記事公開:2024.12.23
赤ちゃんの成長過程で、「モロー反射」という反応が見られます。これは、生まれつき備えている反射的な運動で、突然の音や動きに、驚いたように両手を広げる姿はとてもかわいらしいものです。
一方で、大きな動きに自分でびっくりして泣いてしまったり、眠りそうだったのに目を覚ましてしまったりと、モロー反射に悩んでいるママ・パパもいるでしょう。
本記事では、モロー反射が激しいときの対処法のほか、モロー反射によく似た疾患や発達障害との関係などを解説。また、先輩ママ・パパに聞いた、モロー反射に関するアンケート調査の結果もご紹介します。子育ての不安を解消し、赤ちゃんのすこやかな成長を見守るため、ぜひ参考にしてください。
モロー反射は、赤ちゃんが生まれたときから備えている反射的な運動(原始反射)のひとつ。赤ちゃんが音や光、姿勢の変化といった刺激を受けたとき、びっくりしたように両手を広げてから、しがみつくように手足を縮める動作のことをモロー反射といいます。
モロー反射が適切に見られることは、赤ちゃんの中枢神経系が正常に発達していることを示す、重要な指標とされています。
なお、モロー反射は新生児期から見られ、生後4~6ヵ月頃までに徐々に消失していくのが一般的。モロー反射が消えていく過程で、赤ちゃんは徐々に自分の体をコントロールする能力を獲得していくのです。
新生児期にはモロー反射以外にも、さまざまな原始反射が見られます。原始反射は、赤ちゃんの生存と運動発達に欠かせないもので、脳と神経系の発達段階を示す重要な指標です。モロー反射以外の代表的な原始反射には、下記のようなものがあります。
自動歩行(原始歩行様運動、自立歩行反射)は、赤ちゃんの両脇を支えて立たせ、足の裏を地面につけると、歩くような動作をする原始反射です。この原始反射は、生後2ヵ月頃までに見られます。
非対称性緊張性頸反射(ATNR)は、赤ちゃんの頭を左右どちらかに向けると、そちら側の腕と脚が伸びて、反対側の腕と脚が曲がる原始反射です。この原始反射は、生後3~4ヵ月頃まで見られます。
把握反射は、赤ちゃんの手のひらや足の指に触れたときに、ぎゅっと握りしめる原始反射です。この原始反射は、生後4~6ヵ月頃まで見られます。
哺乳反射は、赤ちゃんが母乳を飲むことに関する一連の原始反射です。頬や口の周りに触れると、その方向に顔を向ける探索反射、唇に触れると口を開けて触れたものを咥える捕捉反射、口にくわえたものを吸う吸啜(きゅうてつ)反射、口の中に入ってきた母乳を飲み込む嚥下(えんげ)反射からなります。哺乳反射は通常、生後5~7ヵ月頃まで見られます。
バビンスキー反射は、赤ちゃんの足の裏の小指側をこすったとき、足の指が扇を広げるように開く原始反射です。この原始反射は通常、1~2歳頃まで見られます。
モロー反射を含む原始反射は、赤ちゃんの発達段階を示す重要な指標です。しかし、動きの強さや消えるタイミングには、個人差があります。
そこで、クラブエリエールの先輩ママ・パパに、モロー反射に関するアンケート調査を実施しました。
※コメントは一部抜粋しています
【調査概要】
調査対象:クラブエリエール会員の20~70代男女
調査期間:2024年9月25日~9月30日
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:1,017件
初めに、「赤ちゃんにモロー反射は見られましたか?」と聞いたところ、「はい」と回答した人は886人という結果に。9割近い赤ちゃんに、モロー反射があったことがわかりました。
■赤ちゃんにモロー反射は見られましたか?
モロー反射の消えるタイミングには個人差があります。そこで、赤ちゃんにモロー反射があったという方に、「モロー反射はいつ頃まで見られましたか」と聞いたところ、最も多かったのは「生後3ヵ月頃まで」という回答でした。
なお、約5%の赤ちゃんでに「生後半年以降」もモロー反射が見られたことがわかります。
■モロー反射はいつ頃まで見られましたか?
