記事公開:2024.2.26
ワンちゃんのおしっこを日頃からチェックすることは、ワンちゃんの健康管理をする上でとても重要なことです。
この記事では、ワンちゃんのおしっこの回数と量の目安のほか、おしっこの色のチェック方法などを解説。さらに、おしっこの頻度や量、色などがいつもと違うときの対処法についても紹介します。
ワンちゃんの1日のおしっこの回数は、年齢によって異なります。平均的な回数の目安は下記のとおりです。
ただし、個体差もあるため、日常的にトイレの様子を観察して、ワンちゃんのおしっこの回数を把握しておくといいでしょう。
未成熟な子犬は、膀胱も成犬に比べると小さいため、たくさんのおしっこを溜めておくことができません。そのため、少量のおしっこを何回かに分けてする傾向があります。
成犬になると膀胱が成熟し、おしっこを溜められるようになるため、子犬のときより回数が減少します。ただ、回数は不妊手術(去勢・避妊)の有無や個体によっても異なります。
一度にたくさんおしっこをするワンちゃんもいれば、散歩中などにマーキングをするため、複数回に分けて少しずつおしっこをするワンちゃんもいるでしょう。
シニア犬になると、膀胱の機能や排泄に使う筋力が低下するため、成犬の頃よりおしっこの回数が増える傾向があります。さらに、年齢を重ねると頻尿が進み、トイレに間に合わなくなるなど粗相をしてしまう場合も出てきます。
ワンちゃんのおしっこについてチェックしておきたいのは、回数だけではありません。「1日あたりのおしっこの量」「おしっこの色」「おしっこをしているときのワンちゃんの様子」「おしっこのニオイ」なども、変化があればすぐ気づけるように日頃から観察しておきましょう。
健康なワンちゃん(成犬)が1日に出すおしっこの量の目安は、体重1kgあたり28~47mlとされています。
例えば、体重5kgのワンちゃんの場合は140~235mlが目安です。一方で、下記のような尿量の場合は病気が原因である可能性があり、注意が必要です。
<注意が必要なおしっこの量>
・多尿
ワンちゃんの体重1kgあたり50ml以上/日(体重5kgの場合は250ml以上/日)
・乏尿
ワンちゃんの体重1kgあたり7ml以下/日(体重5kgの場合は35ml以下/日)
・無尿
ワンちゃんの体重1kgあたり2ml以下/日(体重5kgの場合は10ml以下/日)
ワンちゃんのおしっこの量を正確に知るのは難しいですが、排尿後のペットシーツの重さを量ることで、1回あたりのおおよその尿量を把握することができます。あらかじめ使用前のシーツの重さを量っておき、その分をマイナスするといいでしょう。
ただ、ワンちゃんがペットシーツでおしっこをしてくれなかったり、ペットシーツからおしっこが溢れてしまったりなど、おしっこの量を測定することが困難な場合もあります。その際は、後述するワンちゃんの飲水量を量るのがおすすめです。
ワンちゃんのおしっこの色も、大切なチェックポイントのひとつです。健康なワンちゃんのおしっこの色は薄い黄色ですが、朝起きたときや運動した後などは、一時的に少し濃い黄色になることがあります。
一方で、「色の濃いおしっこがずっと続く」「赤みがかっている」「白く濁っている」「キラキラとしたものが混ざっている」「色がほとんどない(水のように薄い)」といった場合は、病気の可能性があるので要注意です。
ワンちゃんがおしっこをするときの様子も確認しましょう。「おしっこをしようとしているけどおしっこがほとんど出ない」「おしっこをするときに鳴くなど痛がっている」など、普段と違う様子が見られたら、注意が必要です。
可能であれば、おしっこのニオイも知っておくと良いでしょう。消臭機能のあるペットシーツを使っている場合も、おしっこ中や直後であればニオイがわかりやすいですし、いつもは気にならないのにきついニオイがする、普段と違うニオイがするといった場合は、病気のサインかもしれません。
