記事公開:2024.1.22
ネコちゃんを迎えたらまず始めたいことが、トイレのしつけです。オーナーさんとネコちゃんがストレスなく、快適に暮らすためには、家の決まった場所にネコちゃんがトイレをできるようになることがとても大切といえるでしょう。
この記事では、トイレグッズ選びや子猫と成猫のしつけのポイントのほか、トイレトレーニングがうまくいかないときの対処法などについてご紹介します。
一般的にネコちゃんはトイレを覚えるのが早く、比較的しつけがしやすいといわれています。子猫なら1日~1週間程でマスターすることが多いですが、中にはなかなかトイレを覚えられず、オーナーさんが悩むケースも。さらに、成猫や元野良猫の場合は、子猫より時間がかかる傾向があります。
トイレのしつけは最初が肝心。適切な方法で集中して教えてあげれば、その後が楽になります。お互いに快適に暮らせるよう、ネコちゃんを迎え入れた日からトイレのしつけを始めましょう。
ネコちゃんをお迎えする前に、必要なトイレグッズをそろえましょう。ここでは、猫用のトイレと猫砂の種類、それぞれの特徴についてご紹介します。ネコちゃんにトイレを覚えてもらうには、トイレを気に入ってもらうことが大切です。ネコちゃんが排泄前後に猫砂をかく時間が長いほうが、トイレを気に入っているという目安になります。もし、なかなかトイレを覚えてもらえない場合には、いろいろなタイプを試してみるといいでしょう。
猫砂が必要な理由は、ネコちゃんは排泄物に砂をかけてニオイや痕跡を隠す習性があるためです。ニオイや痕跡を隠すのは、狩りの際に自分の存在を勘付かれないようにする、外敵から身を守るなどの理由があり、その名残が人間と暮らすようになった現在も本能として残っているのです。
人間と暮らしてきたネコちゃんの先祖は、「リビアヤマネコ」という砂漠に住む種とされ、その名残でサラサラとした猫砂を好む傾向があるといわれています。
トイレのサイズは、ネコちゃんの体長(首から尾の付け根まで)の1.5倍以上が目安です。そのくらいの大きさがあれば、中で体の向きを変えたり、猫砂をかいたりすることがしやすくなります。排泄後に猫砂をかいていなかったり、トイレの外をかいていたりする場合は、ネコちゃんにとってあまりお気に入りのトイレではありません。ネコちゃんの成長に合わせて、トイレも買い換えていくのがおすすめです。
猫用トイレには、主に3種の機能別構造と2種の形状があります。ネコちゃんの好みやご自宅の環境などに合わせて選びましょう。
<猫用トイレの主な機能別構造>
・ノーマルトイレ
猫砂を敷くだけのシンプルなトイレ。ほかのタイプよりも比較的手頃な価格で購入できます。固まるタイプの猫砂を中に敷いて使用。おしっこで固まった猫砂やうんちは、都度お掃除をする必要があります。
・システムトイレ
上段に猫砂を敷くスノコ、下段にペットシーツを敷く引き出しがついた2層構造。固まらないタイプの猫砂と、システムトイレ用ペットシーツを組み合わせて使います。おしっこは猫砂とスノコを通り抜けて、下段のペットシーツに吸収されるので、普段のお掃除の手間が少なくニオイも抑えられるのが特徴です。
・自動トイレ
排泄物を検知して、自動的におしっこで固まった猫砂やうんちをお掃除してくれるトイレ。お手入れの手間が少なく、清潔さを保てます。
なお、システムトイレは構造の特性上ネコちゃんがかくのに十分な量の猫砂を入れることができないこと、自動トイレは突然音がしたりすることがネックになり、ネコちゃんが受け入れてくれない場合があります。
初めは、猫砂を多めに入れる、自動トイレの場合は電源を入れずに様子を見るなどの工夫をしたほうが受け入れてくれる可能性が高いです。
<猫用トイレの主な形状>
・オープンタイプ
上が開いたシンプルな箱形。ネコちゃんが出入りしやすく、お手入れが簡単です。
・ドームタイプ
