清潔を保ち健康を維持するために必要です。しかし、シャンプーをする頻度が高すぎると、次のようなデメリットがあるため注意してください。
ワンちゃんにシャンプーをしすぎることは、皮膚の乾燥を招く原因となります。頻繁にシャンプーを行うことで、必要な皮脂まで洗い流してしまい、皮膚が乾燥しやすくなるからです。
乾燥により皮膚のバリア機能が低下すると、炎症や湿疹などの皮膚トラブルが発生するリスクが高まります。
過度なシャンプーは、ワンちゃんにとってストレスとなる場合があります。特にシャンプーが苦手なワンちゃんの場合、頻繁に行うことでストレスが蓄積してしまい、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、シャンプーは必要以上に行わないよう、注意することが大切です。
トリミングサロンで定期的にシャンプーをしている場合でも、ワンちゃんの汚れやニオイが気になるときに自宅でシャンプーができると安心です。ここからは、自宅でワンちゃんにシャンプーをする際の基本的な手順をご紹介します。
まずはシャンプー前に、ワンちゃんの体をしっかりとブラッシングしましょう。ブラッシングは、抜け毛や軽い汚れを取り除くとともに、毛の絡まりや毛玉をほぐすために大切です。事前にブラッシングを丁寧に行うことで、水が皮膚まで届きやすくなり、洗い残しを防ぐことにもつながります。
次に、ワンちゃんの体をぬるめのお湯でしっかりとぬらします。シャワーの適温は、人間が少しぬるいと感じるくらいの37~38℃が目安です。シャワーを出したら、ワンちゃんにかける前にオーナーさんの手で温度を確認しましょう。
シャワーをかける際は、ワンちゃんが驚かないように、まずはおしりのほうからゆっくりとシャワーをかけていくのがおすすめです。いきなり顔にシャワーをかけると、ワンちゃんを怖がらせてしまうので注意してください。また、シャワーヘッドをワンちゃんの体に密着させながらお湯をかけると、急にワンちゃんが動いたときに目や耳にお湯が入るのを防ぐことができます。シャワーの音を怖がる子にも、おすすめの方法です。
十分にワンちゃんの体がぬれたら、泡立てたシャンプーでやさしく洗っていきます。人間用のシャンプーはワンちゃんにとって刺激が強すぎるため、必ずワンちゃん専用のものを使いましょう。
シャンプーで洗う際は、ゴシゴシとこするのではなく、マッサージするようにやさしく洗います。また、目や耳にシャンプーが入らないよう、特に注意しながら洗ってください。なお、体がひどく汚れている場合は、2度洗いもおすすめです。1回目のシャンプーは短時間でザッと汚れを落とし、2回目のシャンプーで全身をしっかり洗います。
シャンプーの後は、しっかりとすすぎを行います。シャンプーのすすぎ残しがあると、皮膚トラブルの原因になるため、念入りに行いましょう。すすぎは顔から始めて、体の順に行います。顔まわりはぬれることを嫌がる子も多いため、シャワーを直接かけるのではなく、ぬらしたスポンジやタオルでふき取るようにするのもいいでしょう。
シャンプー後は、タオルでやさしくワンちゃんの体をふきます。タオルでしっかりと水分を取り除いた後、ドライヤーで毛の根元までしっかりと乾かしてください。ドライヤーの風が熱すぎたり強すぎたりしないよう、適切な温度と風量で乾かすことが大切です。
また、顔まわりのしわや足先など、水分が残りやすい部分も十分に乾かすようにしましょう。自然乾燥は皮膚トラブルの原因になることがあるため避けてください。
最後に、シャンプーが終わったら、ワンちゃんをたっぷりとほめてあげましょう。「上手にできたね!」「よくがんばったね!」と声をかけたり、おやつなどのご褒美をあげたりすることで、シャンプーを楽しい経験として覚えてもらいやすくなります。
ワンちゃんのシャンプーは、犬種や毛質によって適切な方法が異なります。ワンちゃんのタイプ別にシャンプーのポイントを押さえ、適切なケアを行いましょう。
長毛種のワンちゃんは、毛が長い分、絡まりやすい特徴があります。そのため、シャンプー前にしっかりとブラッシングを行い、毛の絡まりをほどいて抜け毛も取り除いておくことが大切です。
また、乾かす際も毛玉ができやすいため、ドライヤーをかけながらブラッシングを行い、毛の流れを整えつつ乾かしましょう。
ダブルコート種のワンちゃんも、長毛種のワンちゃんと同様、シャンプー前のブラッシングが重要です。ダブルコート種のワンちゃんは、被毛がオーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の2層構造になっており、豊かな毛量が特徴。
