記事公開:2024.11.26
産後に気分が沈みがちになったり、理由もなく涙が出たりする「マタニティブルー」。多くのママが経験する可能性があるといわれており、「どのように対処すればいいのだろう?」と悩む人もいるかもしれません。
マタニティブルーはどんな時期になりやすいのか、いつまで続くのかが事前にわかっていると、対処しやすいといえるでしょう。
この記事では、マタニティブルーの主な症状や、いつからいつまで続くのかという期間の目安のほか、セルフチェックリストと対処法などについて解説します。
マタニティブルーとは、産後の女性の心身が一時的に不安定になる状態のことで、医学的には「マタニティブルーズ」と呼ばれます。ただし、妊娠中に不安や気分の浮き沈みを感じる女性も多く、一般的には妊娠中の不安定な状態もマタニティブルーとして認識されているため、この記事では妊娠中の不安定な状態も含めて、マタニティブルーとして解説します。
マタニティブルーの原因はまだ解明されていません。しかし、女性ホルモンの大きな変動や、育児に対するプレッシャー、出産による疲労、睡眠不足などが重なって引き起こされることが多いと考えられています。
マタニティブルーの症状には個人差がありますが、基本的にはメンタルが不安定になったり、身体的な不調が現れたりします。一般的なマタニティブルーの症状としては、下記のようなものがあります。
<マタニティブルーのメンタル面の症状>
・気分が沈みがちになる
・理由もなく泣きたくなったり、涙が出たりする
・情緒が不安定になり、自己嫌悪に陥る
・強い恐怖心や不安を感じる
・焦ったり、イライラしたりする
・集中力が低下したり、やる気が出なかったりする
<マタニティブルーの身体面の症状>
・眠れなくなる
・体が重く感じ、疲れやすくなる
・頭痛がする
・急な動悸や息切れが起こる
・食欲がなくなる、もしくは食べすぎてしまう
マタニティブルーは、妊娠中や産後に疲労が溜まっていたり、睡眠が多くとれていなかったりする時期に発症しがちです。ここからは、マタニティブルーがいつから始まり、いつまで続くのか解説します。
マタニティブルーは、産後数日から2週間程で症状が出始めます。出産直後は気持ちが高ぶっており、赤ちゃんのお世話など目の前のことに集中できますが、数日から2週間程経って気持ちが落ち着いてくると、マタニティブルーの症状が出やすくなります。
ただし、人によっては産後しばらく経ってから症状が出る場合もあるため、産後1年間はマタニティブルーになりやすい時期と考えておくといいでしょう。
一方、妊娠中も妊娠初期から中期にかけて、ホルモンバランスの変化によって心身が不安定になりやすく、マタニティブルーに似た症状が出ることもあります。つわりで思うように食べられなかったり、出産や将来への不安を感じたりすることが、主な原因と考えられています。
マタニティブルーの多くは一過性で、通常10日程で改善します。ただし、症状の重さや期間には個人差があり、3~4日で改善する人もいれば、2~3週間続く人もいます。それ以上続く場合は、産後うつなどに移行する可能性もあるため、注意が必要です。
妊娠中の不安定な時期も個人差がありますが、10日程で改善することがほとんどでしょう。
マタニティブルーは、産後30~50%以上のママがなるといわれており、誰でもなる可能性があります。特になりやすいとされている人の特徴は、下記のとおりです。
<マタニティブルーになりやすい人の主な特徴>
・妊娠前にPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)があった
・悩みを誰かに相談するのが苦手
・責任感が強い、真面目
マタニティブルーは、女性ホルモンも要因のひとつとされています。特に、妊娠前にPMSやPMDDなどの生理に関するトラブルがあった人は、女性ホルモンの変化に敏感でマタニティブルーになりやすいと考えられるため、注意が必要です。
また、悩みを誰かに相談するのが苦手な人や責任感が強い人、真面目な人は、一人で悩みを抱えやすいため、マタニティブルーになりやすいといわれています。
慣れない育児へのプレッシャーや将来への不安を感じるのは、パパも同じです。近年は、パパの積極的な育児参加が増えていることもあり、マタニティブルーに似た「パタニティブルー」と呼ばれる症状が出る傾向も高くなっています。
ママの場合は、家族や医療従事者などに悩みを相談する機会が多くありますが、パパの場合はまわりに打ち明ける機会が少なく、気持ちが不安定になってしまうこともあります。
マタニティブルーはどれくらいのママが経験し、どのような方法で乗り越えたのでしょうか。また、パタニティブルーを経験したパパはどの程度いるのか、気になる人もいるかもしれません。
そこで、クラブエリエール会員の先輩ママに、マタニティブルーとパタニティブルーについて聞いてみました。
【調査概要】
調査対象:家族に3ヵ月~未就学のお子さまがいるクラブエリエール会員の20~70代女性
調査期間:2024年8月26日~9月1日
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:287件
クラブエリエール会員の先輩ママに妊娠中、もしくは産後にマタニティブルーのような症状になったことがあるかを伺ったところ、72.5%が「はい」と回答しました。ママたちの4人のうち3人近くが、マタニティブルーを経験したことになります。
続いて、マタニティブルーになった経験があると回答した先輩ママに、マタニティブルーの症状が出た時期を伺ったところ、産後0ヵ月が63.0%と最も多い結果となりました。
妊娠中では、妊娠後期が36.1%と最も多く、出産前後に不安が増大していたことがうかがえます。
次に、パパがパタニティブルーになったことがあるかを伺ったところ、10.6%の人が「はい」と回答しました。マタニティブルーほど多くはないものの、1割のパパがパタニティブルーを経験しているという結果となりました。
「マタニティブルーかもしれない」と思っても、確信が持てない人は多いかもしれません。「いつもの自分とは違う」と少しでも感じた場合は、セルフチェックをしてみましょう。