ワンちゃんのおしっこの量を正確に量るのは難しいものですが、1日に飲む水の量を把握しておくと、飲水量の変化によって異常に気づくことができます。計量カップやペットボトルなどを利用して、普段からワンちゃんに与えた水がどのくらいか量っておくといいでしょう。
ワンちゃんの1日の飲水量の目安は、体重1kgあたり50~60mlといわれています。例えば、体重5kgのワンちゃんの場合は、1日250~300mlが目安です。なお、ワンちゃんも人間と同じように、気温の高い夏場や激しい運動をした後は、一時的に飲水量が増えます。反対に、寒くなって散歩の時間や運動量が減ると、その分水を飲む量も減る傾向があります。
水を飲む量が少なすぎるとおしっこの濃度が高くなり、病気につながることもあるため注意が必要です。何らかの病気によって水を飲む量が異常に増えることもあるので、そのような変化を見逃さないようにしましょう。
ワンちゃんのおしっこの回数や量が減った場合、水を飲む量が足りていないか、何らかの理由でおしっこを我慢しているのかもしれません。ワンちゃんのおしっこのトラブルを防ぐために、日常的にできる対策をご紹介します。
ワンちゃんの飲み水はこまめに交換し、常に新鮮な水を用意してあげましょう。水用のボウルはこまめに洗い、清潔に保ちます。水を飲む場所が暑すぎたり寒すぎたりしないよう、室内の温度や水飲み場の位置を調整することも大切です。
また、特に子犬やシニア犬は、生活スペースから水飲み場が遠すぎるとあまり水を飲まないことがあります。水飲み場は、ワンちゃんが長く過ごす場所に設置するのがおすすめです。
なお、冬場はワンちゃんが水を飲む量が減る傾向にあるため、おしっこの病気が増えやすい季節。病気については後述しますが、水を飲む量が減ることでおしっこが濃くなって尿石症になる、濃いおしっこが膀胱を刺激して膀胱炎になるといったことが起こります。また、トイレに行く回数が減ることで感染を起こしやすい点にも注意が必要です。冬場は意識してワンちゃんに水分をとらせるようにしましょう。
飲水量が足りていないと感じる場合は、食事からもたっぷり水分がとれるように工夫しましょう。ドライフードを与えているなら、ウェットフードに切り替えるか、ドライフードをお湯でふやかして、程良い温度に冷ましてから与えるのもひとつの方法です。
フードをお湯でふやかすと、おいしそうな香りが立ちやすくなるため、ワンちゃんの食欲増進にもつながります。
ワンちゃんによっては、トイレが汚れているのを嫌がっておしっこを我慢してしまう場合もあります。汚れたペットシーツはこまめに替え、トイレトレーは定期的に洗って、ワンちゃんが快適に排泄できる環境を整えましょう。
外でおしっこをするワンちゃんの場合は、お散歩の回数を増やして、できるだけおしっこを我慢させないようにすることが大切です。
また、ワンちゃんの健康維持のためにも、普段から室内でトイレができるよう、トイレトレーニングをしておくことをおすすめします。
ワンちゃんのトイレトレーニングについては、下記のページをご覧ください。
犬のトイレのしつけ方とは?粗相を防ぐポイントや必要なグッズを解説
前述したとおり、ワンちゃんのおしっこの変化は病気による影響の可能性もあります。続いては、ワンちゃんのおしっこの回数や量が大きく変わった場合に、考えられる病気について見ていきましょう。
少量のおしっこを何度もする「頻尿」の場合、次のような病気の可能性があります。おしっこの量が急に減ったり、出なくなったりしたときは、すぐに動物病院を受診しましょう。
・尿路結石症
尿路結石症は、腎臓から尿道までの尿路に結石ができる病気です。主に細菌感染や食事などが原因で起こりますが、飲水量が足りずに尿が濃くなることでも、結石ができやすくなります。症状としては頻尿や血尿、排尿痛などです。尿路結石症と一緒に膀胱炎や尿道炎などの病気を併発することもあります。
・膀胱炎
膀胱炎は、主に尿道から細菌が感染し、膀胱で炎症が起きる病気です。細菌感染以外にも、結石や腫瘍、ストレス、寒さが引き金となることも。頻尿や血尿、おしっこをしようとしても出ていない、排尿痛、おなかを触ると痛がる、おしっこのニオイが違うなどの症状が見られます。慢性化することも多いため、早めの治療が大切です。
