※このレポートは2020年3月に取材したものです
「ハートサポート」では、女子生徒を守れ、相談ができる、重要な役割をもつ女性教師の雇用を支援しています。
「ハートサポート」で支援を続けているナイロビのスラム街キベラにある学校、マゴソスクール。今回はこの学校を卒業後、教師として働いているダイアナ・ダーヨさん(23歳)に話を聞きました。
こんにちは、ダイアナ・ダーヨです。マゴソスクールの卒業生で、いまはこの学校の3年生を担任しています。
私が初潮を迎えたのは9年前の8年生(14歳)のときです。おかしいと気づいたのは授業のあとでした。席を立ったとき、椅子も制服も血だらけになっていて、みんなに「どうしたんだ」と驚かれました。学校では月経教育がありませんでしたし、母は生理についてなにも教えてくれなかったので、私はなにが起きたのかわからずにショックを受けましたね。
そのころ学校にはソーシャルワーカーのような役割の女性スタッフがいたので、その人に相談したら「女の子には当たり前のことだから心配しないで」と、生理について教えてくれたのです。そして、何も持っていない私のために、下着と生理用ナプキンを買ってくれました。
家に帰って、母に生理について相談したのですが、笑われただけで……助けてはくれませんでした。母は教育を受ける機会がないまま親になってしまったので、生理についてどう教えたらいいのかがわからなかったのだと思います。母は生理用ナプキンの代わりに古い布のハギレを使っていたはずですが、それも私には隠されていたので本当のところはわかりません。生理についてオープンに話せない家庭でした。いまでも同様の家庭はあるはずですから、学校が月経教育を行うことには大きな意味があると思います。
学校に欠かせない存在だと思います。ケニアでは、成人男性に対して子どもから話しかけにくい文化があります。悩みごとがあっても、男性の保護者しかいないと相談ができずに抱え込んでしまうといったケースもあるんです。
学校でも同じで、男性教師には声をかけにくいけれど、女性教師になら話しやすい。ですから、生徒たちからは日々いろんな相談を受けています。学校や家庭の悩みはもちろん、生理用ナプキンを買えない生徒から「分けてほしい」と相談されることもあります。そのときには、自分の買い置きを分け与えたりもしていました。いまは学校に来れば生理用ナプキンの支援がありますから、ありがたいことだと思っています。
自分も初潮を迎えて困っていたとき、女性スタッフに助けてもらいました。いまは自分がサポートする番なので、その役割をしっかり果たしたいです。
古い価値観を持っている人も多いので、ここはまだまだ男性優位な社会です。女性が仕事を得て、活躍する機会を持てること、そのサポートをしてもらえることに感謝しています。
貧困から生まれる苦しみを解決するには、まずは教育が必要です。教育が受けられれば、読み書きや計算といった基礎学力もちろん、自分で考えて行動する力を身につけることができます。その力があってこそ、自分で仕事をつくったり、就職ができたりするようになりますから。
自分が過去に希望をもらったのと同じように、私もまた、次の世代に希望を渡していけるように日々努力したいと思っています。女性だからこそできることが、ここにはたくさんあります。今後、新しく女性教師の仲間が増えるのも楽しみですね。
なんでも相談できる女性教師は欠かせない存在
大王製紙「ハートサポート」プロジェクトでは、貧困エリアで暮らす女性を生理用ナプキンや月経教育でサポートしているほか、女性教師の雇用、女子生徒のためのクラブ活動など、現地で必要とされているさまざまな支援を実施しています。これまでの活動レポートもぜひご覧ください。