毛量が多い分、抜け毛も多くなるため、事前のブラッシングで抜け毛やもつれを取り除くことで、シャンプーが毛の根元まで届きやすくなり、汚れをしっかりと落とすことができます。
短頭種のワンちゃんは、顔に多くのしわがあるため、その部分に汚れが溜まりやすくなります。シャンプー時には、指やぬれタオルなどを使ってしわ部分を丁寧に洗い、汚れをしっかりと取り除くことが大切です。
また、シャンプーの後、しわの部分にすすぎ残しや乾き残しがないよう、注意してください。
シャンプーに慣れていないワンちゃんや、シャンプーを嫌がるワンちゃんの場合は、無理して行うことは避けてください。無理にシャンプーをすると、ワンちゃんがさらにシャンプーを嫌がるようになり、ストレスが増してしまうおそれがあります。
そのような場合には、別日に行うか、シャンプー以外の方法でケアをしてあげましょう。シャンプー以外にワンちゃんの体を清潔に保つ方法としては、次のようなものがあります。
ワンちゃんをブラッシングするだけでも、抜け毛や軽い汚れであれば取り除くことができます。ブラッシングは、ワンちゃんとのスキンシップや健康チェックのためにも重要なので、日常的なケアとして行うようにしましょう。
外遊びの後など、ワンちゃんの体の汚れやニオイが気になる場合には、シャンプーの代わりにぬれタオルや市販のワンちゃん用ボディシートを活用することもひとつの選択肢になります。ワンちゃんがケガをしているときなど、シャンプーができない場合にも便利です。
ただし、汚れやニオイを落とそうとしてゴシゴシこすってしまうと、ワンちゃんの皮膚を傷めてしまうことがあります。力を入れすぎず、やさしくふいてあげることがポイントです。特に、ワンちゃんがさわられるのが苦手な部分や、しわのあいだなど汚れが溜まりやすい箇所は注意してケアしましょう。
自宅でのシャンプーが難しい場合や、ワンちゃんがシャンプーに対して強い抵抗を示す場合には、トリミングサロンなど、プロに任せるのもひとつの選択肢です。
シャンプーだけでなく、耳掃除や爪切り、肛門腺絞りなどのケアも行ってくれるところもあるため、ワンちゃんの全身のケアを一度に済ませることができます。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
ワンちゃんの健康のために、体を清潔に保つことは大切です。ただし、シャンプーの頻度が高すぎるのも悪い影響を与えてしまうため、ワンちゃん用のボディシートを活用したケアを取り入れるといいでしょう。
「キミおもい 全身すっきりシート」は、ワンちゃんの全身の汚れやニオイを取ることができる、大判で厚手のボディシート。ホホバオイルとヒアルロン酸を配合しており、ワンちゃんの肌と被毛をキレイに保つことができます。シャンプーとシャンプーの合間など、日頃のお手入れにはもちろん、シャンプーが苦手なワンちゃんや、病気やケガでシャンプーができないときのシャンプー代わりとしてもおすすめです。
「キミおもい 全身すっきりシート」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 全身すっきりシート
ワンちゃんにシャンプーをすることは、皮膚や体の健康を保つためにも大切なケアです。ワンちゃんの負担にならないよう、自宅でのシャンプーに少しずつ慣れさせてください。
また、シャンプーができないときや、シャンプーとシャンプーの合間のお手入れには、ワンちゃん用のボディシートなどを取り入れてみましょう。どうしても自宅でのシャンプーが難しいと感じる場合には、トリミングサロンなどプロに相談することをおすすめします。
ワンちゃんにシャンプーをする頻度は、月1~2回が目安です。ただし、ワンちゃんの年齢や被毛の長さ、季節、生活環境などによって、適した頻度は異なります。シャンプーの頻度が高すぎると悪影響があるため、愛犬の様子を見ながら適した頻度で行うことが大切です。
ワンちゃんにシャンプーをすることで、汚れやニオイを落とすことができ、体を清潔に保つことができます。適切なシャンプーは、皮膚トラブルの予防としても有効です。
また、すでに皮膚トラブルが起きている場合、治療の一環として薬用シャンプーを使用する場合もあります。
自宅でワンちゃんにシャンプーをする際の手順は次のとおりです。
1. ブラッシングで抜け毛や軽い汚れを取り除き、毛の絡まりや毛玉をほぐす
2. 37~38℃くらいのぬるめの湯で体をぬらす
3. ワンちゃん用のシャンプーでやさしく洗う
4. しっかりとシャンプーをすすぐ
5. タオルで水分を取り、ドライヤーで乾かす
6. たっぷりほめる
画像提供/PIXTA
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