記事公開:2024.9.6
赤ちゃんは大人よりも体温が高めであり、発汗などによる体温調節機能が未熟なため些細な原因で発熱することがあります。中には、風邪やインフルエンザなどの感染症が原因のこともありますが、厚着や暑いところにいるなど環境的な要因によって発熱が起きることも少なくありません。
ここでは、赤ちゃんの発熱についての基礎知識、発熱時の注意すべき症状、自宅での対処法などを詳しく解説します。
赤ちゃんは大人よりも普段から体温が高く、36.5~37.5度くらいまでは平熱ととらえます。これは、赤ちゃんは体重当たりの摂取カロリーが大人よりも多いため、体内で活発にエネルギーが作られているためと考えられています。
大人であれば、37.5度にもなると発熱と倦怠感や寒気などの症状が見られるようになります。一方赤ちゃんは、37.5度になっても機嫌がよく食欲もあることがほとんどです。
しかし、大人と同様に赤ちゃんの平熱には個人差があります。熱は体調を示すバロメーターです。ちょっとした変化に素早く気づくためにも、日ごろから体温を測る習慣をつけ、平熱の状態を把握しておくとよいでしょう。また、体温は一日の中でも変化しますので、朝・夕の平熱を把握することが大切です。
胸や背中を毎日手で触っていると、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。
赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため、暑い環境に晒されると熱が体にこもって発熱することがあります。このような場合は、服装を調節したり、体を冷やしたりすることで体温は低下していきます。
しかし、免疫力の弱い赤ちゃんはさまざまな感染症にかかるリスクがあり、それが発熱の原因になっていることも少なくありません。体温が平熱より高く、咳や鼻水、下痢、嘔吐などの症状が見られる場合には、病院を受診する必要があります。
また、赤ちゃんは感染症にかかると瞬く間に重症化することがあります。発熱や嘔吐・下痢などが続くことで容易に脱水状態に陥ることもあります。このような場合には、早急に適切な治療を行わないと、軽度の上気道炎や胃腸炎と考えていても重症肺炎や髄膜炎、脳炎、腎不全などを引き起こすことがありますので注意が必要です。
以下のような症状が見られる場合には、休日・夜間を問わず速やかに救急外来を受診しましょう。
赤ちゃんの発熱が続いたり、急激に様子が変化したりという場合にはなるべく早く病院を受診する必要があります。
その際には、母子手帳やお薬手帳を持参しましょう。母子手帳には、予防接種歴や発育状態などが細かに記載されていますので、診療の手掛かりになることがあります。また、お薬手帳も、これまで風邪などによってどのような症状が出たかを知る手掛かりになります。
さらに、医師の診察時には、以下のことをしっかり伝えることが大切です。
赤ちゃんは何の前触れもなく突然高熱を出すこともありますので、慌てないよう普段から病院受診に必要なものをまとめておくと安心ですね。
赤ちゃんが発熱した場合は、なるべく早く病院に連れていくことが望ましいですが、ぐったりした様子もなく水分もしっかり摂れている場合には夜間や休日は自宅で様子をみることも多いでしょう。
自宅では、以下の点に注意しながら様子をみるようにしましょう。
赤ちゃんでも使える解熱剤はドラッグストアや薬局などでも購入することができます。しかし、解熱剤をむやみに使用するのはよくありません。発熱の程度に関わらず、ぐずって眠らない、高熱でぼんやりしているなどの症状がない限り使用するのは控えた方がよいと考えられています。
赤ちゃんは水分保持能力が低いため、発熱や嘔吐・下痢などによって容易に脱水状態になりえます。脱水を防ぐためにも、発熱時には電解質が含まれた水分を、少量ずつ数回に分けてに摂らせるようにしましょう。
母乳やミルクしか飲めない月齢の場合には、欲しがるだけ授乳をしてください。おしっこの回数や色に注意して脱水になっていないかチェックしましょう。
発熱時には首や脇、背中などに汗をかきやすくなります。赤ちゃんは汗腺の働きが未熟なため、多量の汗をかくと汗疹ができてしまうことがあります。こまめに汗を拭きとり濡れた肌着などを着替えさせましょう。
体を冷やすことで発熱を抑えることができる場合もあります。しかし、単に氷枕などで体の表面を冷やすのみでは効果はありません。首や足の付け根、脇など太い血管が通っている付近を氷枕などで冷やして、体内にこもった全身の熱を冷ますようにしましょう。
赤ちゃんは体調が急激に変化しやすく、つい先ほどまでは元気で機嫌もよかったのに突然けいれんを起こすようなこともあります。自宅で様子をみる際には、赤ちゃんの表情や顔色、おしっこの状態などを注意深く観察し、何らかの変化が見られた場合は速やかに病院を受診することが大切です。
監修者のご紹介
山中 岳先生
東京医科大学小児科 准教授。子供の心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医と数多くの認定資格を所持。東京医科大学講師として、次世代の医師の育成にも力を入れている。
赤ちゃんは体温が高く、36.5~37.5℃くらいまでは平熱といえます。これは、赤ちゃんは体重あたりの摂取カロリーが大人よりも多いため、体内で活発にエネルギーが作られているためです。
しかし、大人と同様に赤ちゃんの平熱には個人差があります。ちょっとした変化に素早く気づくためにも、日ごろから体温を測る習慣をつけ、平熱の状態を把握しておくといいでしょう。また、体温は一日の中でも変化しますので、朝・夕の平熱を把握することが大切です。
赤ちゃんの体温が平熱より高く、咳や鼻水、下痢、嘔吐などの症状が見られる場合には、病院を受診する必要があります。早急に適切な治療を行わないと、重症化するおそれもあるので注意しましょう。
また、下記のような状況では、休日・夜間を問わず速やかに救急外来を受診してください。
・生後3か月未満の発熱
・咳や痰がひどく、呼吸が苦しそうである
・目が落ちくぼみ、寝た状態でも大泉門(赤ちゃんの頭頂部にあるひし形の骨の隙間)が陥没している
・下痢や嘔吐が続き、ぐったりしている
・水分がとれない
・おしっこの回数が減り、おしっこの色が濃い
・ぐったりして呼びかけに応じない
・けいれんがある
赤ちゃんの発熱が続いたり、急激に様子が変化したりした場合は、なるべく早く病院を受診する必要があります。その際は、母子手帳とお薬手帳を持って行ってください。さらに、医師の診察時には、下記のことをしっかり伝えることが大切です。
・いつから熱が出ているのか
・何℃まで熱が上がったか
・発熱以外の症状はあるか
・家庭や保育園などで風邪やインフルエンザなどが流行っているか
・十分な水分摂取が可能で、おしっこがしっかり出ているか
・嘔吐や下痢の回数(便の色など)
画像提供/PIXTA
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