記事公開:2025.2.20
生理前から生理中にかけて食欲が増加し、つい食べすぎてしまうことに悩む女性は少なくありません。生理前からの食欲増進は何が原因なのか、過食を防ぐ方法はないのか、気になる人も多いでしょう。
この記事では、婦人科医監修のもと、生理前から生理中に食欲が止まらない原因や、食欲をコントロールする方法のほか、控えたほうがいい食べ物などについて詳しくご紹介します。
生理前や生理中になると、どのくらいの女性が食欲の変化を感じるのでしょうか。クラブエリエール会員の女性を対象に、生理前と生理中の食欲についてアンケートを行い、調べてみました。
【調査概要】
調査対象:クラブエリエール会員の20代以上の女性
調査期間:2025年1月8日~1月14日
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:1,431件
■生理前や生理中に食欲が増す、あるいは減るなどの変化はありますか?
クラブエリエール会員の女性に生理前や生理中の食欲の変化を伺ったところ、生理前は50.5%が「食欲が増す」と回答しました。一方、生理中に「食欲が増す」と答えたのは20.5%にとどまり、代わりに「いつもと変わらない」と回答した人が63.1%と、生理前より増加しています。また、生理中は「食欲がなくなる」と回答した人が、生理前よりも増加しました。
この結果から、半数以上の女性が生理前に食欲が増すことを実感している一方で、生理中はいつもと変わらないと感じる人が6割以上に上ることがわかります。
■生理前や生理中に食欲が増した際、我慢するかしないか、どちらが多いですか?
次に、生理前や生理中に「食欲が増す」と答えた女性に、増した食欲を我慢するかを伺いました。その結果、生理前は89.3%、生理中は85.7%が「我慢せずに食べることが多い」と回答しました。
どちらの時期も、8~9割近くの女性が食欲を我慢せず、そのまま食べる傾向があることがわかります。
生理前や生理中に食欲が増す原因は、女性ホルモンの変動が深く影響しています。女性ホルモンには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、これらのバランスは生理周期に応じて変化します。この変動が、女性の心身に影響を与え、食欲のコントロールを難しくするのです。
■生理周期に伴う食欲の変動
生理前に食欲が増す原因は、エストロゲンが減少し、プロゲステロンが増加することで起こるホルモンバランスの変化です。
エストロゲンには、過剰な食欲を抑える作用があるため、分泌量が減ると自然に食欲が増します。一方、プロゲステロンには、妊娠に備えて脂肪や栄養を蓄える働きがあり、分泌量が増えると食欲が高まります。これが、生理前に食欲が増す主な原因です。
また、プロゲステロンにはイライラを引き起こす作用もあり、生理前はいつも以上に自己嫌悪に陥りやすくなります。そのため、過食により自己嫌悪に陥り、ストレスを感じやすくなるという悪循環を招くことも少なくありません。
生理中は、エストロゲンの分泌が最も低下する時期です。エストロゲンには、過食を抑制する作用があるため、分泌量が減ると食欲が増し、暴飲暴食につながりやすくなります。
さらに、エストロゲンは、精神の安定にも深く関わっており、分泌量が低下すると「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌も減少します。このセロトニンの低下が、心の不安定さを引き起こし、気分が良くなる食べ物を求めてしまうのです。
そのため、普段は控えるような高カロリー食品や炭水化物に、手が伸びてしまうことも少なくありません。
また、生理に伴うストレスも、食欲増進の原因になると考えられています。ストレスがかかると自律神経が乱れ、ホルモンバランスが崩れて食欲のコントロールが難しくなるため、生理中はストレスによる暴飲暴食が起こりやすくなります。
生理前や生理中の食欲は、ホルモンバランスによる自然な現象です。我慢しすぎるとストレスのもととなり、さらに食欲が加速してしまう可能性もあります。
下記で紹介するポイントを参考に、過食を防ぎつつ、上手に食欲をコントロールしましょう。
生理前や生理中の過剰な食欲を抑えるためには、食欲が増しやすい時期を把握することが大切です。一般的に、排卵後から生理直前の黄体期はエストロゲンの量が低下し、食欲が増しやすい時期といわれています。この時期を把握することで、事前の対策を立てやすくなるでしょう。
生理前や生理中の過剰な食欲を抑えるには、1日3食バランス良く食事をとることが大切です。ただし、空腹時間が長くなると、甘いものが食べたくなったり、過剰に食べてしまったりするため、適度に間食をとり入れるのもおすすめです。
間食には、ヨーグルトやチーズ、ゆで卵、ナッツ類など、たんぱく質や良質な脂質を含む食品を選ぶといいでしょう。
食事をよく噛んで、ゆっくり食べることも、過剰な食欲を抑えることにつながります。よく噛んでゆっくり食べると満腹感を得やすくなり、食べすぎを防ぐことができるでしょう。
例えば、根菜など噛み応えのある食材を取り入れたり、具材を大きめにしたりして、噛む回数を増やす工夫をしてみるのも効果的です。
