記事公開:2024.07.24
ワンちゃんにとってお散歩は、運動になるだけでなく、ニオイや音の刺激、人やほかのワンちゃんとの出会いなどの経験を通じて、社会性を育む大切な時間です。一方で、「ワンちゃんがお散歩で歩かない」「ワンちゃんがお散歩を拒否する」と悩んでいるオーナーさんも少なくありません。ワンちゃんがお散歩で歩かないのは、どういった理由なのでしょうか?
ここでは、ワンちゃんがお散歩を嫌がる理由とその対処法を解説。ワンちゃんにお散歩を好きになってもらうための方法についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
まずは、ワンちゃんがお散歩中に歩かなくなったり、お散歩を嫌がったりする主な理由をご紹介します。自分の意志を通したいというわがままが理由とは限らないため、ワンちゃんの様子をしっかり観察することが大切です。
今までお散歩好きだったワンちゃんが、急に歩きたがらなくなった場合は、病気やケガの影響が疑われます。例えば、肉球や爪をケガしたり、関節炎やヘルニアを発症したりして、痛みを感じて歩けなくなったのかもしれません。
ワンちゃんは本能的に自分の弱みを隠すものです。歩き方に問題がないように見えても、どこかに痛みを感じている場合もあります。ワンちゃんがお散歩中に足を気にしている場合や普段と様子が違うと感じた場合は、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
ワンちゃんがお散歩で歩かないのは、過去のお散歩で、怖かったり、嫌なことがあったりした体験がトラウマになっているのかもしれません。ほかのワンちゃんに吠えられたり、大きな物音や車などに怯えたりした経験があると、お散歩自体にネガティブなイメージを抱くことがあります。
お散歩に慣れていない子犬期は怖がって歩かないことも多く、無理にお散歩をしようとすると、お散歩嫌いになってしまう可能性もあるので要注意。まずは、お散歩が楽しいことを教える必要があるでしょう。
ワンちゃんにも、行きたくないお散歩コースは存在します。「嫌いなニオイがする」「人通りや交通量が多い」など、その道が好きではないワンちゃんなりの理由があり、歩くのを拒否することもあるでしょう。ワンちゃんがどのような場所・道で歩かなくなるのかを確認し、理由を探ることが大切です。
お散歩中に気になるニオイやものがあり、ワンちゃんが歩かなくなるケースもあります。
諸説ありますが、ワンちゃんの嗅覚は人間の100万倍も優れているともいわれており、微かなニオイから多くの情報をキャッチしています。そのため、草木やほかのワンちゃんのマーキング、道端に落ちているものなど、気になるニオイを嗅ぐことに夢中になり、立ち止まって歩かなくなるワンちゃんは多いものです。
また、ほかのワンちゃんなどを見つけるとどうしても気になり、歩かなくなる子もいます。
オーナーさんの過去の対応が原因となり、ワンちゃんがお散歩で歩かないこともあります。例えば、散歩の途中で歩かなくなったらすぐにワンちゃんを抱き上げたり、ペットカートに乗せたり、おやつをあげたりしてしまうケースです。
こうした場合、「歩かないほうが構ってもらえる」「良いことがある」と、ワンちゃんが学習してしまっている可能性があります。そのため、オーナーさんがワンちゃんとの接し方や行動を見直すことが必要でしょう。
お天気が良くないと、人間も外に出るのがおっくうになるもの。同じくワンちゃんも、「暑い」「寒い」「雨が降っている」などの理由で、お散歩を拒否することがあります。
特に暑さが厳しくなると、人間よりも背の低いワンちゃんは地面からの照り返しによる負担が大きく、熱中症のリスクも高まります。真夏のお散歩は朝や夕方にするなど、季節に合わせてワンちゃんが過ごしやすい時間帯を選ぶことが大切です。
加齢による筋力や体力の低下が原因で、ワンちゃんがお散歩で歩かなくなるケースもあります。愛犬が年をとって、シニアになってからも同じお散歩コースを歩き続けていると、筋力や体力の低下によって途中で疲れてしまうことがあります。
無理をさせないようにワンちゃんの様子をよく観察して、お散歩コースを見直したり、途中で休憩をとったりするなどの対応をしましょう。
ワンちゃんがお散歩で歩かない理由に思い当たることがあれば、それに合わせて対策をしましょう。お散歩好きの子が急に歩かなくなった、歩き方に違和感があるといった場合は病気やケガの可能性があるため、すぐに動物病院を受診することが大切です。
ここからは、病気やケガ以外の理由でワンちゃんが歩かない場合の5つの対処法について解説します。
ワンちゃんがお散歩に慣れていなかったり、怖がったりして歩かない場合には、お散歩やお散歩グッズに徐々に慣れさせるのが効果的です。特に子犬の場合は、まだ外の世界になじめず、新しい環境に不安を感じていることも多いもの。その場合は無理に歩かせるのではなく、少しずつ慣れさせることが大事です。
