家庭訪問で、実際の暮らしを拝見。
生活の様子を紹介してもらいました。
5人家族で、私サラは3人姉妹の真ん中です。父はテーラーをしていて、母は洗濯婦をしていますが、いつも仕事があるわけではありません。
両親の帰りが遅いので、学校から帰ってきて宿題をしたら、私が家事をしています。まずは水を汲みにいきます。20リットルのバケツで4回往復して、80リットルの水を家に運びます。この水で皿洗い、床掃除、水浴びといった生活のすべてをまかないます。洗濯は週に1回で、そのときはもっと水が必要ですね。いとこのシャロンも手伝ってくれます。
下着は2枚だけ持っています。水浴びをするときに、その日に履いていた下着を洗って、もう1枚の乾いた下着を履きますから、なんとか毎日使えています。
トイレは2つ、水浴び場は1つありますが、68世帯との共有ですから、混み合う時間は毎日行列ができています(1世帯は5~10人家族)。
トイレットペーパーはないことがほとんどですから、父が買ってきてくれる古新聞を代わりに使っています。そのままだと痛いので、揉んでやわらかくしています。たまに近所の人がトイレットペーパーを貸してくれることもあるんですよ。
ミリセントの母です。以前は魚売りや下着売りをしていましたが、仕事に失敗して、いまは求職中です。夫は大工ですが、仕事はあったり、なかったり。なので、世帯収入もあったり、なかったりです。7人家族で暮らしています。
生活にはいろんなものが必要ですが、下着は優先順位が高いと思っていますので、我が家では一人当たり平均3枚の下着を持たせています。安いので、いつもは古着の下着を買っています。たまに新品の下着を買うこともありますが、新品のほうが長持ちしますし、汚れが取れやすくていいですね。
洗濯するときは洗濯用石鹸を使いますが、同じ石鹸で身体も洗っています。身体用の石鹸まで、別に買う余裕がないからです。
たまにですが、トイレットペーパーを買えるときがあります。そのときは1個のペーパーを少しずつ使って、7人家族で1週間もたせています。普段は古新聞を使うしかありません。トイレットペーパーは小さいもので25シリング(約25円)ですが、古新聞なら25kgで10シリング(約10円)ですから、その値段の差は大きいです。古新聞は不潔なため感染症になってしまう人もいますし……娘たちが生理のときには、できればトイレットペーパーを使わせたいと考えています。
学校の行事で、楽しみなのはファッションショーですね。娘の教育にとても役立っていると思います。新品できれいな服を着られる機会はめったにありませんから、美しい衣装が娘の自己肯定感をアップさせていると感じます。また、ファッションショーでは歌や音楽、ダンスなども練習しますから、隠れた才能を開花させるキッカケにもなっているのではないでしょうか。