モロー反射はかわいいものですが、動きの激しい赤ちゃんの場合、寝かしつけに苦労したり、動きで目を覚ましたりしてしまうことがあります。
そこで、「モロー反射が激しいときにとった対策」について聞いてみました。すると、「大きな音を立てないようにした」「おくるみやスワドルで包んだ」といった意見が多く見られました。
なお、「その他」の意見として最も多かったのは、「特に何もしていない」というもの。その理由として、「モロー反射が激しいときがなかった」という人が多かったのですが、中には「何をやっても効果がなかった」という人も。
そのほか、「手を握った」「赤ちゃんにそっとおおいかぶさるようにした」「足の下にクッションやタオルを敷いて足を浮かせた」といった対策をとっていることがわかりました。
■モロー反射が激しいときにとった対策(複数回答)
モロー反射が激しい赤ちゃんへの対処法は、外部からの刺激を減らすことと、赤ちゃんに安心感を与えて落ち着かせることがポイントです。
ここでは、モロー反射の頻度や強さを軽減するために、ママ・パパができる対処法をご紹介します。
モロー反射を軽減するには、まず赤ちゃんを取り巻く環境を整えることが重要です。突然の刺激がモロー反射を誘発する主な要因となるため、静かで落ち着いた環境を作ることが効果的。そこで、刺激となりやすい光、風、音の3つの要素に注意しましょう。
まず、部屋の照明をやわらかくするため、カーテンやブラインドを使って外からの光を調節します。また、部屋の温度や湿度を適切に保ち、エアコンや扇風機の風が直接赤ちゃんにあたらないよう、配慮してください。
家族や来客者の話し声、テレビの音量などにも注意し、静かな環境を維持することも大切。赤ちゃんの寝かしつけに効果があるとされる「ホワイトノイズマシン」で、ザーッという雑音(ノイズ)を発生させるのも効果的です。
赤ちゃんを、おくるみやスワドルで包むことは、モロー反射が激しい赤ちゃんの反応を抑え、落ち着かせるために効果的といえます。なお、おくるみを使用する際は、赤ちゃんの体温調節に配慮し、季節に合わせた適切な素材のものを使用するのが重要です。
さらに、赤ちゃんをきつく包んでしまうと、トラブルの原因となることもあります。赤ちゃんの激しい動きを制限しつつ、ゆったりと無理のないように巻いてあげましょう。
また、赤ちゃんが寝返りを始める頃には、安全のため使用を中止してください。
赤ちゃんのおくるみの巻き方については、下記のページをご覧ください。
おくるみの巻き方 場面・月齢に合ったおすすめ巻きと注意点を紹介
赤ちゃんのモロー反射を軽減するには、適切な抱き方も重要です。赤ちゃんの体勢変化を最小限に抑えることで、モロー反射の発生を減らすことができます。
赤ちゃんを抱く際は、頭の位置が急に変わらないように注意しましょう。頭部の急な動きはモロー反射を誘発する主な要因となります。赤ちゃんの頭が後ろに傾いたときにモロー反射が起こりやすいため、頭の位置が下がらないように注意してください。
また、寝かせるときは、急に体の向きを変えることは避け、赤ちゃんを抱き寄せたまま、頭から体までなるべく水平を保ち、ゆっくりと丁寧に寝具に下ろします。
モロー反射は、正常な赤ちゃんの発達過程で見られる現象ですが、一部の疾患はモロー反射によく似た症状を示すことがあります。モロー反射とよく似ている疾患として代表的なものが、「点頭てんかん(West症候群)」です。
点頭てんかんは、乳児期に発症するてんかん症候群で、赤ちゃんがうなずくように頭を前に倒す動き(点頭発作)や両腕を広げるような動き(サラーム発作)が、モロー反射のように見えることがあります。
点頭てんかんは、主に生後3~11ヵ月の乳児期に発症することが多いとされています。モロー反射は通常、生後4~6ヵ月頃までに徐々に消失していきますが、その後もモロー反射のような動きが頻繁に見られる場合は注意が必要。
モロー反射と点頭てんかんの症状を見分けるのは難しいため、少しでも不安に思ったときは、すぐ小児科医に相談しましょう。