まずは安心な家の中で、お散歩のシミュレーションをするのもいいでしょう。本番のお散歩と同じように、ワンちゃんに首輪やリード、ハーネスを装着して慣れさせていきます。遊ぶときやごはんを食べるときも装着すれば、「首輪やリードをつける=楽しいこと」というイメージになることが期待できます。
ワンちゃんが首輪やリードなどに慣れてきたら、家の周囲の静かな道で短いお散歩から始めてみてください。ワンちゃんの様子を見ながら、徐々に人や車、電車といった刺激に慣れさせ、お散歩コースを広げていくのがおすすめです。
ワンちゃんが毎回同じ場所で歩かなくなったり、同じ時間帯のお散歩を嫌がったりするようなら、お散歩コースや時間帯を見直すのもひとつの方法です。
いつもと違うコースを選択したり、ワンちゃんがより快適に歩ける時間帯にお散歩をずらしたりしてみましょう。
お散歩中は、ワンちゃんと積極的にアイコンタクトをとったり、声をかけたりして、コミュニケーションをとるといいでしょう。それによってワンちゃんの不安をやわらげたり、「水が飲みたい」「車が怖い」などの気持ちをくみ取ってあげたりしやすくなります。
気になるものが多くて落ち着かないワンちゃんや、ほかのワンちゃんなどに興奮しやすいワンちゃんの場合は、普段から「オスワリ」や「マテ」のトレーニングをしておくのも有効。ワンちゃんが別の何かに興奮しているとき、これらのコマンドでオーナーさんに注目させることで、落ち着かせられるようになります。
ワンちゃんが「歩かなければ抱っこしてもらえる」「おやつをもらえる」などと期待している場合、オーナーさんがその要望に応え続けると、ますます歩かなくなってしまう可能性があります。
お散歩の主導権を握るのはあくまでもオーナーさん。ワンちゃんが歩くまで根気強く待ち、すぐに抱っこしたり、おやつで誘導したりすることはやめましょう。
普段からオーナーさんがリーダーシップをとり、歩くコースも決めていくことで、すべてがワンちゃんの思いどおりにはならないと認識してもらうことが大切です。
ただし、子犬期などお散歩を怖がっている様子が見られるうちは、無理強いをしないようにしましょう。
ワンちゃんがニオイを嗅ぐことに夢中になってしまう場合も、オーナーさんがリーダーシップをとり、コースの中でニオイ嗅ぎをしていい場所を決めるのがおすすめです。電柱や草むらなど、ワンちゃんがニオイを嗅ぎそうなポイントに近づいたら、アイコンタクトや声かけでワンちゃんの注意を引き、その場所から離れるという方法もあります。また、ワンちゃんに際限なくニオイを嗅がせるのではなく、「行くよ」などの合図で離れられるように練習しましょう。
なお、ワンちゃんが十分にエネルギーを発散したお散歩の後半に「ニオイ嗅ぎタイム」を設けることで、しつこく嗅ぎ続ける行動を防ぎやすくなります。
ワンちゃんがお散歩を「楽しい」と思ってくれれば、喜んでお散歩に行き、歩くことを楽しんでくれるはず。ここでは、ワンちゃんをお散歩好きにするための方法をご紹介します。
お散歩中のリードは引っ張らず、ややたるんだ状態をキープするのが理想的。ワンちゃんが興奮してグイグイ進んでしまうときや、歩くことを嫌がったときに、リードを強く引っ張りすぎると、お散歩に対してネガティブなイメージが定着してしまいます。無理強いはせず、ワンちゃんをうまく誘導することを心掛けましょう。
ワンちゃんに「お散歩に行くと良いことがある」というポジティブなイメージを持ってもらうように工夫してみることも大切です。
例えば、「今日はお天気が良いね」「上手に歩けて偉いね」などと明るく声をかける、名前を呼んでアイコンタクトできたら、しっかりほめておやつを与えるといったことも効果的。ワンちゃんにとってうれしい出来事がたくさんあれば、「お散歩は楽しい!」と認識してくれるでしょう。
お散歩の時間を利用して、ワンちゃんにしつけやトレーニングをしようとする場合、あまり難しい内容を求め続けるとなかなかご褒美にありつけず、ストレスを感じて散歩を楽しめなくなってしまいます。
お散歩中にはあまり難しいことをさせず、愛犬が純粋に歩くことを楽しめるように配慮してあげましょう。
ワンちゃんがお散歩に慣れたら、毎日同じルートを歩くより、違う道を歩いたり、定期的に新しいお散歩コースを加えたりすることもおすすめです。
ワンちゃんにとって、新しい景色やニオイ、初めての人やワンちゃんに出会うことが刺激となり、良い気分転換になります。「今日はどんな所に行けるのかな?」と期待感が高まり、楽しみが増えるかもしれません。