下記の項目にあてはまるものが多ければ、マタニティブルーの可能性があります。
<マタニティブルーのセルフチェックリスト>
・強い不安や絶望を感じる
・急に機嫌が悪くなり、自分で気持ちをコントロールできない
・ふとしたときに悲しくなって泣いてしまう
・育児に自信が持てず、妊娠前に戻りたいと感じる
・休んでも体の疲れが抜けない
・頭痛や不眠の症状がある
マタニティブルーになったときは、「休息を取る」「不安なことを誰かに相談する」といった対処法を行うのが一般的です。実際にマタニティブルーになった先輩ママたちに対処法を伺ったところ、下記のような結果になりました。
最も多かった回答は「体を休めるようにした」で、半数以上となる51.4%に上りました。続いて「夫に相談した」が33.2%、「気分転換に外出をした」が29.3%となっています。
ここからは、マタニティブルーになっている可能性が高いと感じたときの対処法を、詳しくご紹介します。
マタニティブルーは、睡眠不足が原因でなることもあるため、心が不安定になっていると感じたら、しっかり休息を取ることが大切です。パートナーなど家族に赤ちゃんを任せて睡眠を取ることが最善ですが、難しい場合は赤ちゃんが寝ているあいだだけでも、休むように心掛けましょう。
マタニティブルーになったときは、不安に思っていることを誰かに話すことが大切です。パートナーやそのほかの家族、友人、医師、保健師など、相談しやすい人に不安を打ち明けることで、心が軽くなるでしょう。
マタニティブルーのときは、散歩やストレッチといった体の負担にならない程度の軽い運動をしてみるのもいいでしょう。体を動かしたり、外の空気に触れたりすることは気分転換になり、ストレスの解消にもつながります。
マタニティブルーになると、「なぜ自分だけできないのか」「なぜこんなに落ち込むのか」などと、自分を責めることが多くなります。しかし、自分が悪いのではなく、ホルモンバランスの影響や、育児に伴う疲れが原因であることを理解すれば、心が軽くなるでしょう。
マタニティブルーになったとしても、自分を責めたり、他人と比べたりしないことが大切です。
マタニティブルーが長引くと、妊娠中なら「産前うつ」、産後なら「産後うつ」に移行することがあります。マタニティブルーの多くは一時的な精神の不調で、通常は数日から数週間で自然に治るため、治療を必要としません。しかし、産前うつや産後うつは、専門的な治療が必要な精神疾患です。
特に産後うつは、産後3ヵ月以内に10%程のママが発症するといわれています。マタニティブルーになった人は、産後うつ発症のリスクが高まると考えられており、重度になると心療内科や精神科の受診が必要になる場合があります。
マタニティブルーが長引いたり、症状が深刻になったりする場合は、産前うつや産後うつに移行する可能性があるため、早めに産婦人科か心療内科、精神科、自治体の保健センターなどに相談しましょう。
監修者のご紹介
佐藤杏月先生
八丁堀さとうクリニック副院長 医学博士 日本産婦人科学会専門医
日本医科大学卒。日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。3人の子どもの子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医のご主人と共に2020年八丁堀さとうクリニックを開業。
八丁堀さとうクリニック
産後、多くのママが経験しているマタニティブルー。一時的な精神の不調とはいえ、赤ちゃんのお世話がとてもつらく感じることがあるかもしれません。そんなときは、赤ちゃんが快適に過ごせるようなアイテムを取り入れて、育児の負担を少しでもやわらげることを考えてみてください。
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「グーンプラス 敏感肌にやわらかタッチ 新生児用」については、下記のページをご覧ください。
グーンプラス 敏感肌にやわらかタッチ 新生児用
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「グーン 肌にやさしいおしりふき」については、下記のページをご覧ください。
グーン 肌にやさしいおしりふき
妊娠中や産後は、将来の不安やホルモンの変化により、心が不安定になりがちです。「マタニティブルーかな?」と思うことがあったら、まわりに相談したり、気分転換をしたりすることで、改善しやすくなります。心の不安定な時期が続く場合は、産婦人科の医師などに相談してみてください。
自分の気持ちを大切にし、周囲のサポートを受けながら、無理をしない生活を心掛けていきましょう。
マタニティブルーは、医学的には「マタニティブルーズ」といい、産後の女性が一時的に心身の状態が不安定になる症状のことです。マタニティブルーの原因はいまだ解明されていませんが、出産前後の女性ホルモンの大きな変動が主な要因とされています。
また、妊娠中に不安や気分の浮き沈みを感じる女性も多く、一般的には妊娠中の不安定な状態もマタニティブルーとして認識されています。
マタニティブルーの多くは、産後数日から2週間程に症状が出始め、10日程で回復します。ただし、症状の重さや期間には個人差があり、早ければ3~4日で改善する人もいれば、2~3週間続く人もいます。もし、3週間以上続く場合は、産後うつなどに移行する可能性もあるため、注意が必要です。
また、妊娠中も妊娠初期から中期にかけて、ホルモンバランスの変化によって心身が不安定になりやすく、マタニティブルーに似た症状となることもありますが、10日程で改善することがほとんどです。
マタニティブルーになったときは、「休息を取る」「不安なことを誰かに相談する」「軽い運動をする」「自分を責めない」といった対処法を試してみるといいでしょう。大王製紙が実際にマタニティブルーになった先輩ママたちに対処法を伺ったところ、最も多かった回答は「体を休めるようにした(51.4%)」、続いて「夫に相談した(33.2%)」「気分転換に外出をした(29.3%)」となりました。
画像提供/PIXTA