上部が屋根で覆われたタイプ。隠れてトイレをしたいネコちゃんが安心でき、ニオイも比較的抑えられるのが特徴です。ただし、ネコちゃんによっては、ドームタイプのトイレを嫌いになってしまうこともあります。ネコちゃんにとって換気扇のついていない仮設トイレのようなもので、正面から敵が来たときに逃げ道がないためです。ドームタイプを使用する場合は、初めのうちはドームを取り、慣れてから取り付けてあげるといいでしょう。
猫砂には、主に次の5種類があります。特徴を知り、扱いやすさやネコちゃんの好みで選びましょう。
なお、トイレトレーニング時は、できる限り粒が細かいタイプの猫砂(公園の砂場の砂くらいが目安)から使用するのがいいとされています。粒の大きな猫砂はトイレ周りに散らばりにくいため、部屋が汚れにくいというメリットがありますが、ネコちゃんがトイレを覚えてから徐々に変更するのがおすすめです。
<猫砂の主な種類>
・紙
軽くて持ち運びが楽。燃やせるゴミに出すことができ、処理が簡単です。
・鉱物
実物の砂の感触に近いため、好む猫が多いといわれています。しっかり固まるのでお掃除が楽。
・木
ヒノキなどを原料とし、自然な香りで消臭効果があります。
・おから
食品が原料なので万が一ネコちゃんの口に入っても比較的安全。燃やせるゴミに出すことができます。
・シリカゲル
トイレのニオイを強力に脱臭する効果があります。固まらずにおしっこを透過するので、システムトイレで使います。
子猫のトイレトレーニングは、自力で排泄ができるようになる生後3週間以降に始めましょう。基本的なトイレのしつけ方のポイントをご紹介します。
トイレを設置するときは、人がよく通る扉の前や廊下、洗濯機など音の大きな電化製品の近くを避け、静かでネコちゃんが落ち着ける場所を選びましょう。
ただ、あまり人目につかない所に置くと、排泄に気づきにくくなることもあります。排泄物のチェックやこまめなお掃除ができるよう、リビングの隅など目の届きやすい場所を選ぶのがおすすめです。そして、一度場所を決めたら、あまり動かさないようにします。
また、初めはケージの中にネコちゃんとトイレを入れて、トイレを認識したらケージから出すという方法もおすすめです。
ネコちゃんの排泄のサインを見極めて、トイレに連れて行くことを繰り返します。そわそわしたり、床のニオイを嗅いだり、床を引っかいたりし出したら「トイレに行きたい」という合図。ネコちゃんをそっとトイレに連れて行って、静かに見守りましょう。
最初の頃は2~3時間おきにトイレに連れて行くのも効果的です。寝起きや食後、遊んだ後なども、排泄しやすいタイミングといわれています。
トイレで上手に排泄できたら、たくさんほめてあげましょう。しっかりほめてもらうことで、ネコちゃんはトイレを早く覚えます。
ただし、排泄中に声をかけるのは驚かせてしまうのでNG。排泄が終わって落ち着いたタイミングで、「上手にできたね!」などと話しかけてあげてください。
トイレに失敗してしまっても、決して叱ってはいけません。トイレの失敗を叱ると、ネコちゃんは排泄が悪いことだと認識してしまいます。その結果、オーナーさんに隠れて排泄するようになる、おしっこを限界まで我慢して膀胱炎になってしまうなどのおそれもあるのです。
叱りながらトイレトレーニングをしても効果がない上、ネコちゃんの健康にも悪い影響を与えてしまいます。叱りたい気持ちはぐっとこらえ、失敗の原因を見つけて、改善策を考えていきましょう。
ネコちゃんがトイレ以外の場所で排泄してしまったときは、すぐにお掃除をしましょう。粗相をした場所にニオイが残っていると、また同じ場所で排泄してしまう可能性があります。ペット用消臭剤などを使って、しっかりとニオイを取り除くことが大切です。
また、ネコちゃんは自分が好きな場所に排泄をしたくないという傾向があります。トイレ以外の場所をトイレとして認識してしまわないように、ニオイを取り除くだけでなく、ネコちゃんが好きな匂い(猫フェイシャルフェロモンのスプレーなど)をかけるのもひとつの方法です。
成猫や外猫、元野良猫を迎えた場合も、トイレを覚えてもらうことはできます。子猫より時間がかかることも多いですが、焦らず根気よく続けることが大切です。
