ハートサポートプロジェクトは、2018年の国際女性デー(10月11日)から始まりました。最初の支援先はケニアのナイロビにあるアフリカ最大級の巨大スラム街、キベラです。
キベラで暮らす女の子たちは、貧困のため生理用品の入手が困難で、生理期間中は学校を休まざるを得ないという状況が多くあります。毎月数日にわたる欠席のせいで授業についていけなくなり、成績が落ち、進学の道を断たれてしまう。その結果、低賃金の仕事しか得られないという、負のスパイラルが起きています。
そこでハートサポートプロジェクトでは、2019年より月経教育とあわせて使い捨ての生理用ナプキンを配布する活動を開始しました。月経に関する知識や、正しい生理用ナプキンの使い方・使用後の処理方法の指導をはじめ、女の子だからといって引け目や負い目を感じる必要はなく、女性にはたくさんの可能性があることなどを繰り返し伝え、女の子たちをエンパワーメントしてきました。
また、2020年には、月経教育と生理用ナプキンの配布に加え、下着やせっけん、トイレットペーパーといった衛生用品も支援。そして、女の子の自己肯定感を高める取り組みも開始しました。
ケニアでは、女子生徒は男性教諭に話しかけにくい文化があるため、女性教諭を雇用して相談しやすい環境づくりを行なったほか、女性教諭と女子生徒によるコミュニティ活動のサポートや、将来の仕事につながる職業訓練なども実施しました。
今回のレポートでは、ケニアでのハートサポートプロジェクトの支援結果についてご報告します。
支援先のひとつ「マゴソスクール」の創設者リリアンさんと、女性教諭のタビタ先生、モリー先生、サラ先生にお話をうかがいました。
左からリリアンさん、タビタ先生、モリー先生、サラ先生
「ハートサポートプロジェクトでは、生理用ナプキンをはじめ、さまざまな支援をしていただきありがとうございました。食べ物も十分ではない貧困家庭にとって、生理用ナプキンを買うことは非常に困難です。生理期間中は学校を休まざるをえない女子生徒たちにとって、とても大きな助けになりました。
特にコロナ禍以降、キベラの環境はさらに厳しくなっています。保護者の多くが職を失って収入が減っていますし、今は水不足で生活用水を得ることすら難しい状況です。このような状況で心の支えとなったのが、ハートサポートの支援でした。
もし布ナプキンだったら洗うこと・清潔に保つことはできなかったので、使い捨てのナプキンが私たちにとっては最適だったと考えています。
これまで女子生徒の9割は毎月3〜5日間、学校を休んでいました。女の子にとって「学校に毎日行けること」は当たり前ではなかったのです。以前の彼女たちは生理用ナプキンがないとき・問題があるときに、私たちに相談することすら恥ずかしがっていました。
しかし、月経教育とコミュニティ活動のエンパワーメントによって、いまでは臆することなく相談しに来てくれるようになりました。声をあげることができれば、解決の糸口をみんなで考えることができます。
ハートサポートプロジェクトの取り組みによって、女子生徒の自己肯定感が向上しているのを感じます。生理期間中でもアクティブに過ごすことができていますし、においや漏れが気にならないので、周囲とのコミュニケーションも積極的にとれるようになっています」
「マゴソスクール」の校長、ダン先生は支援成果についてこう語ります。
ダン校長
「ハートサポートによって、女子生徒が自信を取り戻すことができたと感じています。多感な時期だからこそ、自分自身に誇りを持てることはとても重要です。
2019年には15の医療機関・学校をネットワークして、月経教育と生理用ナプキンの支援を開始しました。2020年にはコロナ禍で支援を求める学校が急増し、およそ100校を通じ20,000人へ生理用ナプキンの配布を実施しました。
私たちの学校では、欠席数が一人当たり年間平均36日減少しました。また、支援前と比べると成績は約11%向上しています。これまでの試験では毎年男子生徒がトップでしたが、2021年は初めて女子生徒が1位になりました。きっとこれからも女子生徒の成績はあがっていくものと確信しています。
また、自身の問題について話し合ったり、興味分野に取り組んだりできるコミュニティ活動や、未来の可能性を育てる職業訓練も、彼女たちの自己肯定感を高めることにつながりました。ハートサポートプロジェクトは、私たちの生徒や地域にとって、現在だけでなく将来にわたって、いい影響をもたらしてくれました。みなさまが心を寄せてくださったこと、ご支援をいただいたことに感謝します」
2018年の国際女性デーからはじまったハートサポートプロジェクトは、ここケニアで多くの女性への支えとなることができました。関心を寄せてくださったみなさま、ご支援いただいたみなさま、ありがとうございました。今後も続いていくハートサポートプロジェクトも、ぜひ応援してください。