生理前・生理中にいくら食べても満足できない場合は、体に必要な栄養素が不足している可能性があります。生理中に不足しがちな鉄やカルシウムなどのミネラルを中心に、ビタミン、たんぱく質、食物繊維などを意識した食事をするといいでしょう。
生理前や生理中に、どうしても甘いものが食べたくなったら、砂糖を多く含む甘いお菓子ではなく、甘みのある野菜や果物を選びましょう。
野菜ならさつまいもやかぼちゃ、果物ならバナナやみかんなどがおすすめです。これらは食物繊維も豊富で満腹感が得られるため、食べすぎの防止にも役立ちます。
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動も、生理前や生理中の食欲の抑制に有効です。
適度な運動は、暴飲暴食を引き起こすストレスの軽減にもなるほか、食べすぎた分のエネルギー消費にもなります。
生理前や生理中は、女性ホルモンのバランスの変化により、寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったりするため、睡眠不足になりがちです。
睡眠不足は、食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌を減少させ、食欲を増進するホルモン「グレリン」の分泌を増やします。生理前や生理中に食欲が増すことを防ぐためにも十分な休息を取り、規則正しい生活を送ることが大切です。
生理前や生理中は、むくみや血行不良につながるため、控えたほうがいい食べ物があります。ここからは、この時期に控えたほうがいい食べ物や飲み物について見ていきましょう。
塩分を過剰に摂取すると、体内に水分を蓄えやすくなり、むくみの原因になります。特に生理前は、ホルモンの影響で体が水分を溜め込みやすい状態になり、むくみが顕著になることがあります。
ジャンクフードやインスタント食品、スナック菓子などは特に塩分が多いため、避けたほうがいいでしょう。
カフェインには血管の収縮作用があるため、生理前や生理中は控えたほうがいいでしょう。また、交感神経を刺激して気持ちを高ぶらせる作用もあり、過剰に摂取するとイライラしやすくなったり、寝付きが悪くなったりします。
生理前や生理中は、この作用が強く表れやすくなる可能性があるので、コーヒーや紅茶などの飲みすぎには注意してください。
生理前や生理中は、体が冷えると血行が悪くなり、PMS(月経前症候群)や生理痛を悪化させるといわれています。
特に、生理中は体温が下がり、体が冷えやすい状態です。PMSや生理痛などを感じる人は、アイスクリームや冷たい飲み物など、体を冷やすものを控えたほうが良いでしょう。
生理前や生理中、胃腸の調子が悪くなるほどの食欲を止められない場合は、一度婦人科を受診することをおすすめします。
食欲の増進がPMSによる症状であれば、漢方薬や低用量ピルなどの治療で改善できる可能性もあります。一人で悩まず、専門家に相談してみてください。
監修者のご紹介
佐藤杏月先生
八丁堀さとうクリニック副院長 医学博士 日本産婦人科学会専門医
日本医科大学卒。日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。3人の子供の子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医のご主人とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。
八丁堀さとうクリニック
生理前や生理中の食欲は、食べすぎたことへの罪悪感や、食欲を我慢するストレスを抱えないように、我慢しすぎないことが大切です。
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生理前や生理中に食欲が止まらなくなるのは、ホルモンバランスの変化による自然な反応です。ストレスを感じやすいこの時期は、十分な休息をとった上で、1日3食のバランスのいい食事を心掛け、適度に間食を取り入れると、食欲をコントロールしやすくなるでしょう。
このような規則正しい生活を送っても生理のたびに暴飲暴食を繰り返すような場合は、一度、婦人科に相談してみることをおすすめします。
生理前や生理中の食欲増進は、女性ホルモンの変動による、心と体への影響が大きな原因です。ホルモンバランスの変化に伴う自律神経の乱れも、食欲をコントロールできなくなる原因と考えられています。
大王製紙がクラブエリエール会員の女性1,431人に生理前や生理中の食欲の変化を伺ったところ、生理前は50.5%が「食欲が増す」と回答しました。一方、生理中に「食欲が増す」と答えたのは20.5%にとどまっています。
生理前や生理中の過剰な食欲をコントロールするには、食欲が増しやすい時期を把握しつつ、「1日3食バランスのいい食事を心掛ける」「ゆっくり噛んで食べる」「不足しがちな栄養素を補う」「甘いものが食べたくなったら野菜や果物を選ぶ」といったことを心掛けるといいでしょう。
また、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動をしたり、休息を十分に取って規則正しい生活を送ったりするなど、生活改善を行うことも重要です。
画像提供/PIXTA