トイレを静かな場所に設置することや、排泄のサインが出たらトイレに連れて行くことは、子猫の場合と同じです。ただ、外猫や元野良猫は、外に出て排泄したがるかもしれません。そのようなときはトイレをケージで囲み、周りから隔離してあげると、少しずつ屋内での排泄に慣れてくれるでしょう。
また、外で排泄していたネコちゃんの場合、猫砂の感触に違和感があり、トイレだと認識できないこともあります。そうした場合は、トイレにネコちゃんの排泄物のニオイをつけて「ここがトイレだよ」と教えてあげてください。続けることで、次第にトイレを認識してくれるようになります。
ネコちゃんがなかなかトイレを覚えてくれないときは、次のポイントをチェックしてみましょう。焦らずに原因を考え、対応していくことが大切です。
トイレの置き場所が騒がしくてネコちゃんが落ち着かない可能性があります。安心して排泄できる設置場所を探してみましょう。
トイレのサイズは、ネコちゃんの体長の1.5倍以上が適切だといわれています。使っているトイレが小さすぎないかチェックしましょう。
また、多頭飼いの場合は、トイレを最低でも1頭に1つずつ、できればネコちゃんの頭数+1個設置するのが理想です。ほかのネコちゃんの排泄物のニオイがあると、トイレを我慢してしまうこともあります。
ネコちゃんはキレイ好きなので、ネコちゃんの排泄物はこまめに片付けましょう。月に1~2回程度はトイレ本体を洗って清潔に保ち、猫砂もすべて新しいものに入れ替えてください。
猫砂は素材の種類によって感触やニオイが異なります。粒の大きさもいくつかあるので、何種類か試して、ネコちゃんの好みに合うものを探してみましょう。
キレイ好きなネコちゃんは、いつも清潔なトイレを用意してあげれば、トイレのしつけは比較的簡単に行うことができます。それでもなかなかトイレを覚えられない場合は、トイレの大きさや設置場所、猫砂などに不満があるのかもしれません。
そんなときは、ネコちゃんの様子を観察しながら、トイレ環境を見直してみましょう。
大王製紙の「キミおもい」のネコちゃんシリーズは、ネコちゃんとの暮らしがもっと幸せになることを目指したペット用品ブランドです。機能別に素材を選べる猫砂や、各社システムトイレ本体に使えるシステムトイレ用シート、トイレ周りのお掃除や粗相してしまったときの汚れ・ニオイをさっと拭き取れるおそうじシートなど、トイレトレーニングをよりスムーズに、快適にするラインナップがそろいました。
「キミおもい」のネコちゃん用シリーズについては、下記のページをご覧ください。
キミおもい Cat -ネコちゃん-
ネコちゃんが安心して排泄できるよう、落ち着いた場所にトイレを設置し、排泄のサインが出たら、トイレに連れて行ってあげることを繰り返します。
上手にできたら、うんとほめてあげること。失敗しても、決して叱ってはいけません。トイレ以外の場所で粗相をしたら、しっかりニオイを取り除くことも重要です。
成猫や元野良猫を迎えた場合も、トイレを覚えてもらうことはできます。
外で排泄しようとして家から出たがるときは、トイレをケージで囲ってまわりから隔離してあげてください。また、トイレにネコちゃんの排泄物のニオイをつけて、「ここがトイレだよ」と教えてあげるようにしましょう。
落ち着かない環境や不潔なトイレ、使いにくいトイレにネコちゃんが不満を感じている可能性があります。まずトイレの設置場所や大きさ、設置する数を見直し、排泄物をこまめにお掃除して、清潔に保ってあげましょう。また、猫砂が好みではない可能性もあるので、ネコちゃんに合うものを探してみるのもおすすめです。
画像提供/PIXTA
監修者のご紹介
松田 唯さん
埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)を開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬についてわかりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解してオーナーさんが選択できる診療を心掛けるようにしている。
ガイア動物病院