モロー反射が激しいと、「うちの子、発達障害なのかな?」と心配になるママ・パパもいるようです。モロー反射と発達障害に、直接的な因果関係はありません。ですが、生後4~6ヵ月とされる消失時期を大きく超えてモロー反射が持続する場合、脳や神経系の発達に何らかの問題がある可能性も考えられます。
なお、モロー反射が長く続いているからといって、必ずしも発達障害があるわけではありません。赤ちゃんの発達には個人差があり、反射の消失時期にも幅があります。
モロー反射が続くことが気になる場合は、小児科医に相談してください。小児科医はモロー反射だけでなく、赤ちゃんの全体的な発達状況を確認し、総合的な評価をもとに診断をします。不安を解消し、赤ちゃんのすこやかな成長を見守るためにも、小児科の受診をおすすめします。
監修者のご紹介
竹中 美恵子先生(小児科・内科・皮膚科・アレルギー科)
難病指定医、小児慢性特定疾患指定医、子どもの心相談医、高濃度ビタミンC点滴療法認定医、キレーション認定医。小児科医としての臨床を積みながら皮膚科や内科を学び、家族全員を1つの病院で診られるワンストップの病院を目指して姉妹で開業する。
女医によるファミリークリニック
モロー反射は、生まれてすぐの赤ちゃんから見られる原始反射です。外部からのちょっとした刺激で起こりやすいため、新生児の赤ちゃんには、刺激が少なく安心感を与える環境を整えてあげることが重要といえるでしょう。新生児の敏感な肌のことを考えた、やさしい「グーン」シリーズをご活用ください。
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「グーンプラス 敏感肌にやわらかタッチ 新生児用」については、下記のページをご覧ください。
グーンプラス 敏感肌にやわらかタッチ 新生児用
「グーン 肌にやさしいおしりふき」は、不純物を取り除いた純水を、99%使用したおしりふきです。たっぷりの水分で、こびりついたうんちも洗い流すようにやさしく拭き取れます。ノンアルコール、パラベンフリー、無香料で、生まれたその日から赤ちゃんに使用できます。
「グーン 肌にやさしいおしりふき」については、下記のページをご覧ください。
グーン 肌にやさしいおしりふき
モロー反射は、新生児から生後4~6ヵ月頃まで見られる原始反射です。モロー反射が激しい場合は、赤ちゃんを取り巻く環境を整え、おくるみを活用したり、抱き方を工夫したりすることで、頻度や強さを軽減できます。
また、モロー反射が長く続くときや、赤ちゃんの様子が心配なときは、すぐに小児科を受診しましょう。専門家に相談することで不安を解消し、赤ちゃんのすこやかな成長を見守ってください。
モロー反射とは、新生児から乳児期に見られる反射的な運動(原始反射)のひとつです。音や光、姿勢の変化といった刺激を受けた赤ちゃんが、びっくりしたように両手を広げて、しがみつくように手足を縮める動作をします。モロー反射が適切に見られることは、赤ちゃんの中枢神経系が正常に発達していることを示す、重要な指標とされています。
モロー反射が激しい場合の対処法としては、まず赤ちゃんを取り巻く環境を整えることが重要です。突然の刺激がモロー反射を誘発する主な要因となるため、光、風、音の3つの要素に注意し、静かで落ち着いた環境を作りましょう。
また、赤ちゃんをおくるみやスワドルで包むことで、モロー反射の激しい反応を抑え、落ち着かせる効果が期待できます。そのほか、赤ちゃんの体勢変化を最小限に抑えることで、モロー反射の発生を減らすことが可能です。
モロー反射と発達障害に、直接的な因果関係はありません。ですが、生後4~6ヵ月とされる消失時期を大きく超えてモロー反射が持続する場合、脳や神経系の発達に何らかの問題がある可能性も考えられます。
なお、モロー反射が長く続いているからといって、必ずしも発達障害があるというわけではありません。赤ちゃんの発達には個人差があり、反射の消失時期にも幅があります。モロー反射が続くことが気になる場合は、小児科医に相談してください。
画像提供/PIXTA