・前立腺肥大症
前立腺肥大症は、去勢手術をしていないシニアの男の子に多い病気で、男性ホルモンの過剰分泌や、長期間男性ホルモンにさらさることが原因のひとつです。初期段階では無症状なことも多いですが、病気が進行すると尿道や腸が圧迫され、おしっこやうんちが出にくくなります。
ワンちゃんが「多飲多尿(大量に水を飲み、おしっこをたくさんする)」になった場合は、下記のような病気のサインかもしれません。この場合も、すぐに動物病院を受診しましょう。
・慢性腎臓病
慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下する病気です。初期は無症状ですが、腎機能の低下に伴って多飲多尿の症状が現れます。
腎臓はおしっこを作るだけでなく、おしっこの濃縮もしている臓器です。そのため腎機能が低下すると、薄い尿がたくさん出て体に必要な水分を捨ててしまう「多尿」になってしまいます。その結果、脱水して喉が渇くため水をたくさん飲む「多飲」になってしまうのです。
慢性腎臓病は、進行すると食欲減退、体重減少、嘔吐などの症状が見られ、反対におしっこがまったく出なくなって尿毒症を引き起こすおそれもあります。
・糖尿病
糖尿病は、体内のインスリンがうまく作用しないことで、食事でとった糖分を利用できなくなる病気です。白内障や腎疾患、肝疾患などの合併症を伴うことがあります。症状としては多飲多尿や体重の減少、嘔吐、下痢などがあり、重度になると神経障害や昏睡などを引き起こすため、早めの治療が重要です。
・クッシング症候群
クッシング症候群とは、コルチゾールというホルモンの分泌が過剰になることで、さまざまな症状が起きる状態を指します。主な症状は多飲多尿のほか、おなかが張る、脱毛するなどです。進行すると免疫力が低下して皮膚炎や膀胱炎などにかかりやすくなり、糖尿病などの病気を併発することもあります。
・子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は子宮の中に細菌感染が起こり、膿が溜まる病気で、不妊手術をしていないシニアの女の子に多く見られます。多飲多尿のほか、元気や食欲がなくなる、嘔吐、外陰部から膿が出るといった症状があり、進行すると敗血症を引き起こすおそれがあるため、早期発見が重要です。
ワンちゃんのおしっこの回数や量は気候などによっても変化します。
しかし、水を飲ませてもおしっこが出ない、色がおかしい、痛そうにする、大量の水を飲んでたくさんのおしっこを出すなどの異変が起きた場合は要注意です。
いつもと違うことに気づいたら、すぐに動物病院で診察してもらいましょう。
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ワンちゃんの1日のおしっこの回数は年齢によって異なり、子犬で7~10回、成犬で3~5回、シニア犬で5~6回が目安といわれています。ただし、個体差もあるため、普段のトイレの様子を観察して、ワンちゃんのおしっこの回数を把握しておくといいでしょう。
健康な成犬が1日に出すおしっこの量の目安は、体重1kgあたり28~47mlとされ、体重5kgのワンちゃんの場合は140~235mlが目安です。使用前と排尿後のペットシーツの重さを比べることで、1回あたりのおおよその尿量を把握することができます。
ワンちゃんのおしっこの回数や量が少ないときは、十分に水分補給をする、トイレの環境を見直す、お散歩の回数を増やすなどして、排尿を促しましょう。ただし、おしっこをしない、色がおかしい、排尿時に痛そうにする、大量の水を飲んで大量のおしっこを出すなどの異常が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。
画像提供/pixta
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院