ワンちゃんには、生後3ヵ月頃までのあいだ、人間やいろいろな音・場所などさまざまなものを受け入れる、「社会化期」というものがあります。社会化期に外の世界に慣れることで、人間やまわりの環境が怖くないということを学び、お散歩への抵抗感が軽減されます。お迎えするタイミングや予防接種などの関係で、社会化期のワンちゃんを外で歩かせることが難しい場合、抱っこをした状態で外の音やニオイを感じさせたり、家の中でいろいろな人に会ったりする機会を作るとよいでしょう。
また、子犬のうちに動物病院などで行われているパピークラス(ワンちゃんの幼稚園のようなもの)に可能な限り参加するのもおすすめ。ほかのワンちゃんと遊び、慣れるきっかけにもつながるので、ワンちゃんの社会性を育むのに効果的です。
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院
天気が悪い日などのお散歩では、ワンちゃんの足裏や体が汚れてしまうこともあります。ワンちゃんについた汚れをやさしく落とすには、「キミおもい」のウエットシートを活用するのもおすすめです。
「キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー」は、ワンちゃんの肌にやさしい、シルキータッチのウエットティシュー。水分をたっぷり含み、デリケートなお顔まわりや手足の汚れもやさしくふき取れるので、お散歩後のお手入れにおすすめです。用途やお好みに合わせて、純水99%タイプと、ノンアルコール除菌タイプの2種類から選べます。
「キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 肌にやさしい ウエットティシュー
「キミおもい 全身すっきりシート」は、ワンちゃんについた汚れ・ニオイをからめ取れるメッシュシート。厚手で大判のシートのため、1枚でワンちゃんの全身をふくことができます。被毛保護成分を配合しているので、ワンちゃんの肌や被毛にやさしいのも特長です。お散歩後のお手入れはもちろん、シャンプーとシャンプーの合間の日常のケアにも活躍します。
「キミおもい 全身すっきりシート」については、下記のページをご覧ください。
キミおもい 全身すっきりシート
ワンちゃんにとってお散歩は、ストレス発散や社会化のために不可欠であり、オーナーさんとの絆を深める大切なコミュニケーションの時間でもあります。
ワンちゃんがお散歩で歩くのを嫌がるときは、必ず何らかの理由が隠されているはずです。様子をよく観察して、ワンちゃんの気持ちに寄り添った対処をしてあげましょう。日々のお散歩をワンちゃんといっしょに楽しんでくださいね。
子犬がお散歩で歩かない場合に多く見られるのは、お散歩に慣れていなかったり、過去に嫌な体験をしたりしてお散歩を怖がるケースです。交通量が多い、苦手なものがあるといった理由で、お散歩コースが嫌いなことも考えられます。さらに、ニオイを嗅ぐことに夢中になる子や、「歩かなければ抱っこしてもらえる」「おやつをもらえる」と学習してしまったことで、歩かなくなるケースもあります。
暑い・寒いといったコンディションや、加齢による体力の衰え、病気やケガによる痛みが原因で歩かなくなることもあるので、ワンちゃんの様子をよく観察することが必要です。
ワンちゃんがお散歩で歩かないときの対処法は、原因によって異なります。病気やケガの可能性がある場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。
病気やケガがない場合は、ワンちゃんの様子を観察して原因を考え、それに合った対処法を試しましょう。お散歩コースを見直すほか、歩きながらアイコンタクトをとってワンちゃんを安心させるなど、ワンちゃんにとってお散歩が良いものになるよう工夫することも大切。オーナーさんがしっかりとリーダーシップをとり、ニオイを嗅ぐ場所をコントロールするなど、ワンちゃんとの接し方を見直すことも効果的です。
また、子犬など、ワンちゃんがまだお散歩に慣れていない場合は、まず家の中でお散歩のシミュレーションをし、短い距離から歩き始めて、徐々にお散歩とお散歩グッズに慣れさせていってください。
ワンちゃんがお散歩で歩かないからといって、無理にリードを引っ張ってしまうのは避けましょう。お散歩に対して良くないイメージが定着してしまうことがあります。無理強いはせず、ワンちゃんをうまく誘導することを心掛けてください。また、お散歩中に難しいトレーニングをすることも避けるのがおすすめです。
お散歩の際は、声かけやアイコンタクト、おやつなどのご褒美をうまく使って、ワンちゃんに「お散歩は楽しいもの」と認識してもらうようにすることが大切。定期的にお散歩コースを変えることも、ワンちゃんにとって良い気分転換になるのでおすすめです。
画像提供/PIXTA
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